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遺産分割

遺産分割協議の進め方は?注意点や期限はある?

isanbunkatukyougi

相続が発生すると、多くの場合は「遺産分割協議」を行うことになります。
遺産分割協議とは、被相続人が遺した相続財産を誰がどのようにして承継するかを相続人間で話し合うことです。

しかし、実際にどのような手順で進み、具体的に何をすれば良いのか、よくわからない方も少なくないでしょう。

このコラムでは、遺産分割協議の概要や進め方、期限などについて解説します。

1.遺産分割協議の概要

(1) 遺産分割協議とは

遺産分割は、被相続人が遺言書を残していないような場合に、相続人同士の話し合いにより相続財産の分け方を決定するもので、原則として相続人以外の第三者は参加できません。

ただし、遺言書が残っていたとしても、遺言書に不備がある場合や、遺言書で分割方法が指定されていない相続財産が残っている場合などにも、遺産分割協議等を行う必要があります。

遺産分割協議の開始時期としては、四十九日の法要が終わってから行うケースが多いようですが、時期を制限する規定はなく、原則としていつでも・いつまででも行うことができます(民法907条1項)。

また、協議の方法についても特段決まっておらず、相続人を小グループに分けて話し合いを行い最終的に全員が参加する形にしても、相続人全員で電話やメール、オンライン会議をしても構いません。

遺産分割協議はすんなりとまとまるケースもありますが、相続人の感情が入り交じり、こじれてしまうケースも少なくありません。

もしも相続人同士の交渉がまとまらなかったり、協議に応じない相続人がいたりする場合は、遺産分割協議から遺産分割「調停」へ、調停も成立しなければ、さらに遺産分割「審判」へと移行します。

調停とは、家庭裁判所で調停委員による仲介のもとで話し合うことです。
審判は、証拠資料や双方の主張に基づき裁判所が遺産を分割することです。

[参考記事] 遺産分割調停とは?調停のメリットと申し立て方法や流れを解説 [参考記事] 遺産分割審判の進め方と気を付けるべきポイント

(2) 遺産分割の方法

遺産分割協議では、遺産をどのように分けるのも共同相続人の自由ですが、以下では一般的によく用いられている分割方法をご紹介します。

柔軟に、共同相続人全員が納得できる落としどころを探りましょう。

①現物分割

遺産をそのままの状態で分割する方法です。
例えば、遺産に東京の不動産と神奈川の不動産があるとき、東京の不動産は配偶者、神奈川の不動産は長男にといった具合に、遺産の現状を変更しないで分割します。

シンプルな方法ですが、一筆の土地上に一棟の建物がある等物理的な分割が難しい場合や、複数の不動産があっても価格差がある場合には共同相続人間の公平を図るのが難しく、争いになりやすいというデメリットがあります。

②換価分割

遺産の一部または全部を換価(売却)して、その換価された金銭を分割する方法です。

例えば、遺産に2,000万円の不動産と預貯金1,000万円があるときに、不動産を現物分割することが難しい場合には、不動産を換価し、預貯金との合計3,000万円の金銭にすると、相続人間で公平に分割することが容易になります。

③代償分割

代償分割は、特定の相続人が遺産を相続し、他の共同相続人に代償として金銭を支払う方法です。

例えば、遺産に不動産があり、そのまま居住に利用したい場合は、換価分割のように売ってしまうわけにはいきません。そこで、不動産を利用したい人が相続し、公平性を保つために他の共同相続人に金銭を支払います。

柔軟性の高い分割方法ですが、代償金が高額で支払いが難しい場合もあり、合意できるかどうかは代償金を支払う側の財力次第となります。

遺産分割協議書には代賞金として、「誰が」「誰に」「いくらを」「いつまでに支払う」のかを記載します。

【代償金の支払期限の決め方・支払われなかった時の対処法は?】
代償分割の際に支払われる代償金については、遺産分割協議で当事者同士が合意すれば、支払期限についてはどのように決めても問題ありません。具体的な日付や、遺産分割協議書締結から何週間以内といった決め方が一般的でしょうが、「遺産分割協議書締結と同時履行」「不動産の売却後」としても構いません。
代償金については支払期限よりも、代償金を負担する相続人の支払能力に注意したほうがいいでしょう。支払能力に乏しい相続人が代償金を支払うことになると、代償金を受け取る側は、支払われないといったリスクを負うことになります。
代償金が支払われないとしても、残念ながら遺産分割協議の解除は認められません(平成元年2月9日最高裁判所判決)。代償金が支払われない場合は、家庭裁判所へ紛争調整調停の申し立てを行います。その後、この調停が成立しなければ、代償金支払請求の訴えによる訴訟を提起することになります。代償金の支払請求については、弁護士に相談することをお勧めします。

2.遺産分割協議の進め方

(1) 被相続人の遺言書の確認

遺言書がない場合は、そのまま共同相続人間で遺産分割協議を行います。

このとき、基本的には分割内容に制約はありません。法定相続分に従って分割しても、各自の希望を組んだ結果、遺産の分配に偏りがあっても構いません。最終的に共同相続人全員が合意できるかどうかが重要です。

他方、被相続人が有効な遺言書を遺している場合は、原則として遺言書の内容にしたがって遺産分割を行います(遺言書が法定の方式を満たさず無効のケースもあり、その場合は、遺産分割協議が必要になります)。
遺言書で指定のない遺産については、やはり共同相続人間で協議により決定します。

ただし、遺言書がある場合であっても、相続人全員の同意があれば、遺言書とは異なる遺産分割にすることが可能です。

なお、もし遺言書の内容に従うとご自身の相続分が極端に少なくなる場合には、ご自分の遺留分が侵害されている可能性もありますので、遺留分侵害額請求ができないか弁護士に相談すべきでしょう。

遺留分とは [参考記事] 遺留分とは|概要と遺留分割合をわかりやすく解説

(2) 相続人調査

遺産分割協議は相続人全員が参加しなければなりません。誰か一人でも欠けた状態で行われた協議は無効です。
協議の最後に作成する遺産分割協議書には、相続人全員の署名押印が必須です。

よって、戸籍などを取り寄せて誰も知らない相続人が存在しないかどうかを確認することが大切です。

被相続人に養子や婚外子があった場合を見落とさないようにしましょう。

相続人 調査 [参考記事] 相続人の調査方法|遺産分割は相続人全員参加が必須!

また、下記のようなケースも注意が必要です。

相続人に胎児が含まれる場合

胎児にも相続権はあります(民法886条1項)。とはいえ、胎児が相続権を主張できるためには無事に出生することが条件となるので(同条2項)、胎児のうちは遺産分割協議に加わることができません。

しかし、だからと言って、胎児の間に胎児を無視して遺産分割協議をまとめても、胎児が生きて生まれればさかのぼって相続人となるため、せっかくの遺産分割の合意が無効になってしまいます。できれば出生を待ち、次の未成年者と同じ手続・考え方で遺産産分割するべきでしょう。

[参考記事] 胎児に相続権は認められる?遺産分割協議の注意点

相続人に未成年者が含まれる場合

未成年者は、原則として単独で有効な法律行為ができません。そのため、未成年者が法律行為をする場合は、通常は法定代理人である親権者が未成年者に代わってこれを行います。
遺産分割も法律行為であり、親権者が法定代理人として遺産分割協議に参加して、代理人として合意します。

しかし、相続では、未成年者と親権者の双方が相続人になることも多く、双方の利益が相反します。
この場合は、親権者が代理人となることはできず、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります(民法826条)。

[参考記事] 相続人に未成年者がいるときの遺産分割と注意点

行方不明者がいる場合

長い間音信不通で、たとえそれが本人の勝手な家出など納得のいかないものであっても、行方不明者を抜きにして勝手に遺産分割を行ってはいけません。この場合は、以下の3つの選択肢があります。

  • 不在者財産管理人を選任してもらう
  • 行方不明者について失踪宣告を出してもらう
  • 公示送達を用いて遺産分割審判を行う
[参考記事] 行方不明の相続人と遺産分割

(3) 相続財産調査

相続人の確認と同時に、被相続人の相続財産を本当に全て洗い出せているかを確認しておく必要があります。
せっかく遺産分割協議がまとまっても、後から新たに遺産が判明したら、再度その遺産について協議する必要があります。

また、全く想定外の債務(借金)があり、「これを知っていれば相続放棄したのに」というケースもあります。

遺産分割協議を始める前に、被相続人の遺産をきちんと調査しておきましょう。

[参考記事] 遺産相続の後から借金(債務)が判明したらどうすれば良い?

(4) 遺産分割協議本番と協議書の作成

全ての事前確認が終わったら、遺産分割協議を行いましょう。
先ほどご紹介した分割方法も使いながら、全員が合意できるよう分割案を作成します。

感情的にならず、冷静に利害関係を整理するのが、スムーズに遺産分割協議をまとめるポイントです。

もっとも、現実の遺産分割協議では、「特別受益」や「寄与分」などが問題となり、紛糾してしまうことも珍しくありません。もし、遺産分割協議が揉めてしまいそうと感じたら、早期に弁護士に相談してみるのも1つの手段です。

[参考記事] 特別受益とは?対象範囲・遺産分割時の対処法をわかりやすく解説 [参考記事] 寄与分とは|対象になる人や認められる要件を解説

(5) 遺産分割協議書の作成

協議がまとまったら、その結果を遺産分割協議書にまとめましょう。
遺産分割協議書は、不動産の登記、自動車の登録、相続税の申告など様々な手続きに必須です。

遺産分割協議書 [参考記事] 遺産分割協議書とは|作成の目的と条文の書き方を文例集付きで解説

3.遺産分割協議の期限

前述のとおり、遺産分割協議に期限(時効)はありません。被相続人が亡くなってからいつ協議を開始しても、いつ終了しても自由です。

(1) 期限が設定された相続手続き

遺産分割協議に期限がないといっても、相続手続きには期限が設けられているものがあります。

たとえば、被相続人が事業等を営んでいて、確定申告が必要な場合、相続人が代わって行う「準確定申告」を相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内にする必要があります。

また、相続税の申告・納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなくてはなりません。期限を過ぎると加算税や延滞税が課されます。

なお、10ヶ月以内には遺産分割協議がまとまらない場合には、いったん法定相続分で申告・納税し、後日、更正の請求や修正申告を行うこともできますが、その分手間もかかります。

他にも、期限がないからと遺産分割をしないで相続財産を放置しておくと様々な弊害が起こりえます。

たとえば、被相続人の預貯金が入っている口座があるのに、その金融機関に相続発生の事実を伝えず、誰かに通帳やカードの管理を委ねたそのままにしていると、不当な使い込みが行われるリスクがあります。

期限がないからといって先延ばしにするのではなく、できるだけ速やかに遺産分割協議を終えられるようにすることをおすすめします。

(2) 遺産分割協議書はいつまでに作成すべき?

遺産分割協議に期限がないため、その結果をまとめた遺産分割協議書にも作成期限はありません。
また、遺産分割協議書に有効期限もないため、いつ作成した遺産分割協議書であっても、相続人全員の署名押印があれば、遺産分割協議書として受理してもらうことができます。

しかし、前述の通り、遺産分割協議書が必須な相続手続きがあります。遺産分割協議が成立したら、速やかに遺産分割協議書を用意しましょう。

4.遺産分割協議についてのよくある質問

最後に、遺産分割協議についてのよくある質問についてお答えします。

  • 民法改正で遺産分割協議の期限が10年になったって本当?

    遺産分割協議に期限がないことは、ここまでご説明した通りです。
    一方で民法改正により、遺産分割協議での特別受益と寄与分の主張について、「相続開始から10年」という期限が新たに設けられることになります。

    具体的には、令和5年4月1日から、相続開始から10年を経過した後にする遺産分割には、原則として具体的な相続分の算定の基礎となる特別受益や寄与分に関する規定が適用されなくなってしまいます。そのため、相続開始から10年を超えてしまうと、原則として法定相続分を基準とした遺産分割しかできなくなってしまうのです。

    したがって、特別受益のない相続人や寄与分がある相続人は、原則として相続開始から10年以内に遺産分割を終えなければ、不利益を被ることになります。

    ただし、この規定には、経過措置や例外があります。詳しくお知りになりたい方は、弁護士にご相談ください。

  • 遺産分割協議のやり直しはできる?

    遺産分割協議は、相続人全員の合意があるか、錯誤や詐欺・強迫によって合意した場合以外は、一度成立してしまうと基本的にやり直すことができません

    現実に全員がやり直しに合意するのは難しいことが多く、錯誤・詐欺・強迫を理由に合意を取り消す場合はおそらく訴訟が不可避でしょう。
    協議の時点から、事実上やり直しはできないという点に、相続人全員が十分な認識をもって話し合いに参加することが大切です。

    もし納得のいかない点があれば、遺産分割協議書にサインしてはいけません。自分では保留のつもりでも、署名押印があると、その人も協議内容に同意していることになります。

    協議書の内容に疑問や不満を感じたら弁護士にご相談ください。

    参考:遺産分割協議のやり直しはできる?期限・時効はある?

5.遺産分割協議は弁護士に相談を

遺産分割協議は、紛糾しやすい傾向があります。
相続人には全員それぞれ言い分があり、参加者は皆親族なので、数十年来積み重なった感情と相まって話し合いがこじれやすいのです。

この点、弁護士を代理人とすれば、冷静に話し合いを進めやすいといえます。また、弁護士は法的知識を駆使し、遺産分割協議が最大限ご依頼者様の利益になるよう努めるために、想定外の不利益も避けることができます。

加えて弁護士には、遺産分割協議以外にも、相続人の調査・相続財産の調査・遺産分割協議書の作成といった業務を依頼することもできます。

遺産分割協議のことで迷われたら、泉総合法律事務所にご相談ください。

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