相続に強い弁護士に無料相談|東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪
安心と信頼のリーガルネットワーク弁護士法人泉総合法律事務所遺産相続
0120-870-408
【電話受付】平日9:00〜21:00/土日祝9:00〜19:00
お問い合わせ
(365日24時間受付中)
遺産分割

被相続人の預貯金は調べられる?銀行への開示請求

被相続人が亡くなり、相続が開始した場合には、遺産分割手続きを進める前提として、被相続人の相続財産を調査する必要があります。

ほとんどの方は、金融機関に預貯金口座を有していますので、相続財産調査にあたっては、金融機関に対する預貯金口座の有無や残高を照会する必要があります。

また、相続人間において使途不明金や特別受益などの問題がある場合には、預貯金口座の有無や残高に加えて、預貯金口座の取引履歴の開示が必要になることがあります。取引履歴の開示請求は、相続人であれば誰でも請求することができるのでしょうか。

今回は、被相続人の預貯金口座の調査における金融機関への取引履歴の開示請求について解説します。

1.相続財産調査と預貯金口座

相続財産調査においては、金融機関に対する預貯金口座の有無や残高の照会が行われます。さらに、預貯金口座の取引履歴の開示請求がなされることがあります。

(1) 預貯金口座の取引履歴とは

預貯金口座の取引履歴とは、対象となる預貯金口座の過去の入出金の履歴が記載された書類のことをいいます。

これに対して、残高証明書は、特定の日における預貯金口座の残高を記載した書類になりますので、残高証明書では、過去の入出金の履歴を知ることはできません。

遺産分割手続きは、被相続人が死亡時に有していた遺産を分割する手続きですので、死亡日時点の預貯金口座の残高がわかれば十分であるとも思えます。しかし、以下のように過去の被相続人の預貯金口座の入出金の流れを知ることには重要な意味があるのです。

(2) 取引履歴の開示を求める目的

預貯金口座の取引履歴の開示を請求する目的には、使途不明金を明らかにして不当利得返還請求(不法行為に基づく損害賠償請求)をしたり、特別受益の有無を確認したりするという目的があります。

遺産分割の事案では、相続人の一人が被相続人に無断で預貯金の引き出しを行っている場合があります。認知症の被相続人と一緒に生活している相続人が被相続人の判断能力の低下につけ込んで、預貯金の引き出し私的に利用したといった事案が典型的な事案です。

預貯金の取引履歴を調べることによって、多額の預貯金が複数回にわたって引き出されているなどがわかれば、使途不明金に関する責任を追及するきっかけとなります。

また、生前に被相続人から多額の贈与を受けている場合には、遺産分割手続きにおいては、特別受益として持ち戻しの対象となることがあります。取引履歴を調査し、特別受益の有無を明らかにすることによって、公平な遺産分割を実現することが可能です。

このように、残高証明書以外に取引履歴を請求することには、重要な意味があります。

2.預貯金口座の取引履歴は開示請求できる?

過去には、相続人全員の依頼がなければ、金融機関は、預貯金口座の取引履歴の開示に応じてきませんでしたが、以下の最高裁判決が出たことを受けて、多くの金融機関では、相続人単独での預貯金口座の取引履歴の開示請求に応じています。

(1) 被相続人の死亡時まで預貯金口座が存在していた場合

最高裁平成21年1月22日判決は以下のように述べています。

金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うと解するのが相当である。そして、預金者が死亡した場合、その共同相続人の1人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(同法〔注:民法〕264条、252条ただし書)というべきであり、他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。

そのため、共同相続人は、他の共同相続人全員の同意なくして、金融機関に対し、被相続人が有していた預貯金の取引履歴の交付を請求することが可能です。

一般的な金融機関では、10年間を取引履歴の保管期間としていますので、理屈上は、10年分であれば預貯金の取引履歴を請求することが可能だといえます。

(2) 被相続人の生前に預貯金口座が解約されていた場合

先ほどの最高裁判決は、被相続人が死亡するまでの間、銀行口座が存続していた事案に関する判決です。そのため、被相続人の生前に、既に口座が解約されてしまっている場合には、必ずしも妥当しないところがあります。

生前に口座が解約されていた場合については、東京高裁平成23年8月3日判決で考え方が述べられています。

預金契約についても、銀行は、預金契約の解約後、元預金者に対し、遅滞なく、従前の取引経過及び解約の結果を報告すべき義務を負うと解することはできるが、その報告を完了した後も、過去の預金契約につき、預金契約締結中と同内容の取引経過開示義務を負い続けると解することはできない。

この裁判例に従うのであれば、相続人側としては、銀行との間の契約をもとに預金履歴の開示を求めることはできないということになりますし、実際に開示を拒絶されたという取扱いも散見されるところです。

もっとも、預貯金口座の取引履歴は、遺産調査においても重要な資料になりますので、弁護士会照会など他の方法を用いるなどして開示をしてもらえるよう働きかけることが重要です。

3.開示請求の手続きの流れと注意点

取引履歴の開示請求の手続きは、以下のような流れで行います。

(1) 開示請求の一般的な流れ

預貯金口座の開示請求の手続きについては、各金融機関によって異なってきますので、詳しくは、対象となる金融機関に問い合わせてから行うことをおすすめします。

一般的には、以下のような必要書類を持参し、金融機関の窓口で取引履歴の発行依頼を行うことになります。

  • 被相続人が死亡したことが確認できる戸籍謄本など
  • 申請者が相続人であることがわかる戸籍謄本など
  • 申請者の印鑑証明書
  • 手数料

(2) 取引履歴の開示請求の注意点

特定の個人の預貯金すべてを把握している機関は存在しませんので、預貯金については、被相続人が所持していた通帳やキャッシュカードを手掛かりに口座を持っていることが想定される金融機関にしらみつぶしにあたるしかありません。

そして、特定の支店に預貯金の有無に関する照会を求めた場合、当該支店における預貯金の有無だけが回答される可能性も否定できません。そのため、遺産の詳細を把握できていないケースでは、本店およびすべての支店における預貯金の有無を確認する必要がある点に注意しましょう。

4.まとめ

預貯金口座の取引履歴の開示請求は、適切な遺産分割手続きを行う前提として非常に重要となります。取引履歴を取得したところ、不明な出金が多数存在していることが判明した場合には、相続人による不正な出金の疑いもあります。

使途不明金の問題を解決するためには、専門的な知識が必要になりますので、使途不明金が判明した場合には、お早めに泉総合法律事務所までご相談ください。

関連するコラム
38 40
【電話受付】平日9:00〜21:00 / 土日祝9:00〜19:00