用語集

あ行

家なき子特例(いえなきことくれい)

故人と同居していなかった相続人(親族)でも、一定の要件を満たすことにより小規模宅地等の特例(一定の要件を満たすと土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度)を適用してもらえる場合のことです。

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地について、一定の要件を満たす人が相続したときに相続税評価額を最大80%減額できる特例のことで、原則として配偶者又は被相続人と同居していた親族にのみ適用されます。

ですが、故人と同居していなかった親族であっても、①被相続人に配偶者も同居の法定相続人もいない、②相続開始前3年以内に「自己または自己の配偶者」「3親等以内の親族」「特別の関係がある法人」が所有する家に住んだことがない、③相続開始時に住んでいる家を過去所有したことがない、④相続した宅地を相続税の申告期限まで保有する、という要件を全て満たせば小規模宅地等の特例が受けられます。

遺言(いごん・ゆいごん)

遺言者(被相続人)が、自分が死亡した後に効力を発揮させることを目的としてあらかじめ残しておく意思表示です。民法では遺言につき厳格な方式を定めており、その方式に従っていない場合は、法律上の遺言としての効力を有しません。また、遺言でなしうる行為は、遺贈、相続分の指定、遺産分割方法の指定、認知等法律で定められているものに限られます。遺言の種類としては、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があります。

遺言執行者(いごんしっこうしゃ)

遺言の内容を実現するために必要な手続などを行う人のことです。遺言執行者の選任は遺言があれば常に必要となるわけではなく、遺言の内容によって必要な場合とそうでない場合があります。たとえば、「認知」や「相続人の排除・取消し」が遺言の内容に含まれる場合は遺言執行者の選任が必要となります。
遺言執行者の選任が必須ではない場合でも、遺言執行者を選任すれば、相続に関する手続を遺言執行者が単独で行えるようになるため、手続をスムーズに進められるというメリットがあります。

遺産分割(いさんぶんかつ)

相続財産を相続人間で具体的に分配することです。被相続人が遺言を残している場合には、原則として遺言の内容に従い相続財産が相続されますが、遺言がなかった場合は、被相続人が死亡した時点で相続財産は法定相続人全員で法定相続分の割合で共有している状態になります。そのため、遺産分割により、具体的に誰が何を相続するか(相続財産をどのように分配するか)を決めることになります。遺産分割には、「遺産分割協議」、「遺産分割調停」、「遺産分割審判」の3つの方法があります。

遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)

相続財産を相続人間で具体的に分配するための話し合いをすることです。遺産分割協議は相続人全員で合意する必要があり、合意できたらその内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成するのが通常です。

遺産分割審判(いさんぶんかつしんぱん)

遺産分割調停が不成立になった場合(話し合いがまとまらなかった場合)には、自動的に審判手続に移行します。遺産分割審判は、遺産分割調停と違って話し合いの場ではなく、家事審判官(裁判官)が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して審判を下します。

遺産分割調停(いさんぶんかつちょうてい)

遺産分割をする際に相続人間での遺産分割協議がまとまらないときに、相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として家庭裁判所に申し立てる手続です。遺産分割調停では、家事審判官(裁判官)と調停委員で組織される調停委員会が中立公正な立場で間に入り、話し合いでの解決を手助けします。

遺贈(いぞう)

遺言による贈与、つまり、遺言によって財産を譲り渡すことを「遺贈」といいます。遺贈は、相続人に対しても、相続人以外の者に対してもすることができ、遺贈を受ける人を「受遺者」といいます。遺贈は、「包括遺贈」と「特定遺贈」に大別されます。包括遺贈とは、相続財産の全部又は一定割合で指定して行う遺贈のことです。特定遺贈とは、遺贈する財産を特定して行う遺贈のことです。

遺留分(いりゅうぶん)

法定相続人について、法律上保障されている一定割合の相続分のことです。遺留分が認められるのは、「配偶者」、子・孫等の「直系卑属」、親・祖父母等の「直系尊属」で、兄弟姉妹には認められません。
遺留分の割合は、相続人が直系尊属のみの場合は1/3、その他の場合は1/2です。各相続人の遺留分は、法定相続分にこれらの割合(1/3または1/2)を掛けて計算します。たとえば、相続人が配偶者と子2人の場合、配偶者の遺留分は1/4(1/2×1/2)、子の遺留分はそれぞれ1/8(1/2×1/2×1/2)となります。
遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)を行うことにより最低限の相続財産を取り戻すことができます。

遺留分侵害額請求・遺留分減殺請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう・いりゅうぶんげんさいせいきゅう)

遺留分を侵害された相続人(遺留分権利者)が、遺留分を侵害している他の相続人等に対して、その侵害額に相当する金銭を支払うよう請求することです。民法改正(2019年7月1日から施行)により、従前の「遺留分減殺請求」が「遺留分侵害額請求」に改められました。
「遺留分減殺請求」では、贈与や遺贈を受けた財産そのものを取り戻す権利でしたが、「遺留分侵害額請求」は、財産そのものではなく、それに相当する金銭の支払いを請求できる権利となっています。

遺留分の放棄(いりゅうぶんのほうき)

遺留分権利者が遺留分侵害額請求権を自らの意思で手放す(放棄する)ことです。遺留分の放棄は、被相続人の生前・死後のどちらでも可能です。被相続人の生前に遺留分の放棄をする場合は、遺留分権利者本人が家庭裁判所に遺留分放棄の許可を申立て、これが認められる必要があります。
被相続人の死後に遺留分の放棄をする場合は、特に手続きは必要ではなく、遺留分権利者が他の相続人や受遺者などへ遺留分を放棄する旨の意思表示をすればよいということになります。

延滞税(えんたいぜい)

納税すべき税金を法定納期限までに納付しなかった場合に追加で課される税金です。法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課されます。なお、相続税については、相続の開始があったことを知った日(=被相続人の死亡を知った日)の翌日から10ヵ月以内に申告を行わなければならないとされており、納付期限も申告期限と同じです。

延納(えんのう)

相続税は金銭での一括払いが原則ですが、一括払いが困難な事情がある場合に担保を提供することにより分割払いが認められます。これを相続税の延納といいます。
相続税の延納が認められるには、①相続税額が10万円を超えていること、②金銭で納付することが困難な事情があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること、③延納税額に相当する担保を提供すること(延納税額が100万円以下かつ延納期間が3年以下の場合は、担保不要)、④申告期限までに延納申請書等必要書類を税務署に提出すること、という要件を満たす必要があります。なお、延納期間中は利息として利子税が発生します。

か行

改製原戸籍(かいせいげんこせき)

法律の改正により戸籍の改製(様式を変更し新しく作り変えること)が行われた際の改製前の古い戸籍のことです。「かいせいはらこせき」や「原戸籍(げんこせき・はらこせき)」と呼ぶこともあります。

家督相続(かとくそうぞく)

第二次世界大戦以前に施行されていた旧民法で規定された相続方法で、戸主が死亡や隠居などをした場合に、一人の相続人が戸主の地位や財産を全て引き継ぐという相続方法です。家督相続では男子が優先されたため、原則として長男が家督相続人となりました。なお、戦後の民法改正で家督相続制度は廃止されています。

換価分割(かんかぶんかつ)

遺産分割方法の1つであり、相続財産の全部または一部を売却する等して金銭に換え、その金銭を相続人間で分け合う分割方法です。相続財産として不動産があり、相続人の誰もその取得を望まない場合に行うことが多い方法です。

期限後申告(きげんごしんこく)

相続税の申告期限を過ぎた後に申告することです。期限後申告をすると、ペナルティとして無申告加算税(税額の5%~20%。税務調査の事前通知以前の自主的な申告か、税務調査の事前通知以後の自主的な申告か等、ケースにより異なります。)が課されます。なお、相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内です。

基礎控除(きそこうじょ)・相続税の基礎控除(そうぞくぜいのきそこうじょ)

相続税には基礎控除があり、相続財産の総額が基礎控除額を超えなければ非課税となります。つまり、相続税が課されるか課されないかを判別する基準点となるのが、相続税の基礎控除です。相続税の基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の人数)で計算します。

寄与分(きよぶん)

被相続人の生前にその財産の形成や維持に特別の寄与(貢献)をした相続人がいる場合に、その相続人の法定相続分に加えて、その貢献の度合いに応じた財産の取得を認めることにより、相続人間の公平を図る制度です。「特別の寄与」と認められるためには、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える貢献でなければならないため、寄与分が認められるのは容易ではありません。

KSKシステム(けいえすけいしすてむ)

国税総合管理(Kokuzei Sougou Kanri)システムのことで、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、国税債権などを一元的に管理しているコンピュータシステムで、税務調査や滞納整理に活用されています。

限定承認(げんていしょうにん)

相続によって得たプラスの財産の限度においてのみ被相続人の債務や遺贈の弁済をすることを留保して、相続の承認をすることです。相続人の債務等がどれくらいあるのか不明で、最終的に相続財産がプラスになるのかマイナスになるのかわからない、というような場合に有効な方法です。

ただ、自己のために相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければならず、相続人全員で共同で行う必要があり、相続人のうちの1人でも反対する者がいるとできません。

現物分割(げんぶつぶんかつ)

遺産分割方法の1つであり、相続財産をひとつひとつ現物で各相続人で分け合う分割方法です。たとえば、相続人としてA、B、Cの3人がおり、相続財産として、マンション、土地、車がある場合に、マンションをAが、土地をBが、車をCがそれぞれ相続するというような場合が現物分割となります。

検認(けんにん)

相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせ、遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。あくまで検認以後の遺言書の偽造や変造を防ぐための手続であり、遺言が有効かどうかを判断する手続ではありません。

遺言書の保管者や発見者は、相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならないとされています。検認が必要となるのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言で、公正証書遺言については偽造や変造のおそれが通常ないため、検認の必要はありません。

公社債(こうしゃさい)

国や地方公共団体が発行する債券である「国債」や「地方債」等の「公共債」、民間の企業が発行する「民間債」(社債)、外国の政府・政府関係機関、事業会社が発行する「外国債」(外債)の総称です。相続財産に公社債がある場合、相続税の課税対象となります。

公証人(こうしょうにん)

当事者や関係人の委託を受けて、公正証書の作成、私署証書や定款の認証等を業務として行う公務員です。公証人は、元裁判官や元検察官など、法律実務の経験が豊富な人の中から、法務大臣が任命しています。全国で500人ほどの公証人がおり、公証人が執務する公証役場は全国で300カ所ほどあります。

公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

公証人に公正証書として作成してもらう遺言のことです。公正証書遺言は、原則として、2名以上の証人の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し(口頭で伝えること)、公証人が遺言者の口述を筆記したものを遺言者及び証人に読み聞かせるか閲覧させて、遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後に各自これに署名・押印する、という手順で作成します。

公正証書遺言には、①法律に精通した公証人が作成するので遺言が無効になるおそれが低い、②遺言書の原本は公証役場で保管されるので遺言書を紛失するおそれがない、③公証人が必ず本人確認をするので遺言書を偽造されるおそれがない、④家庭裁判所の検認が不要となる、⑤自分で書かなくてよいので文字が書けなくても作成できる、というメリットがあります。

広大地の評価(こうだいちのひょうか)

広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる宅地のことです。
広大地の評価は、500㎡以上の広大な土地を相続した場合に土地評価額を最大で65%下げられる可能性がある制度ですが、平成29年度の税制改正によりこの制度が廃止されたため、平成29年12月31日までに発生した相続についてのみ適用されます。平成30年1月1日以降に発生した相続については、代わりに新設された「地積規模の大きな宅地の評価」が適用される可能性があります。

戸籍(こせき)

戸籍とは日本人が出生してから死亡するまでの身分関係(出生・婚姻・死亡・親族関係等)について記録した公文書です。戸籍法に基づき、原則として、1組の夫婦及びその未婚の子を単位として作成されます。戸籍は、戸籍法に基づく届出により記録され、本籍地の市区町村役場で保管されています。

戸籍抄本(こせきしょうほん)

ひとつの戸籍に記載されている者のうちの一部の者の身分事項を証明するものです。たとえば、ある戸籍にAB夫婦と子Cがいる場合に、Cのみの身分事項を証明するものが戸籍抄本です。

戸籍謄本(こせきとうほん)

ひとつの戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するものです。たとえば、ある戸籍にAB夫婦と子Cがいる場合に、ABC全員の身分事項を証明するものが戸籍謄本です。

戸籍の附票(こせきのふひょう)

本籍地の市区町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所の履歴が記録されているものです。

さ行

財産評価基本通達(ざいさんひょうかきほんつうたつ)

相続税や贈与税の額を計算するうえで、不動産や株式などの財産をどのように評価するかの基準を示したものです。

債務控除(さいむこうじょ)

相続税における債務控除とは、相続税の計算に当たり、相続する財産から被相続人の債務の額を差し引くことができる制度です。債務控除の対象となる債務は、①被相続人の債務で相続開始の際に現存し、支払うことが確実なものと、②被相続人に係る葬式費用です。①の具体例としては、未払の医療費や、税金、借入金などです。

残高証明書(ざんだかしょうめいしょ)

金融機関が発行する書類で、「指定した日時(基準日)に指定した口座に存在する残高」を証明するものです。相続税申告の際には、相続が発生した時点での被相続人の口座残高が分かる書類が必要となるため、残高証明書が必要となります。

死因贈与(しいんぞうよ)

死因贈与とは、贈与者(財産を渡す人)が死亡した時点で効力が生じる贈与契約です。たとえば、贈与者Aが生前に、受遺者(財産をもらう人)Bとの間で、「Aが死亡したらBに不動産Cを贈与する。」と約束することです。
死因贈与は遺言によって特定の人に財産を与える遺贈と似ていますが、遺贈は、遺言者の単独行為である意思表示(一方的なもの)であるのに対し、死因贈与は、贈与者と受遺者の契約(合意が必要)であるという点が異なります。なお、死因「贈与」という呼び方ですが、受贈者が取得した財産には、贈与税ではなく相続税が課税されます。

自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに押印して作成する遺言です。最も手軽で、費用も掛からずに作成できる遺言といえます。ただ、作成に当たっては厳格な要件が定められており、加除その他の変更をするにも厳格なルールがあります。
なお、2019年から、財産の内容を示す「財産目録」については、パソコンでの作成が認められるようになりました。
また、自筆証書遺言の遺言書については、一般的に自宅で保管されることが多いため、遺言書が紛失したり、被相続人以外の者による廃棄・隠匿・改ざんのおそれがあることから、2020年に、作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる「自筆証書遺言保管制度」が始まりました。

死亡退職金(しぼうたいしょくきん)

退職金を受け取る前に死亡してしまった被相続人の遺族に支払われるもので、退職手当金や功労金等その他これに準ずる給与等(名称に係わらず退職を事由として支給される金品)が該当します。被相続人が死亡して3年以内に支給額が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります(みなし相続財産)。
なお、被相続人が死亡して3年以内に支給額が確定した金品には、①被相続人が死亡により退職して、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定した場合だけでなく、②被相続人が生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定した場合も該当します。

借地権(しゃくちけん)

自分の建物を建てるために他人の土地を借りる権利のことです。借地権は相続税の課税対象となります。

受遺者(じゅいしゃ)

遺贈を受ける人、つまり、遺言によって財産の譲渡を受ける人のことです。

重加算税(じゅうかさんぜい)

納税額を少なくするなどのために、課税対象の財産を意図的に隠蔽したり、仮装したりした場合に課せられるものです。

住民税(じゅうみんぜい)

地方税の一つで、当該年の1月1日の住所地(原則として住民票のある住所)で前年の所得に基づいて課税されます。
個人に対する住民税は、都道府県民税と市区町村民税の2つがありますが、市区町村が合わせて課税・徴収しています。毎年1月1日の状況によって課税されるため、1月2日以降に納税義務者が死亡して相続が生じた場合、その納税義務は相続人に承継されます。

受贈者(じゅぞうしゃ)

贈与を受ける人、つまり、贈与契約により財産をもらう人のことです。

取得費加算の特例(しゅとくひかさんのとくれい)

相続又は遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内(相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)に譲渡した場合に、支払った相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるという制度です。
つまり、相続した不動産を売却して利益が生じた場合に、譲渡所得にかかる税金を軽減することができる制度です。

準確定申告(じゅんかくていしんこく)

年の途中で死亡した人の代わりにその相続人が行う確定申告のことです。相続人は、1月1日から被相続人が死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に準確定申告の手続(申告と納税)をする必要があります。

障害者控除(しょうがいしゃこうじょ)

相続税の障害者控除とは、相続人が85歳未満の障害者のときに相続税の額から一定の金額を差し引く(相続税を減額する)制度です。障害者控除が受けられるのは、①相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所があること、②相続や遺贈で財産を取得した時に障害者であること、③相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること、という要件全てを満たす場合です。

障害者控除の額の計算方法は、(85歳-相続開始日の障害者の年齢※1年未満の期間があるときは切り上げて1年)×10万円(特別障害者は20万円)となります。

小規模宅地等の特例(しょうきぼたくちとうのとくれい)

被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地を相続や遺贈によって取得した場合に、一定の要件を満たすと土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。

被相続人からの相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利)のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分について、相続税評価額の計算上一定の割合を減額を認めるものです。

小規模宅地等の特例の対象となる土地は、①特定居住用宅地等(住宅として使われていた土地)、②特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等(事業で使われていた土地)、③貸付事業用宅地等(不動産貸付業に使われていた土地)です。

正味の遺産額(しょうみのいさんがく)

①相続又は遺贈により取得した財産の価額と②みなし相続財産の合計額から③非課税財産(法律によって相続税をかけないとされている財産)の価格を控除し、④相続時精算課税適用の贈与財産の価額を加え(相続時精算課税の適用がある時)、そこから⑤債務及び葬式費用の額を控除し、⑥相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加えたものが、正味の遺産額です。正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて、相続税の課税対象となる課税遺産総額を算出します。

除籍(じょせき)

「除籍」には、①結婚や死亡などで戸籍から抜けること、②除籍簿のこと(転籍で他の市町村に本籍を移した場合や、戸籍に記載されている全員が死亡や婚姻などで除籍になった場合の戸籍そのもののこと)の2通りの意味があります。

推定相続人(すいていそうぞくにん)

被相続人が死亡して相続が開始したと仮定した場合に、相続人になるであろう人(相続人になると推定される人)のことです。推定相続人は、相続開始前に、あくまでその時点で相続が開始した場合に相続人になると推定される人なので、将来必ず相続人になるとは限りません。

生前贈与(せいぜんぞうよ)

贈与者(財産を渡す人)が生きている間に誰かに財産を贈ることですが、相続税の節税対策のために配偶者や子供などの推定相続人に財産を贈与をすること指すことが多いです。

成年後見制度(せいねんこうけんせいど)

認知症、知的障害、精神障害などによって、判断能力(事理弁識能力)が十分ではない人を保護するための制度です。

成年後見制度には、①補助、②補佐、③(法定)後見、④任意後見があります。

①補助は、本人の判断能力が不十分な場合に、申立てにより家庭裁判所が補助開始の審判をして、本人を援助する人として補助人を選任します。補助人は、本人のする一定の事柄(民法13条1項に掲げられた行為の一部)について同意権及び取消権をもち、また、裁判所が認めた一定の事柄について本人に代理することができます。

②補佐は、本人の判断能力が著しく不十分な場合に、申立てにより家庭裁判所が保佐開始の審判をして、本人を援助する人として保佐人を選任します。保佐人は、本人のする一定の重要な行為(民法13条1項に掲げられた行為)について同意権及び取消権をもち、また、裁判所が認めた一定の事柄について本人に代理することができます。

③(法定)後見は、判断能力が欠けているのが通常の状態の人について、申立てにより家庭裁判所が後見開始の審判をして、本人を援助する人として成年後見人を選任します。成年後見人は、本人に代わり契約を締結したりする代理権を有し、本人の行った契約で不利益になるような契約を取り消す(取消権)ことができます。

④任意後見は、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、本人に十分な判断能力があるうちに、将来任意後見人になってほしい人との間で公正証書で任意後見契約を結んでおき、実際に本人の判断能力が不十分になったときに、その契約にもとづいて任意後見人が本人を援助します。家庭裁判所が任意後見監督人選任の審判をして任意後見監督人を選任したときから、任意後見契約の効力が生じます。

税務調査(ぜいむちょうさ)

税務署などが、納税者が申告した内容が正しいものか、申告漏れなどがないか等を確認するための調査のことです。税務調査には、任意調査と強制調査がありますが、脱税の疑い等がなければ基本的に納税者の同意のもと実施される任意調査となります。相続税は、法人税や所得税に比べ、税務調査がされやすい傾向があります。

生命保険の非課税枠 せいめいいほけんのひかぜいわく 被相続人が保険料の全部又は一部を負担していた死亡保険金等は、原則として相続税の課税対象となりますが、一定の場合につき相続税がかからない非課税枠があります。具体的には、死亡保険金の受取人が相続人である場合に、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が非課税限度額(非課税限度額= 500万円 × 法定相続人の数)を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。

葬式費用(そうしきひよう)

相続税の計算においては、一定の相続人及び包括受遺者が負担した葬式費用を遺産総額から控除することができます。控除できる「葬式費用」に該当するものとしては、通夜・告別式にに関し葬儀会社に支払った費用や参列した人の食事代、お布施、戒名料、生花代、埋葬・火葬・納骨にかかった費用、葬儀に関し手伝ってもらった人などへの心付け、死体の捜索や死体・遺骨の運搬にかかった費用等があります。控除できる「葬式費用」に該当しないものとしては、香典返しのためにかかった費用、墓石や墓地の買入れ・借り入れのためにかかった費用、初七日や法事などのためにかかった費用等があります。
相次相続控除 そうじそうぞくこうじょ 被相続人が過去10年以内に別の相続で財産を取得して相続税を支払っていた場合に、今回の相続税の計算において、過去に被相続人が支払った相続税の一部を控除できるという制度です。

相続(そうぞく)

亡くなった人(被相続人)の財産(すべての権利や義務)を特定の人(相続人)が引き継ぐことです。相続の対象となる財産には、プラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産(義務)も含まれます。

相続欠格(そうぞくけっかく)

被相続人の相続に関して、ある一定の事由に該当する者につき、相続の権利をはく奪し、相続人や受遺者(遺言によって遺産を受け取る人)になれなくする制度です。

相続欠格事由(そうぞくけっかくじゆう)

相続欠格者として相続人や受遺者になることができなくなる事由のことです。民法では、①故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者、②被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者(ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは除く)、③詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者、④詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者、⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者について、相続欠格事由として定めています。

相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)

60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子又は孫への生前贈与について、子又は孫の選択により利用できる贈与税の制度です。相続時精算課税の利用を選択した場合、贈与財産が累計2,500万円までは非課税となり(特別控除額。1回の贈与で枠を使い切る必要はなく、複数年にわたり利用できます。)、それ以上の部分について一律20%の贈与税が課税されます。そして、その後の相続の際に、生前贈与した贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を控除することになります。なお、相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除(110万円)を利用することはできません。

相続順位(そうぞくじゅんい)

被相続人の遺産を受け取ることができる法定相続人になれる優先順位です。民法では、配偶者以外の法定相続人につき、①第1順位:直系卑属(子。代襲相続の場合は孫)、②第2順位:直系尊属(父母。父母がいない場合は祖父母)、③第3順位:兄弟姉妹(代襲相続の場合は甥姪)という相続順位を定めており(配偶者は常に相続人になります。)、相続順位が高い人が法定相続人になります。

相続税還付(そうぞくぜいかんぷ)

一度納めた相続税が払い過ぎだった場合に、払い過ぎた分を後から返してもらうことです。相続税還付の手続は、相続税の申告期限から5年以内(相続の開始を知った日の翌日から5年10ヶ月以内)に、税務署に更正の請求をして行います。

相続税の申告(そうぞくぜいのしんこく)

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日(=被相続人の死亡を知った日)の翌日から10ヵ月以内に行わなければなりません(納税も申告期限までに行う必要があります。)。申告書の提出先は、被相続人の最後の住所地を所轄する税務署です。相続税の申告は全ての相続について必要となるものではなく、一定額以上の相続財産がある相続について必要となります。すなわち、相続税には基礎控除があり、相続財産の総額が基礎控除額を超えなければ非課税となるため、申告が不要となります。相続税の基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の人数)で計算します。

相続分の譲渡(そうぞくぶんのじょうと)

自分の相続分を他の相続人や相続人以外の第三者に譲り渡すことです。相続財産全体に対する割合的な持分を譲渡するので、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(債務)も譲渡されます。ただし、債権者には対抗できないため、譲渡後に債権者から請求されても拒めない可能性があります。譲渡人は遺産に関する持分を有しないことになるので、遺産分割協議に参加する必要がなくなり、譲受人が遺産分割協議に加わることになります。なお、相続放棄の場合は、最初から相続人でなくなりますが、相続分の譲渡の場合は、あくまで持分が移転するだけで相続人でなくなるわけではありません。

相続分の放棄(そうぞくぶんのほうき)

相続財産のうち、プラスの財産についての権利を放棄することです。初めから相続人ではなかったとされる相続放棄と異なり、相続人である地位は失わないため、相続財産にマイナスの財産(債務)があった場合に、その負担を逃れることはできません。なお、相続放棄は相続の開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述しなければできませんが、相続分の放棄は期間制限はなく、方式も特に決まっていません。

相続放棄(そうぞくほうき)

相続人が被相続人の財産(権利や義務)を一切受け継がない方法です。相続放棄した人は最初から相続人でなかったことになります。相続放棄の手続は、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、被相続人の最後の住所を所轄する家庭裁判所に申し立てて行います。限定承認と異なり、相続人全員で行う必要はなく、個々の相続人の判断で手続きが可能です。相続放棄をした方がよいケースとしては、明らかにプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合、特定の相続人に相続財産を承継させたい場合(事業承継等)、相続問題に巻き込まれたくない場合等があります。

贈与税(ぞうよぜい)

個人から財産をもらったときに、もらった人にかかる税金です。贈与税は、原則として、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計金額から、基礎控除額の110万円を控除した残額にかかります(暦年課税)。したがって、贈与を受けた額が年間110万円以下であれば、贈与税はかかりません。なお、贈与税の課税方法としては、他に「相続時精算課税制度」もあります。

底地(そこち)

借地権が付いている土地を「底地」といいます。底地を保有している人は、一般的に「地主」と呼ばれ、借地権者(土地の借主)から地代(賃料)を収受できるというメリットがある一方で、土地を自由に使うことができない、流動性が低い(売却が難しい)等のデメリットもあります。相続財産として底地があった場合、相続税の課税対象となりますが、相続税評価額の計算においては、自由に利用できないといった底地のデメリットが考慮されます。具体的には、底地の相続税評価額は、「自用地としての評価額(土地を自分で使用するときの評価額)×(1-借地権割合)」で計算されます。

た行

代襲相続(だいしゅうそうぞく)

本来であれば相続人となるはずの人が、被相続人より先に死亡していたり、相続欠格・相続排除により相続権を失っていたりして相続ができない場合に、その人の子どもが代わりに相続人になる制度です。代襲相続をする相続人を代襲相続人といい、代襲相続人の相続分は、本来相続人となるべきだった人の相続分と同じ割合になります。

代償分割(だいしょうぶんかつ)

遺産分割方法の1つであり、相続人の中の特定の者が相続財産を受け取り、その代わりに、その他の相続人に金銭(代償金)を支払う分割方法です。たとえば、相続人としてA、B、Cの3人がおり、相続財産として、6000万円の価値のマンションがある場合に、マンションをAが相続し、AがBとCに対して2000万円ずつ支払う場合が代償分割となります。

退職手当金等受給者別支払調書(たいしょくてあてきんとうじゅきゅうしゃべつしはらいちょうしょ)

従業員等が死亡退職したことにより遺族に退職手当金等を支払った場合は、会社は、「退職手当金等受給者別支払調書」を税務署に提出する必要があります。従業員等の死亡後にその支給期が到来した退職金については、みなし相続財産として、所得税ではなく相続税の課税価格計算の基礎に算入されるためです。なお、死亡退職金の受取人が複数いる場合には、受取人ごとに退職手当金等受給者別支払調書を作成する必要があります。

単純承認(たんじゅんしょうにん)

相続人が被相続人の財産(権利や義務)を全て引き継ぐ(相続する)ことです。単純承認の場合、不動産や預貯金といったプラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産も引き継ぐことにります。単純承認をする場合、特に手続きというものはなく、相続開始を知った日から3ヵ月以内に限定承認か相続放棄の手続をしなければ、自動的に単純承認をしたとみなされます。また、相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合(ただし、保存行為及び短期賃貸借の期間を超えない賃貸をすることを除く)、限定承認や相続放棄後に相続財産の隠匿・消費等をした場合も、単純承認をしたものとみなされます。これらを法定単純承認(民法921条)といいます。

担保(たんぽ)

契約や取引が履行されず損失が生じた場合のリスクに備えるために、債権者が債務者にあらかじめ何らかの約束をさせたり、何らかの物品を差し入れさせたりすること(または、その約束や物品そのもの)です。担保には、人的担保(保証人を付ける等)と物的担保(抵当権、質権等)があります。相続との関係では、相続税を延納する場合に、延納税額及び利子税の金額に相当する担保の提供が必要となる場合があります。

地上権(ちじょうけん)

他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利です(民法265条)。工作物とは、土地に定着する人工物で、たとえば、建物、道路、橋、トンネル等です。地上権は財産的価値がありますので、相続財産として地上権があれば、相続税評価の対象となります。地上権の相続税評価は、地上権の残存期間に応じた割合と自用地としての評価額を掛けて算出します(地上権評価額=自用地の価額×権利の残存期間に応じた割合)。地上権のうち、区分地上権の相続税評価額については、自用地としての評価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた「土地利用制限率」を基として算定した区分地上権の割合を掛けて算出します(区分地上権評価額=自用地の価額×区分地上権の割合)。

地積規模の大きな宅地の評価(ちせききぼのおおきなたくちのひょうか)

面積が著しく広い土地の評価額を減額できる制度です。三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)においては500㎡以上の地積の宅地、それ以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地が、「地積規模の大きな宅地」になります。
ただし、市街化調整区域、工業専用地域、容積率が400%(東京23区は300%)以上の地域、財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地に該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。
また、路線価地域に所在するものについては、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものでなければ「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となりません(倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。)。地積規模の大きな宅地の評価の計算式は、「地積規模の大きな宅地の評価額=路線価×各種補正率×規模格差補正率×土地面積」となります。

嫡出子(ちゃくしゅつし)

法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子どものことです。民法では、①妻が婚姻中に妊娠した子(772条1項)、②婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子(772条2項)、③婚姻の解消または取消しの日から300日以内に生まれた子(772条2項)、④未婚時に生まれ、後に父から認知され、さらにその後に父母が婚姻した子(789条1項。婚姻準正)、⑤未婚時に生まれ、後に父母が婚姻し、さらにその後父が認知をした子(789条2項。認知準正)、⑥養子縁組をした子(809条)を嫡出子と定めています。

直系尊属(ちょっけいそんぞく)

父母、祖父母、曽祖父母等、縦のつながりで結ばれている基準となる人より上の世代に属する者のことをいいます。「直系」とは、世代の上下の方向につながる血族のことで、「尊属」とは、自分よりも上の世代の血族のことです。「血族」とは、血縁関係にある人のことで、生物学上の血縁(自然血族)だけでなく、養子縁組による法律上の血族(法定血族)も含まれます。なお、縦のつながりから枝分かれした人との関係は傍系(ぼうけい)といい、兄弟姉妹やおじ・おば等が傍系にあたります。

直系卑属(ちょっけいひぞく)

子、孫、ひ孫等、縦のつながりで結ばれている基準となる人より下の世代に属する者のことをいいます。「直系」とは、世代の上下の方向につながる血族のことで、「卑属」とは、自分よりも下の世代の血族のことです。なお、「血族」とは、血縁関係にある人のことで、生物学上の血縁(自然血族)だけでなく、養子縁組による法律上の血族(法定血族)も含まれます。なお、縦のつながりから枝分かれした人との関係は傍系(ぼうけい)といい、兄弟姉妹やおじ・おば等が傍系にあたります。

電話加入権(でんわかにゅうけん)

NTT東日本とNTT西日本の加入電話回線を契約するための権利のことです。電話加入権は相続財産に含まれ、相続税評価の対象となります。ただ、電話加入権の相続税評価額は現在では非常に低額ですので、相続税に関する影響はほぼないといえます。

登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)

登記事務をコンピュータで処理している登記所で、磁気ディスクに記録された登記事項の内容(全部または一部)を用紙に印刷し、証明したものが登記事項証明書です。なお、登記事務をコンピュータで処理していない登記所では、登記用紙に登記事項を記録しており、その用紙を複写し、証明したものを「登記簿謄本」といいます。コンピュータ内の情報を印刷したものか、登記用紙をコピーしたものかという点が異なるだけで、いずれも証明する内容は同じです。

投資信託(とうししんたく)

投資家から集めたお金をまとめて、資産運用の専門家であるファンドマネージャーが株式や債券などに投資・運用し、それによって生じた利益を投資家に還元するという金融商品です。被相続人が投資信託を行っていた場合、その投資信託の受益権は相続財産となります。投資信託の受益権は、証券会社に開設された被相続人名義の口座の中で管理されているのが通常ですので、投資信託の受益権を相続するには、証券会社での手続きが必要となります。

特定遺贈(とくていいぞう)

特定遺贈とは、遺贈する財産を特定して行う遺贈のことです(例えば、「Aに東京都港区○○1丁目1番地の土地を遺贈する。」等。)。特定遺贈の受遺者は、包括遺贈の場合と異なり、指定された遺産をもらうだけで、債務を引き継ぐことはなく、遺産分割協議には参加しません。
また、特定遺贈の受遺者は、遺言者の死亡後、期間の制限なくいつでも遺贈を放棄することができます(民法986条1項)。ただし、遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができ、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなされます(民法987条)。

特定財産承継遺言(とくていざいさんしょうけいいごん)

相続財産に属する特定の財産を特定の相続人に承継させる旨の遺言のことです。たとえば、「下記の不動産を○○に相続させる。」といった内容の遺言です。民法改正(2019年7月1日から施行)以前は、「相続させる旨の遺言」と呼ばれていました。

特別受益(とくべつじゅえき)

共同相続人の中に被相続人から遺贈や生前贈与、死因贈与を受けた人がいる場合に、その人が受けた利益のことを「特別受益」といいます。特別受益を受けた共同相続人がいる場合、他の相続人との間に不公平が生じるため、この不公平を是正するため「特別受益の持ち戻し」が行われます。
具体的には、被相続人が相続開始時において有した財産の金額に特別受益の金額を加算したものを相続財産とみなし、その金額に基づいて遺産分割を行います(特別受益を受けた共同相続人は、法定相続分から特別受益の額を控除されます。)。特別受益になりうる財産としては、民法903条で、遺贈、婚姻・養子縁組のための贈与、生計の資本などの贈与が例示されていますが、他にも高等教育のための学費や、多額の生命保険金等があります。

特別養子(とくべつようし)

養子と実親との親子関係を断ち切り、養親と養子との間に実子と同じ親子関係を生じさせる養子縁組を、特別養子縁組といいます。特別養子縁組では、養子は養親が死亡した場合には法定相続人となりますが、普通養子縁組と異なり、実親との法律上の親子関係がなくなるため、実親が死亡した場合には法定相続人となりません。

な行

2割加算(にわりかさん)

相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属を含む。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される制度を「相続税の2割加算」といいます。このような場合に相続税額が高くなるのは、子を飛び越して孫が財産を取得した場合には相続税を1回免れることや、親子や配偶者以外の相続人が財産を取得するのは偶然性が高いことなどが理由とされています。

認知(にんち)

法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子ども(非嫡出子・婚外子)について、血縁上の父親が自分の子どもであると承認することで父子関係を発生させることです。
非嫡出子の認知は父親が生前にすることも、遺言ですることもできます。認知された非嫡出子は、嫡出子(婚姻関係にある男女の間に生まれた子ども)と同じ割合で父親の遺産を相続することができます。
農地の納税猶予の特例(のうちののうぜいゆうよのとくれい) 農業を営んでいた被相続人または一定の条件のもとで農地を貸し出していた被相続人の死亡により農地を相続する場合に、相続人が今後も農業を続ける場合や一定の条件のもとで農地を貸し出す場合に、一定の相続税額につき納税を猶予する特例です。

は行

配偶者(はいぐうしゃ)

夫婦の一方から見て他方のことです。妻から見れば夫、夫から見れば妻が配偶者です。

配偶者控除(はいぐうしゃこうじょ)

相続税における配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは、配偶者が相続した財産のうち課税対象となるものの額が1億6000万円までであれば、配偶者に相続税がかからない制度です。また、配偶者の相続した財産が1億6000万円を超えた場合でも、それが配偶者の法定相続分以内であれば相続税はかかりません。

廃除(はいじょ)

相続人の廃除とは、遺留分を有する推定相続人(兄弟姉妹以外で、相続が開始した場合に相続人となるべき者)の相続権を失わせる制度です。廃除は、被相続人が生前に家庭裁判所に審判の申立てをするか、被相続人が遺言で排除の意思表示をして被相続人の死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に審判の申立てをして行います。
廃除が認められるのは、被相続人が遺留分を有する推定相続人から虐待を受けたとき、重大な侮辱を加えられたとき、推定相続人にその他の著しい非行があったときです。

非課税財産(ひかぜいざいさん)

課税の対象とならない財産を非課税財産といいます。相続税が非課税となる非課税財産には、①墓地、墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物、②宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人等の相続財産で、公益事業のために使われることが確実なもの、③心身障害者共済制度の給付金を受ける権利、④生命保険金等の一部(500万円×法定相続人の数までの部分)、⑤退職手当金等の一部(500万円×法定相続人のまでの部分)、⑥相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの等、⑦個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの、等があります。

被相続人(ひそうぞくにん)

遺産相続の場面において相続財産を遺して亡くなった人、つまり、相続される人のことです。相続は、被相続人の死亡によって開始します(民法882条)。

卑属(ひぞく)

自分よりも下の世代の血族のことです。

非嫡出子(ひちゃくしゅつし)

法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どものことです。非嫡出子の法定相続分は、2013年に改正される前の民法では「嫡出子の2分の1」と定められていましたが、現行民法では嫡出子と同じになっています。

秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)

遺言の内容を誰にも知られることなく秘密にしたまま、遺言書の存在のみを公証人に証明してもらう遺言のことです。秘密証書遺言は、遺言者が自分で遺言を作成して署名・押印をし、その遺言を封筒に入れて遺言で用いた印で封印をしたうえで、公証人と証人2人以上の前に封筒を提出し、自己の遺言であることと氏名住所を申述し、公証人が、その遺言に提出した日付及び遺言者の申述(自己の遺言であること及び氏名住所)を封筒に記載した後、遺言者及び証人とともに封筒に署名・押印するという方式で作成します。
なお、遺言書の作成に際し、日付を特定して記載し、署名押印が必要となる点は自筆証書遺言と同様ですが、秘密証書遺言では、署名さえ自書すれば、遺言の本文はパソコンで作成することも可能です。秘密証書遺言は公証役場では保管されず、遺言者が自ら保管することになりますが、公証役場に秘密証書遺言を作成したという記録が残ります。
また、自筆証書遺言と同様に、相続開始後に裁判所による遺言の検認が必要となります。

普通養子(ふつうようし)

実の親との親子関係を継続したまま、養親との間に新たな親子関係を生じさせる養子縁組を、普通養子縁組といいます。普通養子縁組では、養親との間に法律上の親子関係が新たに成立しますが、実親との間の法律上の親子関係が消滅するわけではないので、養子は、養親が死亡した場合にも、実親が死亡した場合にも法定相続人となります。
なお、養子が養親よりも先に亡くなった場合に、養子の子供が養親の代襲相続人となるかどうかについては、なる場合とならない場合があり、①養子縁組後に生まれた養子の子は代襲相続人となりますが、②養子縁組前に生まれた養子の子は代襲相続人となりません。

物納(ぶつのう)

相続税は、金銭で納付することが原則ですが、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、一定の相続財産により納付することが認められます。
これを相続税の物納といいます。相続税の物納が認められるには、①延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること、②物納申請財産は、納付すべき相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、定められた財産及び順位で、その所在が日本国内にあること、③物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること及び物納劣後財産に該当する場合には他に物納に充てるべき適当な財産がないこと、④相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに物納申請書等の必要書類を税務署に提出すること、という要件を満たす必要があります。

包括遺贈(ほうかついぞう)

包括遺贈とは、相続財産の全部又は一定割合で指定して行う遺贈のことです(例えば、「Aに相続財産の2分の1を遺贈する。」等。)。包括遺贈の受遺者は、プラスの財産をもらうだけでなく、相続財産にマイナスの財産(債務)があれば、それも指定された割合に応じて引き継ぐことになります。また、遺産分割が必要な場合には、包括受遺者は遺産分割協議に参加します。
包括遺贈の受遺者は、遺贈を放棄することが可能ですが、相続放棄の場合と同様に、遺贈を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所で放棄の手続を行う必要があります。3ヵ月以内に遺贈の放棄の申述をしないと遺贈を受けると承認したものとみなされます。

法定相続人(ほうていそうぞくにん)

民法で定められている相続人のことです。被相続人の配偶者は常に相続人になります(民法890条)。配偶者以外に相続人になる者として、血族相続人が定められています。血族相続人には優先順位があり、上位順位の法定相続人がいれば下位順位以降の者は相続人になりません。
優先順位は、①子及びその代襲者、②直系尊属(父母、祖父母等)、③兄弟姉妹及びその代襲者の順になっています。①被相続人の子は第1順位の相続人となり(887条1項)、被相続人の子が相続開始以前に死亡したり、欠格事由や廃除によって相続権を失ったりした場合は、その子の直系卑属(その子の子、つまり被相続人からしたら孫等)が相続人となります(代襲相続、887条2項)。さらに、代襲者が、相続の開始以前に死亡したり、代襲相続権を失ったりした場合、代襲者の子が相続人となります(再代襲相続、887条3項)。
②子及びその代襲者で相続人になる者がいない場合、直系尊属(父母、祖父母等)が相続人になります(889条1項1号)。
その場合、親等の異なる者の間では、近い者が優先されます。例えば、父母と祖父母がいる場合、父母が相続人となります。③直系尊属もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります(889条1項2号)。兄弟姉妹については、代襲相続はありますが(甥姪による相続)、再代襲相続はありません(民法889条2項)。

法定相続分(ほうていそうぞくぶん)

民法で定められている共同相続人の相続割合、つまり遺産の取り分です。法定相続分は、①配偶者と子が法定相続人の場合(配偶者:2分の1、子:2分の1)、②配偶者と直系尊属が法定相続人の場合(配偶者:3分の2、直系尊属:3分の1)、③配偶者と兄弟姉妹が法定相続人の場合(配偶者:4分の3、直系尊属:4分の1)、④配偶者のみが法定相続人の場合(配偶者:相続財産のすべて)、⑤子のみが法定相続人の場合(子:相続財産のすべて)、⑥直系尊属のみが法定相続人の場合(直系尊属:相続財産のすべて)、⑦兄弟姉妹のみが法定相続人の場合(兄弟姉妹:相続財産のすべて)となっています。子、直系尊属、兄弟姉妹が複数のときは、その中で均等に分けます(ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1になります。)。
法定相続分は、必ずその割合で分けなければならないというものではなく、遺言に遺産の分け方が指定されていれば遺言が優先されますし、遺産分割協議により法定相続分と異なる割合で分けることも可能です。

保証人(ほしょうにん)

主債務者が債務の履行をしないときに、主債務者に代わり債務の履行をする義務を負う者です。被相続人が保証債務を負っていた場合、その保証債務は相続の対象となります。つまり、保証人の地位が相続人に引き継がれることになります。

本籍(地)(ほんせき(ち))

本籍は戸籍の所在場所で、戸籍簿を管理している市区町村が本籍地です。本籍は、日本国内で地番が存在する土地であれば、戸籍に記載される人が任意に定めることができ、変更も可能です。

ま行

未上場企業の株式(みじょうじょうきぎょうのかぶしき)

証券取引所等に上場していない企業の株式のことで、非上場株式ともいいます。上場株式の相続税評価額は、原則として被相続人の死亡日の最終価格を評価額としますが、未上場企業の株式は取引価格が存在しないため、①純資産方式、②類似業種比準方式、③配当還元方式のいずれかを使用して評価します。

未成年者控除(みせいねんしゃこうじょ)

相続人が未成年者のときに、相続税の額から一定の金額を差し引く制度です。未成年者控除が受けられるのは、①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所があるか(一時居住者で、かつ、被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合除く。)、または、相続や遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも一定の要件に当てはまること、②相続や遺贈で財産を取得したときに20歳未満であること、③相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること、という要件を全て満たす場合です。未成年者控除の額は、未成年者が満20歳になるまでの年数(1年未満の期間があるときは切り上げて1年)×10万円で計算します。

みなし相続財産(みなしそうぞくざいさん)

民法上は相続財産とならないが、相続税法上は(つまり、相続税を計算する際には)相続財産とみなされる財産のことです。みなし相続財産に当たるものとしては、①死亡保険金(被相続人が被保険者で、保険料の全部または一部を負担し、被相続人以外の者を受取人とするもの)、②死亡退職金等(被相続人の死亡により相続人等に支給された退職金等で、その支給が死亡後3年以内に確定したもの)、③生命保険契約に関する権利(被相続人が保険料を負担していたが、保険契約者ではないもの)、④定期金に関する権利(終身年金等定期的に支払われるもので、被相続人が掛け金や保険料を負担し、被相続人以外の者が契約者となっているもの)等があります。

名義預金(めいぎよきん)

預金口座の名義人と実際に預金をしている人が異なる預金のことです。例えば、親や祖父母が子どもや孫の名前で預金する場合がこれにあたります。被相続人以外の者が名義人となっている預金でも、名義預金であれば、被相続人の財産として相続税の課税対象となります。

や行

養子縁組(ようしえんぐみ)

親子関係のない者同士に法律上の親子関係を成立させる制度です。養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2つがあります。養子は、縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得するため(民法809条)、養親を被相続人とする相続が発生した場合、養子も実子と同様に法定相続人となります。ただし、民法上は、養子の人数について特に制限はありませんが、相続税法上は、租税回避に養子制度が悪用されるのを防止するため、法定相続人に加えられる養子の数に上限が設けられています(被相続人に実子があるときは1人まで、実子がないときは2人まで) 。

ら行

利子税(りしぜい)

期日までに納税できないことから延納が認められたときや物納が認められたときに、その期間に応じて課税される附帯税です。相続税の延納が認められた場合は、延納した相続税額を支払う度に利子税を支払うことになります。物納の場合は、物納許可に係る相続税の納期限又は納付すべき日の翌日から、その物納許可に係る財産の所有権移転手続きを了した日(収納の日)までの期間について利子税がかかります。

累進課税(るいしんかぜい)

課税標準(税額計算の基礎となる金額)が大きくなるほど適用される税率が高くなる課税方式のことです。相続税については、課税標準が一定額を超えた場合に、その超えた金額に対してのみ高い税率を適用するという超過累進課税制度がとられています。

暦年贈与(れきねんぞうよ)

暦年(1月1日~12月31日)ごとに行われた贈与について贈与税を支払う制度で、贈与税には1人当たり年間110万円の基礎控除額(非課税枠)があるため、この基礎控除を利用して毎年少しずつ子供や孫に贈与を行って、贈与税がかかるのを回避しつつ相続税のかかる財産を減らすという相続税対策の方法です。

連帯保証人(れんたいほしょうにん)

債権者に対して、主債務者(お金の借主)と連帯して債務の支払義務を負う保証人のことです。通常の「保証人」に認められる、①催告の抗弁権、②検索の抗弁権、③分別の利益が認められないという点において、保証人によりも重い責任が課されています。①催告の抗弁権とは、債権者が主債務者に請求せずにいきなり保証人に債務の弁済を請求してきた際に、「まずは主債務者に請求してください」と主張できる権利です。②検索の抗弁権とは、主債務者に返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否した場合に、債権者に対して、「主債務者に返済資力があるので、主債務者から返済してもらうか、主債務者の財産を差し押さえてください」と主張できる権利です。③分別の利益とは、保証人が複数いる場合に、各保証人は債務の全額ではなく保証人の人数で按分した金額だけを返済すればよいという利益です。

連年贈与(れんねんぞうよ)

毎年繰り返して贈与を行うことを「連年贈与」といいます。「暦年贈与」における非課税枠(110万円)を利用して節税対策を行う際には、「連年贈与」と「定期贈与」に注意する必要があります。国税庁のサイトの贈与に関する質疑応答事例では、「定期金給付契約に基づくものではなく、毎年贈与契約を結び、それに基づき毎年贈与が行われ、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりません」とされている一方で、「ただし、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約(約束)をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。」とされています。
つまり、同じ毎年100万円の贈与を10年間受けるという事実であっても、定期金給付契約に基づくものではなく、毎年贈与を行う度にきちんと贈与契約書を作る等していれば、「連年贈与」であっても贈与税が課税されませんが、贈与契約時に毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与するという内容で契約してしまうと(契約書を作成してしまうと)、「定期贈与」として贈与税がかかるということです。

路線価(ろせんか)

税金の計算をする際の基準となる不動産の価格(評価額)を表すもので、相続税の計算をする際には「相続税路線価」が使われます(他に、「固定資産税路線価」というものもあります。)。路線価は毎年更新され、通常7月1日に全国の国税局や税務署で公示されます。路線価は、1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基にした価格(時価)の80%程度が目安とされています。

わ行

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