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遺言書

相続における公正証書の役割

一般の方にとって公正証書を作る機会はそれほど多くないため、あまり馴染みのないものかもしれません。

しかし、公正証書で作らないと効力が生じない契約や、必ずしも公正証書で作る必要はないが公正証書で作った方が良い文書もあります。

今回は、「相続における公正証書の役割」と題して、相続などと公正証書の関連について見ていきます。

1.公正証書について

(1) 公正証書とは

公正証書とは、公証人がその権限(公証人法)において作成する文書のことで、公文書として扱われます。

公正証書遺言や任意後見契約書といったものが公正証書にあたります。

(2) 公証人とは

公証人とは、中立かつ公正な立場で国の公務である「公証事務」を行う法律の専門家で、法務大臣によって任命される国家公務員です。

公証人は法律の専門家で、下記のような法律の実務に深く関わった人で、公募に応じた人の中から法務大臣が任命します(公証人法第13条)。

  • 判事や検事などを長く務めた法律実務の経験豊かな人
  • 多年法務事務に携わり、法曹有資格者に準ずる学識経験を有する者で検察官・公証人特別任用等審査会の選考を経てた人

全国で約500名の公証人がおり、公証人の仕事の一つが公正証書の作成です。

(3) 公証役場とは

公証人が業務を執務する場所が公証役場で、この公証役場で公証事務を行います。

公証役場は、法務省法務局の管轄で全都道府県に設置されており、国内に約300ヶ所あります。
公証役場は、以下のWEBページより検索することができます。

【参考】「日本公証役場連合会

[参考記事] 公正証書遺言に欠かせない公証役場・公証人とは

2.公正証書を作成するメリット

公正証書の作成は有償(作成内容や作成枚数によります)になりますが、お金をかけてでも公正証書を作成するメリットには次のようなものがあります。

(1) 証拠能力が高い

相続などで争いごとが発生すると、まずは当事者同士の話し合いで解決を図ります。
話し合いで解決しない場合は裁判(遺産分割の場合は、家庭裁判所の調停又は審判)ということになります。

このような当事者同士の話し合いや裁判などで重要となるのは「証拠」です。

公正証書であれば、公証人が作成した公文書ですので証拠能力が高いといえます。第三者、しかも法律に基づく権限のある公証人が作成した文書なので、一般にそのように解されています。

一方で、私文書(個人・私人が作成した文書)は証拠能力が低いとされています。

(2) 執行力がある

執行力とは、裁判で確定した判決等に基づいて「強制執行(差押え)」ができる効力のことです。
この執行力は、裁判の判決によるものだけではなく、公正証書(執行認諾文言付)にも認められます(民事執行法22条5号)。

公正証書に「執行認諾文言」を記載すると、裁判での確定した判決と同じ効力を持ち、裁判を行わずして強制執行ができるようになります。

この効力は、非常に強力です。裁判を行うと通常は半年以上かかってようやく判決を取得できます。執行認諾文言付きの公正証書は、時間と労力のかかる裁判を一切省いて、執行力が認められるのです。

執行認諾文言とは、例えば、「債務者が債務を履行しない時は、直ちに強制執行を受けても異義のない事を承諾する」といった文言のことをいいます。

(3) 裁判で無効となることや偽造・紛失の心配が少ない

公正証書は、法律の専門家である公証人がその権限において作成する文書ですので、裁判等で無効となることはほとんどなく、安全、安心だと言えます。

また、作成された公正証書の原本を公証役場で保管していますので、偽造の心配はなく、公正証書の控えをなくしてもいつでも再発行できますので、紛失の心配もありません。

3.相続における公正証書の役割

相続に関係する公正証書には色々なものがあります。ここでは、相続で使われる公正証書の役割について見ていきます。

(1) 遺言書(公正証書遺言)

遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

この中で、公証人が作成する遺言が「公正証書遺言」です。

遺言には書き方に形式要件があり、その要件を満たさないと遺言自体が無効になってしまいます。したがって、自分で作成する自筆証書遺言や秘密証書遺言にはこのような遺言が無効になるリスクがあります。

一方、公証人が作成する公正証書遺言であれば、このような形式不備により遺言が無効になることはまずありません。公証人は遺言作成のプロでもあります。

また、自筆証書遺言や秘密証書遺言については、相続が発生したタイミングで家庭裁判所の検認(形式的な不備がないかのチェック)が必要ですが、公正証書遺言の場合はこのような検認は必要がなく、相続発生後、直ちに遺言書の内容を実現することができます。

前項の「公正証書を作成するメリット」でも見てきましたが、偽造・紛失の心配がないということも大きなメリットです。

遺言は、必ずしも公正証書遺言を作成する必要はありませんが、上記のような理由で公正証書遺言を作成することを強くお勧めします。

公正証書遺言 [参考記事] 公正証書遺言とは|メリット・デメリットや作成の流れ、費用

(2) 遺産分割協議書

遺言書がない場合等に、相続人間で遺産分割協議を行って、合意した遺産分割方法を記載したものが「遺産分割協議書」です。

遺産分割協議書には、下記の2つの役割があります。

  • 契約書としての役割
  • 遺産の正当な相続者であるという証明書の役割

契約書としての役割

遺産分割協議書に法定相続人全員が署名押印することにより、契約書として当事者を拘束することになります。

一部の相続人がこの遺産分割協議書に記載された内容に反する行為を行うと、他の相続人は協議書記載のとおりに行動をするよう裁判を起こすこともできます。

遺産の正当な相続者であるという証明書の役割

銀行等での預貯金の相続手続き、法務局での所有権移転登記申請等を行う場合、遺産分割協議書を提出することにより、相続手続きをスムーズに行なうことができます。

相続争い・相続トラブルの可能性がないのであれば、遺産分割協議書を公正証書にする必要はありません。

一方で、相続争い・相続トラブルの可能性がある場合は、公正証書(執行認諾文言付)で遺産分割協議書を作成したほうがよいでしょう。

公正証書(執行認諾文言付)としておくことにより、遺産分割協議書の通り実行しない相続人がいる場合、この公正証書をもとにして強制執行することができるからです。

先ほども述べた通り、すぐに強制執行ができるというところは非常に大きなポイントです。もし仮に、執行認諾文言がないとすると、わざわざ裁判を起こして、時間と労力をかけて、判決(またはそれと同等のもの)を取得して初めて、強制執行をすることができるのです。

遺産分割協議書 [参考記事] 遺産分割協議書とは|作成の目的と条文の書き方を文例集付きで解説

(3) 任意後見契約の契約書

任意後見契約とは、将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、自分の後見人になってもらうことを第三者に委任する契約のことです。

この任意後見契約の契約書は、公正証書で作成しなければならないと定められています(任意後見契約に関する法律第3条)。

[参考記事] 任意後見制度のメリット・デメリットや成年後見・家族信託との違い

(4) 家族信託の契約書

家族信託とは、将来、自分で自分自身の財産を管理できなくなってしまう場合に備えて、家族に自分の財産の管理や処分ができる権限を与えておく方法です。

家族信託は、必ずしも契約を公正証書によって作成する必要はありません。

しかし、家族信託では、不動産等の高額な財産が含まれていることが多くあり、将来的にトラブルが起こる可能性があります。将来的なトラブル防止・トラブル対策のためには、家族信託の契約書を公正証書により作成しておくことも一つの選択肢です。

また、公正証書で契約書を作成すると、前述した通り、偽造や改ざん・紛失などのリスクがありません。

[参考記事] 家族信託契約を公正証書化するメリット・デメリット

(5) 財産管理委任契約の契約書

車椅子生活になったり、高齢になり体力が低下したりしてくると、「銀行に行く」あるいは「市役所で書類を取る」等、日常必要なことに関して自分自身でできにくくなり、信頼できる人に任せたくなります。

財産管理委任契約とは、通常、本人しかできない手続きを、委任状なしに継続的に代理してやってもらうための契約のことをいいます。

財産管理委任契約は、必ずしも公正証書で行う必要はありません。

しかし、財産管理委任契約書は重要な文書の一つで、「銀行口座からの出金」「家賃収入の管理」等、お金に関係することも多くありますので、トラブル防止の目的で、可能であれば公正証書で作成しましょう。

(6) 信託宣言(自己信託)

信託宣言(自己信託)とは、「委託者=受託者」となり、受益者(他人)のために自分の財産を管理・処分等することができる信託の形態のことです。

信託宣言(自己信託)を設定するためには、信託の条項を定めた公正証書を作成することが必須とされています(信託法第3条第3項)。

[参考記事] 信託宣言(自己信託)とは?|家族信託の設定方法

(7) 遺言信託

遺言信託とは、文字通り「遺言」を「信託」すること、つまり、遺言書作成の相談、遺言書の保管、遺言内容の執行等、相続に関することを第三者に委託することをいいます。

遺言信託は、一般的に、信託銀行等が取り扱うサービスです。

遺言信託を利用する場合は、原則として、公正証書遺言を作成する必要があります。

(8) 死後事務委任契約

私たちが亡くなると、葬儀を執り行ったり、役所等への手続きを行なったりといった事務手続きを行わなければなりません。

通常は、家族や親族がこのような事務手続を行いますが、家族や親族がおらず身寄りのない場合は「死後事務委任契約」を締結しておくことにより、生前に自分の死後の事務手続きを第三者に委託しておくことができます。

死後事務委任契約は、必ずしも公正証書で行う必要はありません。

しかし、死後の事務処理等で、相続人や役所等とのトラブルを回避するためには、公正証書で作成するようにした方が良いでしょう。

死後事務委任契約を弁護士等の専門家と結ぶ場合は、通常、公正証書で契約を行う事を求められます。

[参考記事] 死後事務委任契約のメリット・デメリット|おひとりさま対策

4.まとめ

今回は、「相続における公正証書の役割」に焦点を当てて見てきました。

相続に関係する文書や契約には、遺言や遺産分割協議書をはじめ様々なものがあります。
それら文書や契約の中には、公正証書で作成しないと効力が発生しないものもありますが、必ずしも公正証書で作成する必要のないものもあります。

しかし、相続に関する文書や契約は重要なものばかりですので、後々のトラブル防止のためにも、可能な限り公正証書で作成することをお勧めします。

一般の方にとっては、公正証書を作成すること自体馴染みがないため、遺言をはじめ、今回の記事で紹介した文書や契約などを作成する場合は、相続に強い法律事務所等に相談されてはいかがでしょうか。

泉総合法律事務所では、相続をはじめ家族信託や任意後見などの専門知識をもった弁護士が揃っております。公正証書についてご不明なことやお悩みがありましたら、是非一度ご相談ください。

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