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相続に関する税金

相続税対策にはどんなものがあるのか?

平成25年度の税制改正により相続税の基礎控除額が縮小され、その結果、相続税がかかる人が増えてきています。

相続税は、生前から財産の内容を検討し、節税対策を取っていれば大幅に節税できる可能性がある税金です。

今回の記事では、「相続税対策にはどのようなものがあるのか」に焦点を当ててご説明します。

1.相続税対策にはどんなものがある?

まず、相続税対策の方法にはどのようなものがあるのかについて見ていきます。

(1) 相続税対策の方法

相続対策は、主に次の3つの方法に大別することができます。

  • 財産の絶対額を減らす方法
  • 評価額を下げる方法
  • 相続税の控除の仕組みを利用する方法

①財産の絶対額を減らす方法

一つ目は、相続発生前までに財産そのものを減らしておく方法です。

  • 生前贈与を行う方法
  • お墓など非課税財産を購入する方法

②評価額を下げる方法

二つ目は、相続時に評価額を下げる方法です。特に不動産を活用する場合は、相続発生前にアクションをしておく必要があります。

  • 不動産購入などによる不動産を活用した方法
  • 小規模宅地等の特例を使う方法

③相続税の控除の仕組みを利用する方法

最後に、相続発生後にする対策で、各種控除により相続税を節税する方法です。ただし、死亡保険金を利用する場合は、相続発生までに生命保険を契約しておく必要があります。

  • 死亡保険金等の非課税枠を利用する方法
  • 配偶者控除等の各種控除を利用する方法

次項からは、各々の相続税対策について詳細にご説明します。

2.財産の絶対額を減らす

(1) 生前贈与を使う

相続発生前までに生前贈与を使って財産を減らしておく方法です。

①暦年贈与

相続税対策の中で一番簡単で、一番よく使われている節税方法です。

暦年贈与とは、暦年(1月1日~12月31日)ごとに贈与の合計額に応じて贈与税を払う方法です。

贈与税は年間110万円の基礎控除がありますので、110万円以下の贈与なら税金がかかりません。

この暦年贈与を使って子どもや孫に財産を移すことにより、子どもや孫一人に対して110万円の基礎控除まで非課税で贈与ができ、相続税の課税対象となる自分の財産を減らすことができます。

[参考記事] 生前贈与と税金|贈与税の計算と控除を活用した節税対策

②贈与税の配偶者控除

結婚して 20 年以上の夫婦については、夫婦間で居住用不動産等を贈与する場合は「贈与税の配偶者控除」という特例を受けることができます。

自宅不動産や住宅資金を贈与する際に、贈与税の配偶者控除として2,000 万円が控除され、さらに基礎控除の110 万円も控除されますので、合計2,110 万円までは非課税になります。

夫婦間で贈与税の配偶者控除を使い財産を移せば、その分、自分の財産を圧縮させることができます。

③教育資金の一括贈与(適用期限2023年3月31日まで)

次の要件を満たせば、子どもや孫などに対して教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税で贈与ができます。

  • 直系尊属から30歳未満の子どもや孫・ひ孫への贈与であること
  • 子どもや孫・ひ孫の前年の所得が1,000万円を超えないこと
  • 金融機関に子どもや孫・ひ孫の名義の信託口座を開設し、教育資金を一括して拠出すること
  • 学校等に支払う金銭(入学金・授業料など)、学校等以外に支払う金銭(学習塾、習い事、留学の渡航費用など)のうち一定のものであること

この制度を利用すれば、子どもや孫一人に対して1,500万円まで非課税で贈与ができ、自分の財産を圧縮できます。

④結婚・子育て資金の一括贈与(適用期限2023年3月31日まで)

次の要件を満たせば、子どもや孫の結婚・出産・子育ての資金として、1,000万円まで非課税で贈与ができます。

  • 直系尊属から20歳以上50歳未満の子どもや孫・ひ孫への贈与であること
  • 子どもや孫・ひ孫の前年の所得が1,000万円を超えないこと
  • 結婚・子育ての資金として使用すること
  • 金融機関に子どもや孫・ひ孫の名義の信託口座を開設し、結婚・子育て資金を一括して拠出すること

この制度を利用すれば、子どもや孫一人に対して1,000万円まで非課税で贈与ができ、自分の財産を圧縮できます。

⑤住宅取得資金贈与(適用期限2021年12月31日まで※)

主に次の要件を満たせば、20歳以上の子どもや孫へ住宅資金を援助する場合に、一定額(省エネ等住宅の場合1,500万円)まで非課税で贈与ができます。

  • 直系尊属から20歳以上の子どもや孫・ひ孫への贈与であること
  • 子どもや孫・ひ孫の贈与年の所得が2,000万円を超えないこと
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された金額の全額を充てて、住宅の購入、新築、増改築等をすること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、当該住宅に居住すること、または、その後遅滞なく入居することが確実と見込まれること

この制度を利用すれば、子どもや孫一人に対して一定限度額まで非課税で贈与ができ、自分の財産を圧縮できます。

この制度では、他に、新築・増改築する家屋についての要件があります。

※ただし、2022年度の「税制改正大綱」では、この制度が2023 年 12 月 31 日まで2年延長されることになり、法案として取りまとめられた後、年明けの通常国会に提出されます。

(2) 非課税財産を購入する

「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝しているもの」は、相続税がかからない財産と定められています。

そのため、生前に自分の財産を使いお墓などの祭祀財産を購入しておくことにより、相続財産を減らすことができます。

3.評価額を下げる

(1) 不動産を活用する

節税効果が大きい相続税対策の1つに「不動産の活用」があげられます。

不動産を活用した相続税対策のポイントは「財産は、現金として持っているより、不動産として持っているほうが相続税評価額は低い」という点です。

①土地の相続税評価

土地の評価は「一物四価」とも「一物五価」ともいわれており、同じ土地であっても複数の価格が存在します。

土地の売買で使われる評価には「実勢価格」「相続税路線価」「固定資産税評価額」等があり、それぞれ額が違います。

一般的に、相続税評価額は、実勢価格の80%程度といわれています。

したがって、現金1,000万円で「実勢価格」1,000万円の土地を購入した場合、その土地の相続税評価額は、一般的には、実勢価格の80%程度の800万円となります。

その結果、現金を持っているより、土地を購入したほうが相続税評価額を下げることができます。

②建物の相続税評価

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額となります。

建物の固定資産税評価額は、国の定めた「固定資産評価基準」に基づき各市区町村が個別に決定しており、建築価格のおよそ50%~70%程度と言われています。

また、建物の場合、築年数に応じて評価額は下がっていきます。

③賃貸アパート・マンションの建築

次に、所有している土地の上に賃貸アパートやマンションを建築する場合を考えます。

建物の相続税評価額は、基本的には「固定資産税評価額」です。
しかし、賃貸アパート等の建物の場合は、借家人がいるために所有者が自由に処分することができないために、固定資産税評価額からさらに「借家権割合」を差し引いて評価します。

この借家権割合は、全国一律で30%と決められています。

その結果、賃貸アパートやマンションの相続税評価額は、固定資産評価額の70%程度となり、相続税評価額をさらに圧縮することができます。

例えば、5,000万円かけて賃貸アパートを作った場合、固定資産評価額を建築費用の70%と仮定すると、以下の額となります。

相続税評価額
5,000万円×70%×(100%-30%)=2,450万円

③家のリフォーム

家のリフォームも節税効果があります。

例えば、500万円かけて自宅のリフォームを行ったとします。

財産は、500万円減少します。
一方、500万円かけてリフォームした自宅の固定資産税が上がり、結果的に相続税評価額も上がります。

しかし、固定資産税は建築費用の70%程度ですので、現金の削減分と合算すると30%程度財産を減らすことができます。

500万円のリフォームを行った場合は、150万円程度財産を減らすことができます。

④地積規模の大きな宅地の評価の利用

地積規模の大きな土地は、開発分譲に伴う道路や上下水道などの工事の必要性等、面積が大きすぎことで使い勝手が悪く、その分土地の価値が減少します。

地域によって対象となる地積規模は異なりますが、適用条件を満たした面積が一定規模以上の土地に対しては、土地の評価額が60〜80%に減額されます。

ただし、地積規模は相続人単位に評価しますので、被相続人が適用条件を満たした土地を持っていたとしても、遺産分割で適用要件を満たさない小規模の土地に分割して相続した場合は減額対象になりません。

地積規模の大きな宅地の評価を利用する場合は、遺産分割時に注意する必要があります。

(2) 小規模宅地等の特例を利用する

被相続人が生前住んでいた宅地に高額な相続税が課された場合、配偶者等、その相続人がその宅地に住めなくなる可能性があります。

そのため、一定の要件を満たした宅地については、通常の評価額から一定割合を減額することができます。
この制度を小規模宅地等の特例といいます。

例えば、居住用の土地を配偶者が相続する場合は、小規模宅地等の特例を使うことができ、その宅地の相続税評価額の80%が減額されます。

配偶者以外にも小規模宅地等の特例が使える場合や、住居以外の事業用宅地にも使える場合がありますので、次の記事をご参照ください。

[参考記事] 小規模宅地等の特例|土地の相続税評価額が最大8割引

4.相続税の控除を利用する

(1) 生命保険の非課税枠を利用する

生命保険を使って相続税対策を行うことができます。

死亡保険金も相続財産に加えて相続税が課税されますが、法定相続人数に応じて非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり、この非課税枠を使って相続財産を減らすことができます。

詳細については、次の記事をご覧ください。

[参考記事] 生命保険の活用が相続税対策になる!

(2) 配偶者控除等の各種控除を利用する

相続税を計算する際に、各種控除を利用することができます。

相続開始後にできる対策で、適用条件は難しいものではありませんので、どのような控除があるのかが分かっていれば問題なく利用することができます。

①配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減とは、配偶者が受け取る遺産額が「1億6,000万円」「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額までは相続税がかからないという制度です。

[参考記事] 相続税は配偶者控除で遺産総額1億6000万円まで非課税に!

②債務・葬式費用の控除

相続財産は、預貯金や不動産といった通常の財産以外に、ローンや葬儀費用といった負債も含まれます。

そのため、ローンや葬儀費用は、相続財産から控除して相続税を計算します。

[参考記事] 相続税の計算で相続財産から控除できる葬儀費用の範囲

③未成年者控除

相続人が未成年の場合、20歳に達するまでの年数につき10万円が控除されます。

これを未成年者控除といい、相続税額から控除されます。

④障害者控除

相続人が障害者の場合、85歳に達するまでの年数につき10万円が控除されます。
特別障害者の場合は、1年につき20万円が控除となります。

これを障害者控除といい、相続税額から控除されます。

⑤相次相続控除

10年以内に2つの相続が発生した場合に利用可能な控除です。

例えば、5年前に父親を、今回母親をなくした長男の場合、5年前に母親が相続した財産を今回の母親の相続で相続する際に、長男の相続税額から一定金額が控除されるものです。

5.その他の相続税対策:養子縁組を活用する

法定相続人が多いと、その分相続税が少なくなります。

相続税には基礎控除額が設けられていて、相続財産からこの基礎控除額を差し引いた金額に相続税がかかります。
相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算され、法定相続人の数が増えると、基礎控除額が大きくなります

また、相続税の計算においては、まず、法定相続人が法定相続分で遺産相続したとして、それぞれの相続人の相続税を算出します。

その後、それぞれの法定相続人の相続税を合計して「相続税総額」を求めます。

法定相続人の数が増えると、法定相続分の相続財産額が小さくなり、その結果、相続税額も少なくなります。

しかし、法定相続人の数に含めることのできる養子の数は法律によって定められています。

実の子どもとして取り扱われる「特別養子」は人数に関係なく、全て法定相続人の数に含まれます。

一方で、普通養子の場合は、法定相続人の数に含めることができる人数に制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までです。

養子 相続 [参考記事] 養子の相続権・相続分と相続税の注意点

6.二次相続を考慮した相続税対策

夫婦のどちらかが亡くなった時の相続を一次相続、その残された配偶者が死亡した時の相続を二次相続といいます。

配偶者の税額軽減を使えば、ほとんどの場合、配偶者は相続税がかからずに相続することができます。

しかし、一次相続で配偶者の税額軽減を目一杯使って相続を行うと、配偶者に財産が集中して配偶者の財産が増えてしまい、かつ、二次相続では法定相続人の数も少なくなります。

相続税は累進課税ですので、遺産が多ければ多いほど高い割合の相続税が課される仕組みになっています。

その結果、一次相続で配偶者の税額控除を使うと一次相続の相続税は少なくなりますが、一次と二次の相続税合計で比較すると、逆に増えてしまうこともあります。

目の前の一次相続だけでなく、二次相続も考慮して相続対策を行う事が大事です。

7.まとめ

今回は、「相続税対策」に焦点を当てて説明しました。

相続税対策としては、主に次の3つの方法に大別することができます。

  • 財産を減らす方法
  • 評価額を下げる方法
  • 相続税の控除の仕組みを利用する方法

これらの対策の中には、相続発生後に行う対策、相続発生前にやっておかないといけない対策があります。
また、不動産を使った対策等、財産の種別によって使える対策・使えない対策もありますので、財産によって対策を使い分ける必要があります。

相続税は準備次第では大幅に節税できる可能性のある税金ですが、対策を間違えると節税できなくなることもあります。

相続関係の法律は頻繁に改正されることもあり、相続税対策をお考えの方は、相続の経験豊富な税理士にご相談されてことをお勧めします。

相続問題に精通した泉総合法律事務所では、相続税に詳しい税理士とも提携しております。ご紹介することもできますので、是非お気軽にご相談ください。

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