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相続に関する税金

生前贈与と税金|贈与税の計算と控除を活用した節税対策

財産をある程度お持ちの方にとって、贈与税や相続税の納税額をいかにして少なくするか、日々、頭を悩ませていることと思います。

できれば、税金は払いたくないというのが本音ではないでしょうか?

この記事では、節税に焦点を当てて、生前贈与にかかる税金の仕組みと、控除を活用した節税対策について説明します。

1.生前贈与にかかる税金 〜贈与税の仕組み〜

生前贈与とは、贈与契約を結んで、生存している個人から別の個人(子どもや孫など)に財産を譲り渡すものです。

生前贈与の方法には2種類あります。

  • 暦年課税
  • 相続時精算課税

ここでは、この2種類の贈与の仕組み、および、税金について説明します。

(1) 暦年課税贈与の場合

課税の仕組み

暦年課税とは、1月から12月までの1年間にもらった贈与の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた残額に課税される仕組みです。

贈与税は、財産をもらった方(受贈者)にかかります

誰からもらったかは関係なく、受贈者ごとにもらった贈与の合計額により贈与税が計算されます。

受贈者ごとに、誰からもらったかにかかわらず、贈与を受けた合計額が基礎控除額以内、つまり、年間110万円までであれば、贈与税はかかりません。

申告方法

贈与税の申告・納税期限は、贈与があった翌年の2月1日~3月15日までです(この日が土日祝日になったときはその次の平日)。

なお、基礎控除額110万円を越えなければ、原則、申告は必要ありません。

(2) 相続時精算課税制度を利用する場合

課税の仕組み

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母(贈与者)から、20歳以上の子又は孫(受贈者)に対し、財産を贈与する場合に選択できる贈与税の制度です。

この制度は、原則、贈与時に贈与税が課税されるのではなくて、贈与者の死亡時に、贈与者(被相続人)の相続財産に含めて相続税が加算される制度です。

相続時精算課税と暦年課税は二者択一で、一度相続時精算課税を選択すると、暦年贈与に戻す事はできません。

この制度を選択すると、複数年にわたり利用できる2,500万円の特別控除額があり、贈与合計額がこの金額を超えない限り、贈与税は課税されません。

2,500万円の特別控除額を超える場合には、一律20%の税率で計算した贈与税を一旦納税します。

その後、贈与者の相続が発生した際に、相続時精算課税を選択した年以降の贈与財産(贈与時の時価)全てを相続財産に含めて相続税の計算をして、支払い済みの贈与税は精算されます。

相続財産に加算する贈与財産は「贈与時の時価」となりますので、将来的に値上がりする財産を贈与すると、節税効果が大きいといえます。

申告方法

この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、税務署に申告する必要があります。

贈与の金額にかかわらず、必ず申告しないといけません。

2.贈与税の計算方法

「相続時精算課税」は相続税として課税されますので、ここでは、「暦年課税」の贈与税について説明します。

(1) 暦年贈与の贈与税の税率

贈与税率には、次の2種類があります。

  • 一般贈与財産用(一般税率)
  • 特例贈与財産用(特例税率)

一般贈与財産用(一般税率)

特例贈与財産用に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。

例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

特例贈与財産用(特例税率)

直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 30万円
600万円以下 30% 90万円
1,000万円以下 40% 190万円
1,500万円以下 45% 265万円
3,000万円以下 50% 415万円
3,000万円超 55% 640万円

相続税率

参考までに、下記に相続税率の一部をご紹介します。

法定相続分に応ずる取得金 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円

相続税の税率と比較すると、贈与税の税率が高いことがわかります。

(2) 贈与税の計算方法

贈与税は、次の手順で計算します。

①贈与額を求める

その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。

②基礎控除後の課税価格を求める

贈与の合計額から基礎控除額110万円を差し引いて、課税価格を求めます。

③贈与税額を計算する

課税価格をもとに、税率/控除額を使って贈与税額を計算します。

(3) 贈与税の実例

次の想定で、暦年贈与の節税効果を見ていきます。

  • 遺産総額:1億2,000万円(各種控除後の課税遺産総額)
  • 相続人:子ども3人
  • 暦年贈与:毎年110万円を3人に、10年間贈与

暦年贈与を行わない場合

実際の遺産分割では、法定相続分で分割をしない場合もありますが、相続税を計算する上では、「法定相続分に応ずる各相続人の相続税額(以下、ここでは「各相続人の仮の相続税額」と呼ぶことにします)」を算出して、その合計額が全体の相続税額になります。

遺産総額1億2,000万円が相続税の課税対象になり、下記で計算した「各相続人の仮の相続税額」の合計が相続税額となります。

各相続人の仮の相続税額=課税遺産総額×法定相続分×税率-控除額

  • 課税遺産総額:1億2,000万円
  • 法定相続分:子ども3人とも、1/3ずつ(各人4,000万円ずつ)
  • 課税遺産総額4,000万円の場合の税率、控除:20%、200万円

「各相続人の仮の相続税額」=1億2,000万円×1/3×20%-200万円=600万円

子ども3人の「各相続人の仮の相続税額」の合計は、600万円×3人=1,800万円

相続税として合計1,800万円課税されます。

贈与は行っていませんので、贈与税はゼロです。

10年間暦年贈与を行った場合

暦年贈与として、毎年110万円を3人に、10年間贈与した場合、「基礎控除額110万円/年」の範囲内ですので、贈与税はかかりません。

10年間の贈与総額3,300万円分、課税遺産総額が減りますので、課税遺産総額は8,700万円となります。

  • 課税遺産総額:8,700万円
  • 法定相続分:子ども3人とも、1/3ずつ(各人2,900万円ずつ)
  • 課税遺産総額2,900万円の場合の税率、控除:15%、50万円

「各相続人の仮の相続税額」=8,700万円×1/3×15%-50万円=385万円

子ども3人の「各相続人の仮の相続税額」の合計は、385万円×3人=1,155万円

相続税はとして合計1,155万円課税されます。

贈与税はゼロです。

節税効果

今回の例においては、次の通り、645万円節税となります。

暦年贈与を行わない場合の税金合計 1,800万円
10年間暦年贈与を行った場合の税金合計 1,155万円
節税額 645万円

3.贈与税の節税対策に使える特例等をご紹介

生前贈与には、暦年贈与以外にも、相続税の節税対策として使える特例があります。

ここでは、節税対策に焦点を当てて、その概要を説明します。

(1) 贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産、あるいは、居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

贈与税の申告書を提出する必要があります。

(2) 住宅取得資金等の一括贈与

自分の住宅を取得するために資金として、父母や祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合、一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額まで贈与税が非課税となる特例です。

贈与税の申告書を提出する必要があります。

(3) 結婚・子育て資金の一括贈与

直系尊属(祖父母・父母等)から、20歳以上50歳未満の子や孫等へ、結婚・子育て資金を贈与した場合、受贈者ひとりあたり、1,000万円までの贈与税が非課税となる特例です。

この特例を受けるためには、金融機関等に「結婚・子育て資金(非課税)専用の口座」を開設する必要がります。

取扱金融機関を経由して、「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出することにより贈与税が非課税となります。

(4) 教育資金の一括贈与

直系尊属(祖父母・父母等)から、30歳未満の子や孫へ、教育資金を贈与した場合、受遺者ひとりあたり、1,500万円までの贈与税が非課税となる特例です。

この特例を受けるためには、金融機関等に「教育資金贈与(非課税口)専用の口座」を開設する必要があります。

取扱金融機関を経由して「教育資金非課税申告書」を提出することにより、贈与税が非課税となります。

(5) 生命保険の非課税枠の利用

生命保険の非課税枠は、贈与税ではなく、相続税の節税対策ですが、同じ節税対策ですので、ここでご紹介します。

生命保険の契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人物の場合、被保険者が亡くなったときに相続税がかかります。

保険金受取人が相続人の場合、死亡保険金の非課税枠を利用することができます。

死亡保険金の非課税枠は、「500万円×法定相続人の数」です。

法定相続人が子ども3人の場合は、最大1,500万円まで死亡保険金が非課税になり、相続税がかかりません。

この場合は、相続税の申告書を提出する必要があります。

4.生前贈与の注意点

間違った生前贈与を行うと節税にならず、結果として、増税になってしまうことがあります。

ここでは、生前贈与を行う際に、注意しなければいけないことについて説明します。

(1) 生前贈与加算に注意

相続が発生した場合、その前3年以内に行われた生前贈与については、相続税の対象になってしまいます。

贈与額が控除金額110万円以内であっても、相続財産の加算対象になりますので相続税が課税されます。

(2) 小規模宅地等の特例を使いたい場合

「小規模宅地等の特例」とは、被相続人が住んでいた土地について、一定の要件を満たす相続人が相続したときに、相続税評価額を80%削減することができる特例です。

この特例は相続時に適用されるものですので、死因贈与には適用できますが、生前贈与した宅地には適用できません

被相続人の自宅の宅地などに小規模宅地等の特例を使いたい場合は、生前贈与は行わずに、相続時にこの特例を使って節税効果を得たほうがいいでしょう。

(3) 財産総額が相続税の基礎控除枠内であれば無理な贈与はしない

相続税には基礎控除枠が設けられており、次の計算式で算出します。

基礎控除=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

法定相続人が子ども3人の場合は、

基礎控除=3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円

となり、4.800万円までは相続税が非課税となります。

財産が、そもそも基礎控除以内であれば、節税対策の観点では、無理に生前贈与を行うことはありません。

贈与税の非課税枠を超えた贈与については、贈与税がかかり、損になりますので、贈与しないといけない特別な理由がなければ、贈与は行わない方がいいでしょう。

5.まとめ

今回は、生前贈与にかかる税金の仕組みや控除を活用した節税対策について見てきました。

生前贈与を計画的に利用することにより、効果的に節税ができることをご理解いただけたと思います。

また、暦年贈与以外にも、節税効果のあるいろいろな特例がありますので、これらの特例を使うことで更に節税効果が高まります。

しかし、税金に関する法令は頻繁に変更されています。こんな時に力になってくれるのが、税理士です。相続税対策として生前贈与から相談していれば、相続税の申告もスムーズにいくでしょう。

泉総合法律事務所では、安心して任せることができる提携税理士をご紹介することができます。お気軽にお問い合わせください。

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