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遺産分割

遺産分割調停は欠席できる?正当な理由は必要か

遺産分割調停 欠席

遺産分割協議がまとまらないとき、家庭裁判所の調停委員の仲介のもと話し合いを行うのが「遺産分割調停」です。

そんな遺産分割調停に参加する意欲はあるものの、指定された期日にどうしても出席できないというケースは考えられます。
また、争いが長引くと、「遺産はもういらないから、調停から離脱したい」という方も出てくるでしょう。

このような場合、調停を欠席することはできるのでしょうか。
また、欠席には正当な理由が必要なのでしょうか。

1.遺産分割調停を欠席する影響

結論から言うと、遺産分割調停は欠席することも可能です。
ただし、欠席により一定の不利益が生じることはあります(1回だけの欠席か、連続しての欠席かなど状況にもよります)。

まずは欠席によりどのような影響があるのかを理解しておきましょう。

(1) 規定上の過料

まず、「遺産分割調停に正当な理由なく出頭しないときは5万円以下の過料に処する」という罰則規定があります(家事事件手続法第258条1項、第51条1項・同3項)。

とはいえ、この「正当な理由」はかなり緩やかに判断されるため、現実的にはこの過料に処されることはないでしょう。
仕事や介護、体調不良などの理由があれば問題視されることはありません。

なお、過料とは、刑事上の科料とは異なり、刑事罰ではないので、仮にこれを課されてもいわゆる「前科」にはなりません。

(2) 連続して欠席すると調停不成立に

欠席があまりに何度も続くようだと「調停不成立」として調停事件は終了となり、自動的に「審判」に移行します(家事事件手続法272条1項、4項)。

[参考記事] 遺産分割審判の進め方と気を付けるべきポイント

調停は当事者間の任意での話し合いげ難しい場合に、裁判賞を利用して話し合いを行う手続きです。しかし、当事者が話し合いのテーブルにつかない以上、「当事者間に合意が成立する見込みがない場合」(家事事件手続法272条1項)として、不成立とせざるを得ないのです。

この場合、欠席する側としては、裁判所に「調停に臨むつもりはない」旨を伝えておくべきでしょう。

(3) 1回だけの欠席は延期になる

欠席が1回だけなら、期日が延期になり次回期日が設定されるだけです。
ただし、無断欠席は相手方当事者・裁判所に迷惑をかけるので、必ず裁判所に連絡し、「都合がつかず調停を欠席する」旨を伝えるようにしましょう。

また、次のような場合には、当事者が欠席していても、調停委員による聴取が行われることが通常で、延期とはなりません。

  • 第1回期日で申立人だけが出席している場合は、とりあえず申立人側の事情を聞いておき、次回期日には相手方の事情から聴取します。
  • 当事者をAとBとした場合に、前回期日にA側がある案を示し、次回期日までにB側が、同案への対応を検討しておく約束となっていたケースでは、Aが欠席したときでも、調停委員はA側案に対するBの意見を聴取します。

裁判所にとって期日は貴重ですから、片方だけが出席した場合でも、事実上、その意見を聴き取っておくことで、次の期日における時間を無駄にしないように対応しているのです。

2.欠席の代替手段

「調停に行きたくない」「都合で欠席せざるを得ない」など、様々な状況があると思いますが、ご自身が直接出席する他にもいくつか代替手段があります。

欠席を決断する前に、まずは代替手段として (1)弁護士による代理、(2)電話会議システムによる参加、(3)受諾書面の提出を考えてみましょう。

(1) 弁護士による代理

弁護士は依頼者に付き添うだけではなく、依頼者の代理人として出席できます。
つまり、本人が出席しなくても、弁護士の出席のみで調停を進めることができるのです。

弁護士の代理は、特に以下のような場合におすすめです。

  • 相続人間に、遺産の経済的価値の評価や特別受益・寄与分などの争いがあり、専門家の知識が必要である
  • 調停には参加したいが平日の日中が忙しかったり、遠方に住んでいたりしてどうしても出席できない
  • 自分なりの要望はあるが、調停委員に自分の言葉で伝えられるか不安
  • 親族との関係が悪化しており、できるだけ関わりたくない

調停で自分の主張を十分に理解してもらうためには、事実関係を整理し、法的主張に組み直して調停委員に伝えなくてはなりません。
弁護士であれば、法的根拠に基づいた論理的な主張ができますし、必要な証拠書類の収集、取捨選択も任せることができます。

(2) 電話会議システムによる参加

事前の申請が必要ですが、裁判所の電話会議システムを利用した参加も可能な場合があります。

当事者が調停を行う裁判所から遠方に住んでいる場合など、家庭裁判所が認めれば、家庭裁判所及び当事者双方が電話会議システムを利用し、調停期日の手続きを行うことができるとされています(家事事件手続法258条1項、54条)。

つまり、電話会議システム利用希望申出書による事前申請を行い、許可が下りれば、電話で遺産分割調停に参加することができます。

ただし、原則として近くの裁判所に出頭し、そこから電話する必要があります。
当事者以外の者を手続に参加させるわけにはいかないので、厳格な本人確認が必要になるためです(裁判所に出頭できない事情があれば、裁判所が認める限り、自宅から参加することも可能です)。

また、実際に電話会議システムの利用の許可が下りるかどうかは各家庭裁判所の裁量に委ねられており、出頭を命じられる可能性もあります。その裁判所での運用を事前によく確認しておくのがおすすめです。

双方が遠方に住んでいるような場合には、交互に裁判所に出廷するなどの運用も見られます。

(3) 受諾書面の提出

既に調停が進み、調停条項案が示されている場合は、その調停条項案に合意する旨の書面(受諾書面)を提出することで、調停を成立させることも可能です(家事事件手続法270条1項)。

調停内容がまとまったケースで、最後になるはずの期日にどうしても都合がつかない場合に活用できます。

なお、受諾書面を提出していても他の当事者が出席していないと合意にはなりません。

実質的には合意が成立しているのに、欠席者がいるために解決が先延ばしになるのは誰にとっても望ましくないため、このような方法が認められています。

3.遺産分割調停に関わりたくない場合

争いが長引くと、「遺産はもういらないから、調停から離脱したい」という方も出てくるでしょう。

相続人の場合、相続放棄することで相続人の地位から降りることができますが、相続放棄をするには、自己のために相続があったことを知ってから3ヶ月以内に申述しなくてはなりません。
すでに遺産分割調停に入っている場合、3ヶ月は過ぎてしまっているケースがほとんどでしょうから、相続放棄できるケースは少ないです。

相続放棄 [参考記事] 相続放棄とは|メリット・デメリットから注意点、手続き方法を解説

しかし、相続放棄の代わりに「相続分の譲渡・放棄をする」という方法があります。

相続分の譲渡・放棄とは、読んで字のごとく、自分の有する法定相続分を第三者に譲渡、またはその相続分を放棄することです。

遺産分割調停では、どの財産を誰が相続するかについて話し合われるのが一般的ですが、自分の相続分を譲渡ないし放棄することで、調停に参加しなくてもよくなるのです。

ただし、気をつけなければならない点があります。
相続分の譲渡・放棄は、相続放棄とは違い、被相続人の債務については引き継がなければなりません。調停から離脱できるというメリットがあるとはいえ、経済的にはなんのメリットも得られないばかりか、場合によってはデメリットだけ背負ってしまうのです。

相続分の譲渡・放棄を検討する場合には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

相続分 譲渡 [参考記事] 相続分の譲渡とは|その効力と活用方法、注意点を解説 [参考記事] 相続分の放棄とは?相続放棄との違い

4.遺産分割調停は弁護士に相談を

遺産分割調停は欠席してもそれ自体による直接的な不利益は基本的にはありません。
しかし、合理的な理由もなく、かつ、調停参加の意欲も示さないまま何度も欠席による期日延期が続くと、調停不成立となり、自動的に審判に移行します。

調停での解決を希望するならば、前述した代替策を講ずる必要があります。

調停を有利に進めたいならば、当初から弁護士を代理人として調停に参加することがもっともお勧めです。

泉総合法律事務所では、以下のようなリーズナブルな価格設定を行っています。

遺産分割 費用

※ただし,着手金・報酬金のいずれについても,相続人が多数,特別受益・寄与分の主張,その他複雑・難解な事案については,別途協議により定めるものとします。
※日当:ご相談時に弁護士からご説明いたします。
※実費:その他実費として,郵便切手代,印紙代,交通費,金融機関等への弁護士法による照会手数料,戸籍謄本等の取得にかかる費用,公正証書作成費用等がかかります。

遺産分割調停で迷われたら、お気軽に泉総合法律事務所にご相談ください。

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