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遺産分割

賃借権が相続された場合の賃料債務・敷金返還請求権の取扱い

賃貸借契約の賃借人(借主)が亡くなった場合、賃借権は相続の対象になります。

賃借権 相続 [参考記事] 借主が亡くなったら賃借権は相続される?

賃借権が相続された場合、もともと賃借人(被相続人)が負担していた賃料債務と、賃貸借契約に基づく敷金返還請求権については、必然的に権利義務の承継が行われることになります。

すなわち、相続の原則どおり、賃料債務・敷金返還請求権はいずれも被相続人から相続人へと承継されます。

以下では、賃料債務・敷金返還請求権について、どのように権利義務の承継が行われるか、誰が支払い・請求を行うのか、法律上のルールを見てみましょう。

1.賃貸物件の賃料

まず、賃借権を相続する相続人が複数いる場合には、誰が賃料債務を負担するのでしょうか。

この場合、賃料債務の発生時期が相続開始前か後かによって考え方が異なります。

(1) 相続開始前に発生した賃料債務

相続開始前に発生した賃料債務は、既に発生している単純な金銭債務として、相続人間で当然に分割されると解されています(大審院昭和5年12月4日決定参照)。

仮に、遺言や遺産分割協議で、法定相続分とは違う内容の合意(相続人の一人に全債務を負わせる等)をしても、その合意内容を債権者には対抗できない、とされています(最高裁平成21年3月4日参照)。

したがって、賃借人である各相続人は原則として、各相続人の負担分(法定相続分)に応じて、個別に未払賃料を負担することになります。

なおこの場合、各相続人は連帯債務関係にないため、仮に一部の相続人(賃借人)が賃料債務を履行しない場合でも、賃貸人は原則として、その不履行分を他の相続人に請求することはできません。

(2) 相続開始から遺産分割までの賃料債務

この場合、遺産分割協議により賃借権を相続することになった者が、相続開始のときに遡って賃料債務全額を負担することになる、とも考えられます。

しかし、そもそも相続開始から遺産分割までに生じた賃料債務は、「遺産」に該当しない別個の財産と考えます(『相続開始時』の財産を分けるのが遺産分割協議だから、ということです)。

ゆえに遺産分割協議があったとしても、相続開始から遺産分割時までの賃料債務の主体は、各相続人(賃借人全員)ということになります。

また、改正後民法の現状における解釈によると、この賃料債務は、単なる分割債務ではなく、連帯債務の性質を持つと考えられるようです(※)。

仮に連帯債務だと考えますと、賃借人全員が連帯債務を負うので、賃貸人は賃借人の一人に対して賃料全額を請求できることになります。

なおこの場合、賃貸人に賃料全額を支払った賃借人の一人は、他の賃借人に対して、それぞれの賃借人の負担割合の範囲で求償をすることはできます。

(※)改正前、このような賃料債務は、不可分債務と位置付けられていました。
本来、金銭債務は可分(分割できる)なので、複数人が相続する場合などは、債務を分割して、その分割した債務を相続人それぞれが負担することが筋になるはずです。
しかし、それでは賃貸人が賃料回収に難渋するので、賃料債務自体は可分ではあるも、その性質上不可分債務と解釈した、という経緯があります。不可分債務には連帯債務の規定が準用されますので、賃借人の一人に対して全額請求できるわけです。
改正民法では、このような不可分債務の在り方を見直し、新たな規定、解釈によることになりました。
本件のようなケースに対する適用を含めた具体的な解釈内容については、これから議論の上、固まっていくものと思われます。

2.相続人が複数の場合の敷金返還請求権

賃貸借契約に関して、賃借人が賃貸人に対して交付した敷金は(賃貸借期間中に賃料への充当が行われない限り)、賃借人が賃貸人に対して返還を請求できます。

この敷金返還請求権は分割可能な金銭債権であるため、相続人間で当然に分割承継されるのが原則です(最高裁昭和29年4月8日判決参照)。

したがって、各相続人はそれぞれの相続分に対応する敷金について、それぞれ債権者に対して返還を請求することができます。

ただし、敷金返還請求権が分散している状況は、賃貸人・賃借人(相続人)双方にとって面倒な部分が大きいでしょう。

そのため、遺産分割協議の結果を踏まえて、敷金の返還に関する賃貸人・賃借人間の合意を取りまとめておくことが推奨されます。

3.まとめ

賃借権やその賃料債務については、相続財産から漏らしてしまう傾向があり、また、賃借権の相続は意外と複雑ですので、場合によっては家主等とのトラブルになってしまう可能性もあります。

賃借権が相続財産に含まれている方をはじめ、現在ご両親などが賃貸マンションやアパートにお住まいの方についても、相続に強く信頼できる法律事務所にご相談されることをお勧めします。

泉総合法律事務所では、相続不動産の問題にも強い法律事務所です。相続財産に賃借権が含まれている場合は、是非一度ご相談ください。

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