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相続放棄

家賃の滞納を相続放棄したい

被相続人がアパートなどの賃料を滞納したまま亡くなった場合には、アパートの管理会社から相続人に対して滞納家賃の請求がなされることがあります。

滞納家賃の金額が被相続人の財産から支払える金額であればよいのですが、それを上回る家賃を請求された場合には、相続人としては相続放棄を検討することになるでしょう。

今回は、被相続人に滞納家賃がある場合の相続放棄の注意点についてわかりやすく解説します。

1.相続放棄とは?

相続放棄とは、被相続人の遺産を相続する権利を放棄することをいいます。
相続放棄によって、初めから相続人ではなくなりますので、現金、預貯金、不動産といったプラスの財産することができなくなるだけでなく、借金、負債といったマイナスの財産を相続する必要もなくなります。

相続放棄は、主に被相続人に多額の借金がある場合や相続争いに巻き込まれたくないなどの理由で行われる手続きです。
詳細は以下のコラムをご参照ください。

相続放棄 [参考記事] 相続放棄とは|メリット・デメリットから注意点、手続き方法を解説

相続放棄をすることによって、被相続人が有していた借金や負債を相続する必要がなくなりますので、被相続人に滞納家賃があったとしても、相続放棄をした相続人はその支払い義務を負うことはありません。

不動産管理会社から滞納家賃の支払いを求められたとしても、相続放棄をした相続人は、一切支払う必要はないのです。

不動産管理会社に対しては、「相続放棄をした」ということを説明すれば、それで十分です。

【相続人が保証人である場合には保証債務が残る】
被相続人が賃借人となっている物件について相続人が連帯保証人になっている場合には、当該相続人は、固有の保証債務を負っていることになります。相続放棄によって免れる債務は、あくまでも被相続人自身が負っていた債務になりますので、連帯保証人である相続人が相続放棄をしたとしても自身の保証債務を免れることはできません。
このケースでは、不動産管理会社から滞納家賃の支払いを求められた場合には、連帯保証人としてその支払いに応じなければなりません。

2.相続放棄前に滞納家賃を支払ってしまった場合

では、相続放棄をする前に滞納家賃を支払ってしまったという場合には、その後の相続放棄に影響が生じるのでしょうか。

通常、相続人が相続の単純承認をした場合には、それ以後は相続放棄をすることができなくなります。

民法921条では、明確に相続を単純承認する意思表示をした場合でなくても、以下の事由がある場合には、相続人による単純承認があったものとみなしています。これを「法定単純承認事由」といいます。

①相続財産の処分
②熟慮期間の徒過
③限定承認・相続放棄後の背信的行為

[参考記事] 相続放棄できなくなる法定単純承認の具体例

被相続人の滞納家賃を支払ってしまったという場合には、法定単純承認事由である「相続財産の処分」(上記①)にあたるかが問題になります。

相続人固有の財産から滞納家賃を支払った場合には、相続財産の処分にはあたりませんので、ここで問題となるのは、被相続人の相続財産から滞納家賃を支払ってしまったという場合です。

結論からすると、基本的には「相続財産の処分」にはあたらず、相続放棄することは可能と考えられます。

相続が開始した場合には、相続人は、承認または相続放棄をするまでの間、相続財産について自己の財産におけるのと同一の注意義務をもって管理しなければならないとされています(民法918条1項)。

このように相続人には、相続財産を管理する権利義務を有していますので、保存行為については、相続財産の処分には含まれません。

そして、弁済期の到来した債務の弁済は、保存行為に該当すると解されていますので、被相続人の債務について、相続人の財産から弁済を行ったとしても、法定単純承認事由である「相続財産の処分」に該当することはありません。

したがって、被相続人の財産から滞納家賃を支払ったとしても、相続放棄は可能です。

ただし、保存行為とされるのはあくまでも「弁済期の到来した債務の弁済」に限られますので、支払ってもよいかどうか不安がある場合には、専門家である弁護士に相談をすることをおすすめします。

3.相続放棄は一度弁護士へ相談を

相続放棄には、メリットとデメリットがありますので、相続放棄によって思わぬ不利益を被らないためにも、弁護士に相談をすることをおすすめします。

(1) 正確な相続財産調査が可能

相続放棄をするかどうかの判断をする前提として、被相続人の相続財産調査を行う必要があります。

相続財産には、現金、預貯金、不動産、有価証券、借金、負債などがあり、それぞれ調査方法が異なってきます。

被相続人の財産を正確に把握していることは少ないため、被相続人が死亡した場合には、どのような財産を有していたかを調べることになりますが、相続手続きに不慣れな方だと、どこにどのような照会をすればよいのかわからず、相続財産調査を完了するまでに相当な時間と労力を要することになります。

相続放棄をする際には、相続があったことを知ってから3か月以内という期間制限がありますので、原則として、この期間内にすべての調査を終えなければなりません。

十分な相続財産調査を行わずに相続放棄をしてしまうと、後日、借金の額を大幅に上回る資産が見つかったとしてもそれを相続することができなくなってしまいます。

そのため、正確な相続財産調査を行うためにも弁護士のサポートが不可欠となります。

(2) 相続放棄までの注意点をアドバイスしてもらえる

法定単純承認事由に該当する行為があった場合には、相続放棄をしようとしても家庭裁判所に相続放棄を認めてもらうことができません。そのため、相続開始後は、法定単純承認事由に該当する行為がないように慎重に行動する必要があります。

しかし、一般の方では、どのような行為が法定単純承認事由に該当するのかがわからず、大丈夫だと思ってした行為が実は法定単純承認事由に該当するということもあります。

被相続人が死亡した後は、形見分け、葬儀費用の支払いや仏具の購入、生命保険金や死亡退職金の受領など法定単純承認事由に該当するか疑義が生じるものがあります。
そのため、これらの行為を安心して行うためにも、少しでも不安がある場合には、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

4.まとめ

被相続人に家賃の滞納があった場合には、相続放棄の手続きをとることによって、滞納家賃の支払いを免れることができます。

相続放棄をする場合には3か月という短い期間制限があり(ただし、要件を満たせば期間を延ばすことも可能です)、その間に正確な財産調査が必要になるなど、不慣れな方では適切に手続きを行うことが困難な場合もあります。

そのような場合には、専門家である弁護士に相談をすることをおすすめします。
弁護士であれば、相続放棄の手続きから不動産管理会社からの滞納家賃請求への対応まですべて行ってくれます。

是非一度、当事務所の初回無料相談をご利用ください。

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