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相続放棄

相続放棄できなくなる法定単純承認の具体例

相続が開始したとしても、「相続人に多額の借金がある」「相続人同士の争いに巻き込まれたくない」などの理由で相続放棄を検討している方も少なくありません。

しかし、一定の事由に該当する場合には、「法定単純承認」と扱われ、相続放棄をすることができなくなってしまいます。
これから相続放棄をしようとしている方は、どのような事由が法定単純承認に該当するかを知ったうえで、法定単純承認に該当しないように注意して行動する必要があります。

今回は、相続放棄をすることができなくなる法定単純承認とその具体例について解説します。

1.相続放棄と単純承認

相続放棄をする際には、法定単純承認事由に該当する行為があったかどうかによって、相続放棄の申述が受理されるかどうかの結論が変わってきます。

では、このような法定単純承認とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。

(1) 法定単純承認とは

相続が開始した場合には、相続人は、相続をするかどうかを選ぶことができ相続を希望しない相続人は「相続放棄」をすることができます。

相続放棄とは、積極財産と消極財産のすべての承継を拒否することをいい、相続を放棄することによって初めから相続人とならなかったことになります(民法939条)。

しかし仮に当該相続人が相続放棄をしようとしても、相続人が事前に「単純承認」をしていたり、また仮に「単純承認」をしていないとしても、相続人に「法定単純承認」事由が存在する場合は、相続放棄は認められず、被相続人の財産(負債含む)を相続してしまうことになります。

つまり単純承認とは、相続人が無限に被相続人の権利義務を承継すること承認することをいい(民法920条)、その効果として、積極財産も消極財産も関係なく、すべての財産を引き継ぐことになります。

このように、相続人が一定の(法定単純承認)事由に該当する場合、自動的に単純承認したものとみなす制度のことを「法定単純承認」といいます。

なお、相続放棄をするほどではないにしても、相続債務の金額が多額過ぎるので、債務全額の負担は希望しない、という考えを相続人が持っていた場合、限定承認という手段でその考えを実現できます。

つまり限定承認とは、相続人が相続によって得た積極財産の範囲内でのみ被相続人の債務および遺贈を弁済するという、留保付きの相続の承認をいいます(民法922条)。

ただし、当該相続人が単純承認をしている場合、又は当該相続人に法定単純承認事由がある場合、限定承認は当然できません。

(2) 法定単純承認の効果

法定単純承認事由に該当する場合には、単純承認したものとみなされますので、相続人は、被相続人の一身に専属したもの(扶養請求権など)を除く、一切の権利義務を全面的かつ無条件に承継することになります。

法定単純承認が成立した場合には、限定承認や相続放棄といった他の手段を選択することができなくなります。

すなわち、例えば相続人に多額の借金があることを知らずに相続財産の一部でも処分してしまった場合でも後述する法定単純承認に該当し、相続放棄をすることができなくなりますので、相続開始後の相続財産処分は慎重に検討する必要があります。

2.法定単純承認の具体例

どのような事由があれば法定単純承認に該当するかについては、民法921条で規定されています。
以下では、民法921条が規定する法定単純承認の具体的な事情について説明します。

(1) 相続財産の全部または一部を処分した場合

相続財産の「処分」とは、限定承認または相続放棄前に行われる、相続財産の現状、性質を変える行為のことをいいます。

また、「処分」があったといえるためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知り、または、少なくとも被相続人の死亡した事実を相続人が確実に予想しながらあえてその処分をしたといえる必要があります。

相続財産の処分に該当するかどうかが問題となる具体的なケースとしては、以下のものが挙げられます。

①建物の取り壊し等

「処分」には、法律行為だけでなく事実行為も含まれますので、建物の取り壊しや動産の毀損などの事実行為も「処分」にあたり、法定単純承認となり得ます。

②老朽化したブロック塀の補修

しかし民法921条1号ただし書きでは、「保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすること」は、「処分」に該当しないと規定しています。

「保存行為」とは、相続財産の保全すなわち相続財産の現状を維持するのに必要な行為を指しますので、老朽化して崩れ落ちそうなブロック塀を補修することは、仮にその補修過程で、老朽化したブロック塀の(一部の)「取り壊し」行為などがあったとしても、保存行為に該当し、法定単純承認にはあたりません。

③形見分け

相続財産の処分に該当するかどうかは、処分対象となる財産の交換価値だけでなく、相続財産全体の額、被相続人と相続人の財産状態、当該処分の性質などを総合考慮して判断することになります。

実質的にみて経済的価値の乏しい物が形見分けされた場合には、「処分」には該当しないといえますが、宝石やブランド品など経済的価値を有するものが形見分けされた場合には「処分」に該当し、法定単純承認となる可能性があります。

④保険金

保険金が相続財産に含まれる場合には、それを処分した場合には、法定単純承認となります。

保険金が相続財産に含まれるかどうかは、当該保険契約の内容によって決まります。

しかし、保険金の受取人が相続人となっていた場合には、原則として保険金が相続財産に含まれないことについて争いはありませんので、このような場合には保険金を費消したとしても法定単純承認にはなりません。

⑤遺産分割協議

被相続人の財産について遺産分割協議をすることは、相続人が自己の相続分を認識して、それを処分したものといえることから、相続財産の「処分」にあたり、法定単純承認になります。

⑥葬儀費用や仏具の購入費用

葬儀費用の支出については、社会的儀礼として必要性が高く、かつ、その時期の予測が困難であることから、被相続人の葬儀費用について相続財産から支出したとしても原則として「処分」にはあたらないと考えられています。

また、墓石や仏具の購入についても、墓石や仏具を購入して死者を弔うことは通常の慣例であり、その額が、社会的にみて慣例として不相当に高額なものでない限りは、「処分」にはあたらないと考えられています。

(2) 熟慮期間中に相続放棄または限定承認の手続をしなかった

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかの方法を選択しなければならないとされています(民法915条1項)。

そして、3か月の熟慮期間中に相続放棄または限定承認の手続きをしなかった場合には、法定単純承認となると規定しています。

このように、相続人は、限定承認または相続放棄をしない限りは、単純承認をしたものとみなされることになります。

(3) 相続財産の全部または一部を隠匿し、私にこれを消費し、悪意で相続財産の目録中に記載しなかった

限定承認または相続放棄後に、背信的な行動をとった相続人に対しては、相続債権者の犠牲において、限定承認または相続放棄という保護を与えるのは相当ではないことから、民事的制裁の一種として、法定単純承認があったと扱われています。

相続財産の「隠匿」とは、限定承認または相続放棄後に、相続財産の全部または一部について、その所在を不明にする行為をいい、相続人が被相続人の債権者などの利害関係人に損害を与えるおそれがあることを認識していれば、「隠匿」該当します。

ただし、「隠匿」の該当性は、実質的に判断されますので、経済的価値の極めて低い財産を「隠匿」した場合には、法定単純承認にはあたりません。

相続財産を「私に消費する」とは、限定承認または相続放棄後に、ほしいままに相続財産を処分して原形の価値を失わせることをいいます。

悪意で相続財産の目録中に記載しなかったときとは、相続について限定承認を行った場合に、その財産が相続財産であることを知りながら、財産目録に記載しないことをいいます。

3.相続放棄を予定している場合には早めに弁護士へ

法定単純承認事由で特に問題になるのが、相続財産の「処分」による単純承認です。

相続が開始すると、被相続人の葬儀の手配や身の回りの整理に追われて、遺産を相続するかどうかを判断する余裕がないことがあります。そのような状態だと、安易に被相続人の遺産に手を付けてしまい、後日、多額の借金が判明しても相続放棄を選択することができないという事態になりかねません。

そのため、相続放棄をするかどうかを決めかねている方は、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。

弁護士に相談をすることによって、法定単純承認に関する説明を受けることができますので、熟慮期間中に避けておいた方がよい行動について知ることができます。それによって、不用意な行動によって相続に関する選択肢が狭まるという事態を回避することができるでしょう。

また、相続放棄をするかどうかを判断するにあたっては、被相続人の相続財産の正確な調査が必要になりますが、相続手続きに不慣れな方だと、3か月という熟慮期間内に相続財産調査を終えることが難しいといえます。

弁護士に依頼することによって、迅速かつ正確に相続財産調査を行ってもらうことができ、相続放棄をするかどうかについて専門的見地からアドバイスしてもらうことができます。
是非一度、泉総合法律事務所の無料相談をご利用ください。

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