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相続放棄

相続放棄申述書の書き方と注意点|記入例で項目ごとに解説

相続放棄 申述書

相続放棄をする際には、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する必要があります。

この書類のひな型自体は、ダウンロードも可能ですが、いざ書くとなると「ここはどう書けばいいのだろう」と困ることもあるかと思います。

この記事では、相続放棄の手続き全体を簡単に確認した後、相続放棄申述書の書き方や注意点をご説明します。

1.相続放棄全体の流れ

(1) 相続放棄とは

相続放棄とは、相続人が自分の持つ相続権を放棄することです。相続放棄を選択した人は、そもそも最初から相続人ではなかったとみなされます(民法939条)。

相続放棄の申立ては、仮に共同相続人の全員が相続放棄する場合であっても、一人一人が個人で手続きを行わなくてはなりません。

相続放棄 [参考記事] 相続放棄とは|メリット・デメリットから注意点、手続き方法を解説

また、相続放棄は自己のために相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に手続きをしなければならないという期限があります(民法915条1項)。この3ヶ月の期間のことを「熟慮期間」と呼びます。

ただし、どうしても3ヶ月に間に合わない場合は、別途伸長の申立てを行い、受理されれば期間を延長することもできます。

相続放棄 期間 [参考記事] 相続放棄の期間(熟慮期間)は原則3ヶ月以内|起算点はいつから?

(2) 相続放棄の手続きの流れ

次に、実際に相続放棄をする際の、手続きの流れをご説明します。
最初に、申立人や申立先、費用を確認しておきましょう。

  • 申立人:相続人(未成年者や成年被後見人である場合は法定代理人)が申述
  • 管轄の裁判所(申立先):被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 費用:申述人1人につき収入印紙800円+郵便切手代
    (相続放棄の手続きがすべて完了した後、相続放棄証明書を発行する場合は、追加で150円の収入印紙+郵送による返送希望なら切手代)

大まかな流れは以下のようになります。

  1. 相続放棄申述書作成
  2. 相続放棄申述書のコピーをとっておく
  3. 相続放棄申述書の原本を含む必要書類を管轄の裁判所に提出
  4. 裁判所から送付される「相続放棄照会書」や「相続放棄回答書」に記入の上、家庭裁判所に返送もしくは窓口に提出

(3) 相続放棄の必要書類

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 申述人の戸籍謄本

被相続人の住民票の除票または戸籍の附票は、被相続人の最後の住所地を管轄する市町村役場の窓口で、被相続人の戸籍の附票は、被相続人の本籍地のある市町村役場の窓口で、ご自身(申述人)の戸籍謄本は、自分の本籍地のある市町村役場の窓口でそれぞれ入手できます。

上記の書類は必須ですが、相続人と被相続人の続柄・関係性によって、追加の書類提出が必要になります。

二度手間にならないよう、事前に管轄裁判所のホームページや、家庭裁判所の窓口等で確認してから必要書類を揃えることをお勧めします。

(4) 相続放棄申述書はどこでもらえる?

相続放棄申述書は、家庭裁判所でももらうことができますし、ホームページからダウンロードすることもできます。書式をダウンロードした場合は、両面印刷ではなく、一枚ずつプリントして使いましょう。

なお、相続放棄の申述書は、どこの家庭裁判所でもらっても構いません。

裁判所HP:相続放棄申述書

2.相続放棄申述書を書く前に

まず、相続放棄申述書を書く前の注意点を2つご説明します。

(1) 相続放棄は撤回ができない

相続放棄は、一度手続きを完了してしまうと原則として撤回や取消はできませんので、慎重に行わなくてはなりません。

手続きをご覧いただければわかるように、相続放棄申述書等を提出した後には、家庭裁判所から照会書や回答書が送られてきます。

これらの書類の目的は、「相続人本人の意思で、本当に相続権を放棄しようとしているのか」を改めて確認することです。

この書類を返送して受理されると、原則として「やはり相続放棄を撤回して相続したい」ということはできません。

例外的に、他の共同相続人からの詐欺や強迫によって相続放棄させられたという場合や、未成年者が法定代理人の同意なく相続放棄した場合などは、取消が可能ですがレアケースです。基本的には「後から撤回できない」ということをよく理解しておきましょう。

したがって、相続放棄の前に、しっかりと相続財産を調査しておくことが大切です。この調査が不十分では、後になって「その遺産があるなら相続したかった」という事態にもなりかねません。自分は相続放棄すべきなのか、よく確認するようにしましょう。

ご自分では判断しかねる場合は、弁護士などの専門家に具体的なアドバイスを受けることも効果的です。

(2) 相続放棄申述書は書いたらコピーをとっておく

また、後から照会書や回答書に記入する際に、相続放棄申述書と矛盾なく一貫した内容になるように、作成後、コピーを取っておくと便利です。

提出した書類にどう書いたのか思い出せない、という状況を防ぐことができますから、申述書に限らず、大切な手続きに関する提出物はコピーを保管しておきましょう。

3.相続放棄申述書の全体像と記入例

まず、申述書全体の記入例をお見せし、その後記入欄ごとにご説明します。

成人と未成年者では記入方法が一部異なりますが、ここでは成人の方向けの記入例をご紹介します。
クリックしていただくと拡大します。

相続放棄申述書 記入例1 相続放棄申述書 記入例2

この記入例は裁判所のサイトでも確認できます。
引用元:申述人が成人の場合の記入例申述人が未成年者の場合の記入例

4.相続放棄申述書の記入欄ごとの書き方

相続放棄申述書は、住所・氏名・本籍等の他は、選択式と穴埋め式でできており、誰でも簡単に書けるようになっています。特に複雑な文章を書く必要はありません。

しかし、いざ書く際には「本当にこれでいいのか」と不安になるかと思いますので、ここでは特に迷うポイントについて、裁判所の記入例に沿って解説します。

(1) 「申述人」欄や「被相続人」欄

申述人や被相続人の情報についての欄は、戸籍謄本等に記載されている通りに、正確に記入しましょう。

住所は現住所を、マンション名などを省略したりせず、しっかり記載しましょう。

また、被相続人の「最後の住所」の欄には、亡くなった時点で住民登録があった住所を記載します。病院など具体的に亡くなった場所のことではありませんのでご注意ください。

相続放棄申述書 申述人

なお、未成年者等が相続放棄する場合、1段目の「申述人」の記名押印欄は、次の画像のように、法定代理人が氏名を記載し、押印します。

相続放棄申述書 法定代理人

(2) 「法定代理人等」欄

この欄は、主に未成年者と被後見人が相続放棄する際に使用します。

1~3の数字は、親権者、後見人、またはその他から選択します。
未成年者と親権者の利益相反によって特別代理人が記載する場合は「その他」を選択し、横に「特別代理人」と記入してください。

また、住所が申述人と異なる場合は、正確に記載しましょう。

相続放棄申述書 法定代理人

(3) 「申述の理由」欄

「申述の理由」の1段目には、相続の開始を知った日の年月日を記載し、知った理由を選びます。
熟慮期間である3ヶ月の起算点が、原則としてこの日になります。

「3 先順位者の相続放棄を知った日」というのは、被相続人の子が全員相続放棄したことで直系尊属(父母等)に相続人としての順位が回ってきたようなケースです。

相続放棄申述書 理由

(4) 「放棄の理由」欄

相続放棄申述書には、「放棄の理由」として6つの選択肢が挙げられています。

「1. 被相続人から生前贈与を受けたため、2.生活が安定しているため、3.遺産が少ないため、4.遺産を分散させたくないため、5.債務超過のため、6.その他」です。どれを選んでも構いません。

疎遠なことや関わりたくないことを理由にする場合の書き方

家族関係のトラブルなどで相続自体に関わりたくないケースや、代襲相続などにより疎遠だった被相続人からの相続を放棄したいケースもあるでしょう。

その場合は、「その他」に丸を付け、「相続したくない」「遺産分割に参加したくない」、「疎遠のため相続したくない」といった理由を記載してかまいません。

相続放棄の理由については、どれを選んでもそれによって申述が受理されないことはありません。後述する通り、申述書に理由を記載させるのは、あくまで相続人本人に相続放棄の意思があるかを確認する目的です。正直に選択しましょう。

また、「その他」を選んだ場合は、ご自身で()内に理由を添えることも忘れないようにしてください。

相続放棄申述書 放棄の理由

(5) 「相続財産の概略」欄

相続放棄は相続人が各人で行う前述しましたが、この欄は自分の相続分だけではなく「被相続人の遺産全体の概略」を記入します。ただし、被相続人が抱えていた借金等、負債についても記載します。それほど細かく記載する必要はありません。

※本来、裁判所は、相続放棄の申述時に、「放棄の理由」や「相続財産の概略」の申告を求める必要はないはずです。

裁判所がこれらの記載を求めているのは(家事事件手続規則37条1項、105条3項)、「真意で相続を放棄するつもりなのか」、「他の共同相続人など、誰かに強制されているのではないか」といった疑念を払拭し、真意を確認するためです。

本当に相続放棄を望んでいるかどうかだけが問題ですから、これらの内容は、正確なものである必要はなく、申述する者が申述時点で認識している概要で構いません。遺産の内容がわからなければ、空白でも問題ありません。

相続放棄申述書 相続財産の概略

(6) 印鑑はシャチハタ不可

印鑑は実印である必要はありませんがシャチハタは不可です。
ただし、申述書・照会書・回答書の全てで同じ判子を押さなくてはなりません。

たくさん印鑑を所持している方は、自分がどの印鑑を使ったのか覚えておき、きちんと保管しておくことが必要です。

5.相続放棄申述書の代筆は可能?

相続放棄申述書は、原則、本人の自署が必要です。しかし、相続放棄をするのが、怪我や、高齢で筆が持てないなど、どうしても代筆が必要になることがあります。

相続放棄の意思が明確な申述人の場合、こういったケースでは、代筆も可能です。ただし、提出の際は、家庭裁判所に事情を説明しておく必要があるでしょう。

また、判断能力がなくなってしまい相続放棄について理解できない認知症などの相続人の場合には、未成年の相続人と同様に、相続人本人が申述することができないため、法定代理人が相続放棄申述書を記載することになります。

6.相続放棄申述書の郵送方法

相続放棄申述書は、管轄の家庭裁判所に直接出向いて提出することもできますが、管轄裁判所が遠方だった場合などのために郵送にも対応しています。

郵送する際には、普通郵便ではなく、レターパックや書留郵便など、万一のために備えて追跡できる方法で郵送することをお勧めします。

また、相続放棄には期限があるので、十分な余裕をもって郵送しましょう。

相続放棄申述書の提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。管轄の家庭裁判所は、次の裁判所のサイトからご確認いただけます。

参考:「相続の放棄の申述」|裁判所

7.相続放棄は弁護士に相談を

相続放棄は撤回ができない分慎重に行わなければならない一方で、3ヶ月という熟慮期間内に手続きをしなければならないので、焦ってしまう方もいると思います。

本当にご自身が今相続放棄するべきなのか、他の方法はないのかなど、弁護士であれば個人のケースに合わせた判断ができます。

その結果、相続放棄をするべきだという結論に至ったら、その書類手続きまで手厚くサポートします。市区町村役場や家庭裁判所は平日の日中しか開いていませんから、普段仕事でお忙しい方に代わって、必要書類の入手・提出まで行うことができます。

相続放棄について迷われたら、ぜひ泉総合法律事務所にご相談ください。

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