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直系尊属とは|直系尊属の相続について詳しく説明

「直系尊属(ちょっけいそんぞく)」という言葉は、相続においてよく登場します。

直系尊属とは、被相続人とどのような関係にあたる人のことをいうのでしょうか。そして相続においてどのように関わってくるのでしょうか。

今回は、直系尊属について詳しく解説します。

1.直系尊属とは

直系尊属とは、被相続人から見てどの関係にあたる人なのかを解説します。直系尊属を分解して、直系と尊属で見ていきましょう。

(1)「直系」とは

直系とは、上下に繋がる世代の系統のことをいいます。

下記の家系図を見て考えると分かりやすいでしょう。直系とは、祖父母、父母、子、孫というように、縦に流れる直接血が繋がった関係を指します。ただし、養子の場合は、養親と血がつながっていなくても直系に含みます。

(2) 「尊属」とは

尊属とは、被相続人よりも上の世代のことをいいます。上記の家系図でいうと、祖父母、父母が尊属にあたります。その他にも叔父叔母、曾祖父母、養父母などが該当します。

ちなみに、被相続人の下の世代にあたる子や孫、甥姪は「卑属」といいます。

(3) 「直系尊属」とは

したがって、直系尊属とは、被相続人と血が繋がった縦の関係にあり、かつ、被相続人より上の世代のことをいいます。

前記した家系図において直系尊属とは、祖父母と父母が該当します。

2.直系尊属に相続が発生するケース

多くの場合、相続は、姻族である配偶者と、直系卑属である子に発生しますが、残された親族の状況によっては直系尊属に相続が発生するケースもあります。

(1) 直系尊属の相続順位

相続人には、相続順位という相続人となる順位が決められています。まず、配偶者は、必ず相続人になります(民法890条)。子は、配偶者と共に相続人となり(民法887条第1項、同890条)、配偶者が亡くなっていれば、子のみが相続人となります。被相続人に養子がいる場合も、子として相続人となります。

配偶者や子以外の直系尊属、兄弟姉妹は、相続人となる可能性がありますが、次の相続順位が民法に定められています(民法887条、889条、890条)。

  • 第1順位:子
  • 第2順位:直系尊属
  • 第3順位:兄弟姉妹
  • 配偶者は、上記相続人と同順位とする、と定められています。

法定相続分と遺留分については、相続人の組み合わせによって異なるため、次項以降で直系尊属が相続人になる具体的なケースで解説します。

遺留分 計算 [参考記事] 遺留分侵害額の計算方法を具体例でわかりやすく解説

(2) 被相続人の配偶者が存命で子がいない場合

まず被相続人の配偶者が存命で、子がいない場合、配偶者は相続人として確定します。次に、相続順位1位である子と、その代襲相続人がいなければ、相続人となるのは、第2順位の直系尊属ということになります。

この場合の法定相続分は次の通りです(民法900条第2号)。

  • 配偶者:3分の2
  • 直系尊属:3分の1

直系尊属が複数いる場合には、上記3分の1を、人数で分割します。例えば、被相続人の父母が共に健在であれば、3分の1を2人で分割し、法定相続分は、6分の1ずつとなります。

また、相続人が配偶者と直系尊属の場合の直系尊属の遺留分は、遺産総額の6分の1になります。

(3) 被相続人に配偶者・子がいない

被相続人が結婚していない、または配偶者が既に死亡しており、かつ子もいない場合には、第2順位の直系尊属のみが相続人になり、遺産のすべてが直系尊属の法定相続分になります。

遺留分は、遺産総額の3分の1になります(民法1042条第1項第1号)。

あえて2分の1(同条同項第2号)と定めなかったのは、直系尊属に対する、遺留分確保の必要性等を考慮したものと考えられます。

(4) 子が全員相続放棄

相続人が子のみで、かつ、その全員が相続放棄した場合には、直系尊属が被相続人を相続します。

この場合も、先程の配偶者と子がいない場合と同様に、法定相続分は遺産のすべて、遺留分は遺産総額の3分の1になります。

3.直系尊属の相続における注意点

最後に、直系尊属が相続人になる場合に留意したいことを解説します。

(1) 被相続人の父母いずれかが死亡した場合

前述した通り、直系尊属のみが相続人の場合には、その人数で遺産を分割しますが、相続人である直系尊属が1人しかいない場合には、すべての遺産をその1人が相続します。

例えば、被相続人の直系尊属が相続人のケースで、母が既に死亡している場合には、生存している父のみが相続人になり、遺産のすべてを父が相続することになります。

(2) 直系尊属は代襲相続できない

被相続人の子が死亡している場合には、被相続人の孫が相続人となります。これを、代襲相続と呼んでいます。

代襲相続は、相続人が子と兄弟姉妹の場合に認められる制度であり、直系尊属には認められていません(ただし、相続人が兄弟姉妹の場合に代襲相続できるのは、兄弟姉妹の子供である被相続人の甥姪までとなります)。

例えば、被相続人の直系尊属である父母が相続人になるケースで、父が死亡し、父の両親が生存しているとしても父の両親が代襲相続することなく、相続人は、被相続人の母のみになります。

(3) 両親が離婚しても子の相続権は消滅しない

親権を手離した子が死亡し、直系尊属が相続人になる場合でも、両親の双方に相続権があります。離婚や親権は、法律上の親子関係には影響しないからです。

離婚をしてから何十年も親権を失った片親に会っていないというケースもあるでしょう。その場合でも、親権を持つ親と、親権を失った親には同等の相続分があります。

(4) 子が全員相続放棄をした場合は相続税の計算に注意

相続放棄があっても、相続税の基礎控除を計算する際の法定相続人の数は、相続放棄はなかったものとして数えます

例えば、唯一の相続人である子が相続放棄し、次順位の父母が相続人となった場合でも、基礎控除の計算上、法定相続人の数は1人です。法定相続人を父母2人として考えてしまうと、予想外に相続税が高くなってしまいます。

一方で、被相続人に子が5人いた場合に、全員が相続放棄したとすると、実際の相続人が父母2人であるのに対して、基礎控除の計算上は、法定相続人が5人となるためお得になります。

生命保険や死亡退職金のみなし相続財産の非課税枠を計算する際にも、同様の考え方となります。

(5) 被相続人が養子の場合の考え方

被相続人が養子であり、その養子に配偶者も子もいない場合には、直系尊属が相続人となります。ただし、その場合の相続関係には注意しなければなりません。

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。普通養子縁組の場合には、産みの親との親子関係も継続しているため、存命であれば、育ての両親と産みの両親の4人が相続人になります。

これに対して、特別養子縁組の場合には、産みの親との親子関係は断ち切られているため、育ての両親のみが相続人になります。

4.まとめ

直系尊属とは、血の繋がった縦に続いていく関係のうち、被相続人より上の世代のことを指します。

直系尊属の相続順位は、子に次ぐ第2位であり、子がいない場合には相続権が回ってくることになります。

離婚している場合、養子がいる場合などには関係が複雑化し、相続トラブルが発生しやすくなるため注意しましょう。

不安がある場合には、弁護士への相談をおすすめします。

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