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遺言書

遺留分を侵害する内容の遺言書は有効?

家族・親族の付き合いには、誰しも濃淡・密度の違いがあるものです。
そのため、ご自身が亡くなった際に、一部の相続人に対して多く遺産を与えたいと考える場合もあるでしょう。

遺言書によって各相続人の相続分に差を設ける際に問題となるのが「遺留分」です。

遺留分を侵害する内容の遺言書を作成した場合、その遺言書は有効なのでしょうか。
仮に有効だとしても、何か弊害が生じることはないのでしょうか。

今回は、遺言と遺留分の関係性や、遺言書作成時に行うことができる遺留分対策などについて解説します。

1.遺留分とは?

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められた、相続できる遺産の最低保障割合を意味します(民法1042条1項)。

相続財産は、もともと被相続人が所有していた財産なので、被相続人が自由に処分できるのが原則です。
その一方で、相続人は「遺産を相続できる」ことについて、一定の合理的な期待を持っていると考えられます。

そこで、被相続人の意思と相続人の相続に対する期待のバランスを図るため、民法上で定めた「遺留分」によって、遺産の一定の割合については相続することができると保障されたのです。

遺留分割合などについては以下のコラムをご覧ください。

遺留分とは [参考記事] 遺留分とは|概要と遺留分割合をわかりやすく解説

2.遺言と遺留分の関係について

遺言書の内容は、被相続人(遺言者)が自由に決めることができます。
しかし遺留分権利者は、遺留分額に相当する遺産を相続する権利を有しています。

上記の2つは相反するようにも見えますが、民法上は以下のとおり整理されています。

(1) 遺留分を侵害する内容の遺言書も有効

民法964条では、「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる」と定められています。
同条に基づく相続財産の処分については、特に制限は設けられていません。

したがって、被相続人は遺言によって、相続財産の配分を完全に自由に決定することができます。

その内容が、仮に遺留分を侵害するようなものであったとしても、遺言書は法的に有効です。

(2) 遺留分侵害が生じた場合、「遺留分侵害額請求」により精算する

遺留分権利者が、遺言によって遺留分未満の遺産しか承継できなかった場合、「遺留分が侵害されている」ことになります。

この場合、遺留分権利者は、多くの遺産を承継した相続人などに対して「遺留分侵害額請求」を行うことができます(民法1046条1項)。

遺留分侵害額請求が行われた場合、遺留分侵害者は遺留分権利者に対して、侵害された遺留分相当額の金銭を支払う義務を負います。

つまり、遺言によって遺留分の侵害が発生した場合には、遺留分侵害額請求を行うことで、権利者の遺留分が確保されるように精算が行われるのです。

遺留分 請求 [参考記事] 遺留分侵害額請求はどうやるの?手続きや必要書類を徹底解説

3.遺言書作成時にできる遺留分対策の例

遺留分侵害額請求による争いを防ぐためには、遺言書を作成するに当たって、一定の遺留分対策を行っておくことをお勧めいたします。

被相続人の生前にできる遺留分対策の例としては、以下のものが考えられます。

(1) 相続人に遺留分を放棄させる

遺留分はあくまでも「権利」であることから、遺留分権利者の判断により放棄することが認められています。
被相続人の生前に遺留分を放棄させることができれば、相続発生時の遺留分侵害額請求に関する問題は生じません。

ただし、遺留分権利者が被相続人の生前に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所の許可を受けることが必要です(民法1049条1項)。
これは、被相続人や他の相続人から遺留分の放棄を強制されるなど、遺留分権利者の真の意思に基づかない遺留分放棄を防ぐことを目的としています。

よって、被相続人の生前に遺留分放棄をさせる場合には、当該遺留分権利者が任意に放棄したと説明できるようにしておくことが大切です。

また上記のとおり、遺留分の放棄は遺留分権利者の意思に任せられます。
そのため、遺留分権利者に拒否された場合には、遺留分を放棄させることはできない点に注意しましょう。

(2) 生命保険を活用する

遺留分計算の基礎となるのは、相続財産と一部の特別受益などです。

この点、生命保険の保険金請求権は、受取人固有の財産であり、原則として相続財産から除外されます(最高裁平成14年11月5日判決)。

したがって、被相続人が生前に生命保険に加入し、財産を多く与えたい相続人を受取人としておけば、その生命保険金請求権の分は、遺留分計算の基礎とならないので、遺留分侵害額請求を受けない形で財産を移転することができます。

ただし、その生命保険金請求権があまりにも高額である場合などには、特別受益に準じて「持ち戻し」の対象となる可能性があるので注意しましょう(最高裁平成16年10月29日決定)。

[参考記事] 生命保険金(死亡保険金)は相続で遺産分割の対象にならない?

(3) 生前贈与をして相続財産を減らす

遺留分計算の基礎となる相続財産を減らす方法としては、「生前贈与」も有効です。

ただし、以下の期間に行われた生前贈与は、遺留分計算の基礎として持ち戻されてしまうことに注意しなければなりません(民法1044条1項、3項)。

①相続人に対する生前贈与の場合(3項)
相続開始前10年間(婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として受けた贈与に限る)

②相続人以外に対する生前贈与の場合(1項前段)
相続開始前1年間

また、①、②以前の贈与であったとしても、贈与者、受贈者双方が、贈与の際、その贈与によって遺留分権利者が損害を受けることを知っていた場合は、当該贈与もまた、遺留分計算の基礎として持ち戻されてしまう可能性がありますので(同第1項後段、第3項)、注意が必要です。

上記の持ち戻しが行われる可能性があることを踏まえると、生前贈与による遺留分対策は、できるだけお元気なうちに、かつ早い段階から着手することをお勧めいたします。

なお、生前贈与の金額によっては、受贈者の側で贈与税が課税される点にも注意しましょう。

(4) 養子縁組をする

各相続人の遺留分額は、法定相続分に応じて決定されます。
そのため、特定の相続人の遺留分額を減らしたい場合には、相続人の人数を増やす方法も考えられます。

たとえば、もともと相続人ではない人に遺産を多く与えたい場合には、その人と養子縁組を行うのも一つの方法です。

養子縁組を行えば、法定相続人の数が増えた結果、各相続人の法定相続分は減るため、最終的に遺留分額も減ることになります。

(5) 遺言書に付言事項を記載する

遺留分放棄や遺留分額を減らすための方法について紹介しましたが、やはりそれぞれの方法には限界があります。

被相続人(遺言者)の希望どおりに遺産を配分した結果、どうしても遺留分の侵害が避けられないという場合には、遺言書の「付言事項」を活用する方法が考えられます。

付言事項とは、遺言者から相続人に対するメッセージなど、法的拘束力を持たない遺言書の記載事項を意味します。

付言事項の中では、たとえば遺産の配分を決めた背景や真意などについて説明をしたり、親族に対する感謝などを述べたりするのが一般的です。
このような記載があれば、相続人の間でも「遺言者の意思を尊重しよう」という心理が働き、遺留分侵害額請求を思いとどまるかもしれません。

遺言書の付言事項は、あくまでも相続人の心情面に対して働きかける作用を有するに過ぎません。
しかし、相続には理屈を超えた感情が大きな意味を持つ側面があるので、このように付言事項を活用することも、有効な遺留分対策になり得るでしょう。

4.相続の生前対策は弁護士に相談を

遺言書を作成する際、後の相続人同士のトラブルなどを回避するためには、遺留分への配慮を行うことが必須です。

その一方で、可能な限り遺言者の意思に沿った相続を実現するためには、遺言書の作成と併せて生前の遺留分対策を行っておくことをお勧めいたします。

弁護士にご相談いただければ、遺言者のご希望を丁寧にお伺いしたうえで、その内容を最大限実現できるような生前対策案をご提案いたします。

遺言書の作成にご関心をお持ちの方、遺留分との関係が気になる方は、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。

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