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遺言書

遺言執行者は誰がなれるの?弁護士・弁護士法人ではどちらがいい?

2019年1月には自筆証書遺言の方式が緩和され、また、2020年7月からは、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が運用されはじめました。

このような制度改正に伴い遺言書が身近に感じられるようになり、遺言を作成する方も増えています。

遺言書では遺言執行者を選任することもできますが、遺言書作成時に「遺言で遺言執行者を指定したいけど、誰を指定すればスムーズに相続手続きが進むの?」というような疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、遺言を執行する人である「遺言執行者」に弁護士法人を選ぶメリットをお伝えします。

なお、遺言執行者の役割や選任するメリットについてお知りになりたい方は、次のコラムを是非ご一読ください。

遺言執行者 [参考記事] 遺言執行者とは|相続人と同一でもいい?権限やできないことは?

1.遺言執行者は誰がなれるのか?

最初に、被相続人の最後の意思表示である「遺言」の内容を実現するために必要な手続き等を行う遺言執行者には「誰が」なれるのかについてご説明します。

実は、遺言執行者となるには特別な要件はなく、未成年者および破産者以外であれば誰でも遺言執行者となることができます(民法1009条)。

年齢については、遺言書作成時点では未成年者であっても、相続開始時に成人であれば問題ありません。

また、原則、遺言執行者は必須ではなく、相続人だけで遺言を執行することは可能です。
しかし、遺言執行者がいた方が遺言執行の手続きがスムーズに行えることは間違いありません。

【遺言執行者がいなくても良い場合】
そもそも、遺言がない場合は、遺言執行者は必要ありません。
また、相続手続きが簡単な財産のみが相続財産となる場合は、相続人が自分で手続きできるため、遺言執行者の選任の必要性はあまりありません。
例えば、相続財産が現金と預貯金のみである場合は、銀行口座の解約手続き払い戻し等の手続きを行えば相続手続きは終了です。これに加えて自宅などの不動産があったとしても、相続人の一人が相続することになれば、相続登記も一人でできるため遺言執行者の必要性はあまりないでしょう。
つまり、相続手続きが煩雑でなく、相続人が法的な手続きに不慣れで相続手続きの負担をかけたくないと遺言者が考えなければ、遺言執行者はいなくてもかまわないのです。

2.遺言執行者を選任すべきケース

遺言の内容によっては、遺言執行者を選任しないといけないケース、選任したほうが良いケースがあります。

まず、遺言執行者が必要なケースは、遺言に「相続人の廃除」または「廃除の取消」「子の認知」について記載されている場合です。

次に、遺言執行者を選任した方が良いケースは次のとおりです。

すなわち、自宅を特定の相続人一人に「遺贈」するとした「特定遺贈」に該当する場合も、被相続人からの所有権移転登記は相続人全員で行わなければならず、手続きが煩雑になります。

非上場株式が遺産に含まれている場合も、株式を発行する会社に対して株式を相続した相続人名義への株主名簿の書き換えを請求しなければならず、手続きには手間がかかります。

こういったケースでは、遺言執行者を選任した方が手続きは円滑に進むでしょう。

そのため、遺言や遺産の内容、相続人の数など相続手続きの煩雑さを考慮して、遺言執行者の選任を決めることをお勧めします。

専門家の遺言執行人が必要かどうかはケースバイケースですので、信頼できる相続の専門家とよく相談して、今後の相続手続きの中でどのようなことが起こる可能性があるのか、いろいろな場面をシミュレーションした上で「遺言執行者の必要性」の判断をすることをお勧めします。

3.遺言執行者は誰にすべき?

では、遺言執行人を選任する場合、誰を選んだら良いのでしょうか。

(1) 遺言執行者に求められる資質

遺言執行者は「相続」を知らなければ務まりません。

すなわち、遺言執行者は下記のような職務を行います。

  • 法定相続人全員に遺言書の内容を説明する
  • 遺言者の財産目録を作成し、法定相続人に説明する
  • 財産を相続人に譲り渡すまで管理する
  • 遺言の内容を執行する
    相続に関する知識や経験が必要
    公平中立的立場で手続きを行う必要

遺言や遺産の内容によっては、専門家でなくても遺言を執行することはできます。

しかし、遺言執行者は相続の利害関係に関わりますので、遺産相続の利害関係者ではなく、弁護士を選任することをお勧めします。

弁護士であれば、法律の専門家としてスムーズに相続手続きを執行することができ、相続人に相続手続きの負担をかけたくない場合にも適任です。

(2) 弁護士と弁護士法人、どっちが良い?

遺言執行・相続手続きをスムーズに行うためには、相続に関する知識や経験がある弁護士に依頼するのが好ましいことは前述した通りです。

それでは、弁護士個人と弁護士法人、どちらに依頼するほうがいいのでしょうか?

結論から申し上げると、弁護士法人がお勧めです。

遺言の執行においては、民法をはじめ税法の知識も必要になります。
一人の弁護士で全てをカバーできていればいいのですが、法律も頻繁に改正され、また、裁判所の判例もフォローする必要があり、一人ですべてを把握するのは難しいものがあります。

弁護士法人であれば、担当の弁護士が多忙であったり、急病になってしまったりしても、法律事務所として他の専門的な弁護士に対応してもらえます

三人寄れば文殊の知恵です。
法律事務所として「ワンチーム」として対応してもらえれば、安心して遺言の執行を任せられるでしょう。

(3) 遺言執行者を依頼する際の費用

弁護士に遺言執行者を選任したときの報酬については、基本的には各法律事務所の規定する報酬基準に従うことになります。

泉総合法律事務所では、相続財産の額に応じて次のように分かりやすい料金体系としております。

相続財産の額 費用
金1,500万円以下の場合 33万円(税込)
金5,000万円以下 2.2%(税込)
金5,000万円超、金1億円以下 1.65% + 27.5万円(税込)
金1億円超、金2億円以下 1.1% + 82.5万円(税込)
金2億円超、金3億円以下 0.88% + 126.5万円(税込)
金3億円超、金5億円以下 0.66% + 192.5万円(税込)
金5億円超、金10億円以下 0.55% + 247.5万円(税込)
金10億円超 0.33% + 467.5万円(税込)

※複雑な事案、特殊事情の存在する場合は、弁護士と受遺者との協議により、別途定める額とします。
※遺言執行に裁判手続きを要する場合は、上記執行手数料とは別に、裁判手続きに要する弁護士費用が発生します。
※実費:その他実費として、郵便切手代、印紙代、交通費、金融機関等への弁護士法による照会手数料、戸籍謄本等の取得にかかる費用等がかかります。

4.まとめ

遺言執行者には、未成年者および破産者以外であれば、誰でもなることができます。
また、遺言があるからといって、遺言執行者は必須ではなく、仮に選任しなくても遺言書の通りに執行することは可能です。

しかし、スムーズに遺言執行を行うためには、遺言執行者がいた方が良いことは間違いありません。

遺言執行者を選任すべきかどうか、選任するとしたらどのような方を選任すればいいのかは、遺言や遺産の内容によってケースバイケースであり、専門家のアドバイスが役立ちます。

遺言書を作成しようとお考えの方、遺言執行者の選任でお悩みの方は、是非一度、弁護士法人泉総合法律事務所にご相談ください。「ワンチーム」で対応に当たらせていただきます。

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