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後見・死後委任

任意後見契約の報告事項

任意後見は、本人の判断能力が十分なうちに、本人の意思によって任意後見契約を結び、実際に本人の判断能力が低下した場合、任意後見監督人が選任されることでスタートします。

任意後見人は任意後見契約書で定めた代理権の範囲において、被後見人の財産管理と身上監護を務めることになるため、任意後見人による着服などの不正が起こる可能性はゼロではありません。

そこで、そのような不正行為を防止するために、任意後見人には報告義務が設けられています。

今回は、任意後見契約における報告義務と、特に書類にて報告しなければならない事項について解説します。

1. 任意後見人の報告義務

任意後見人に義務付けられている報告とは、どのようなものなのでしょうか。

(1) 委任者本人へ委任事項を報告する義務

委任者本人から要求があった場合、任意後見人は事務処理の報告をしなければなりません。
また、事務処理を遂行するうえで受け取った金銭その他の物がある場合には、それを引き渡さなければなりません

事務処理の報告とは、どのような仕事をしてきたかが分かるような書類を提示し、それについて説明、質問に答えることなどをいいます。

具体的には、例えば預貯金等の管理を行っている場合には、通帳を本人に見せた上で収支を報告します。

介護施設の入居手続きを行った場合には、契約書や入居費用などの明細や領収書を提示して手続の内容を報告します。

(2) 任意後見監督人へ任意後見事務を報告する義務

任意後見では、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人は任意後見人を監督する立場の人であり、任意後見人は任意後見監督人へ次の報告義務があります。

初回報告

任意後見人は、以下の書類を任意後見監督人の選任後おおむね1ヶ月以内に、任意後見監督人へ提出します。

  • 任意後見事務報告書(初回報告)
  • 財産目録(初回報告用)
  • 収支予定表(初回報告用)

任意後見監督人の請求時の報告と定期報告

任意後見人は初回報告の後は、任意後見監督人から求められる都度、後見事務の状況を報告します。例えば、帳簿や預金通帳の提示を求められた場合には、任意後見人はこれに対して、速やかに応じなければなりません。

また、原則として年1回の定期報告が義務付けられており、その際には少なくとも以下の書類を任意後見監督人へ提出します。

  • 任意後見事務報告書(定期報告)
  • 財産目録(定期報告用)
  • 収支予定表(定期報告用)
  • 本人の預金通帳のコピー
  • 有価証券取引残高報告書のコピー

(3) その他連絡が義務となっている事項

次のようなことが発生した場合には、任意後見人は任意後見監督人からの指示を待たずに、速やかに自主的に報告し、必要に応じて対応の指示を受けます

  • 本人の住所地の変更があった場合
  • 任意後見人の住所変更があった場合
  • 本人の健康状態(判断能力)が大きく変化した場合
  • 後見事務処理について不明点・判断できないことがある場合
  • 本人に高額な臨時収入があった場合
  • 本人が高額な支出をしようとする場合
  • 本人の居住用不動産を任意後見人が処分しようとする場合
  • 本人の居住用不動産以外の不動産や有価証券、生命保険などを任意後見人が処分しようとする場合
  • 任意後見人と本人が利益相反する契約・取引をしようとする場合
  • 本人が死亡した場合 など

2. 任意後見人の報告書類

ここでは、任意後見監督人へ報告するために任意後見人が作成する書類について解説します。

(1) 任意後見事務報告書

任意後見事務報告書」は、誰でも記載しやすい書式となっています。

住所の変更や、定期収入及び支出の変更など、前回報告時から変わったことがあるかないかについて✓マークを付け、ある場合には何がどう変わったのかを記載していくのみとなっています。

初回報告では、申し立て時から財産状況に変更はないかなど、✓マークを付けていく簡単な書式となっています。

定期報告は、前回報告時から今回までの期間中の後見事務について、変わったことや困ったことがなかったかなどを記載します。

【出典】「任意後見人のしおり【令和元年10月版】」|裁判所

(2) 財産目録

財産目録」には、報告時点における財産の所有状況を記載します。

預貯金や現金は、委任者本人にとって重要な財産となるため、残高などを毎回記入して、証拠書類となる通帳のコピーを添付します。

株式や不動産などについて前回報告時から変化している場合には、別紙に詳細を記載して納税通知書などを添付します。

初回報告では、本人の資産負債の状況を調査し、記載します。
定期報告では、財産に変動がある場合に別紙に詳細を記載し、固定資産税評価証明書などの資料一式を添付します。

【出典】「任意後見人のしおり【令和元年10月版】」|裁判所

(3) 収支予定表

「収支予定表」には、本人の給与、年金などの収入と、生活費、医療費などの支出、その収支差額を記載します。1円単位まで細かく記載する必要はありません。

初回報告では、本人の年間収支の予定を立てて、記載します。

収入より支出が多いと本人の財産が減少し、平穏な生活が送れなくなる可能性があるため、適切な予算を立てるように注意します。

定期報告では、定期的な収支が大きく変動した場合に提出し、ない場合には提出する必要はありません。

【出典】「任意後見人のしおり【令和元年10月版】」|裁判所

(4) 住所(居所・氏名・本籍)変更届出書

「その他任意後見監督人への連絡が義務となっている事項」で挙げた事項が発生した場合に、その変更を裁判所へ知らせるために提出します。

【出典】「任意後見人のしおり【令和元年10月版】」|裁判所

3.任意後見監督人から裁判所への定期報告

任意後見人が任意後見監督人に対して行う年1回の定期報告は、任意後見監督人が裁判所へ報告するために行われており、これによって裁判所は、任意後見監督人を通して任意後見人を間接的に監督できることになります。

(1) 任意後見制度における裁判所の役割

裁判所は任意後見監督人からの報告に基づいて、任意後見人の後見事務が適切に行われているかどうかを確認します。

定期報告は年1回となっていますが、後見事務に問題があると疑われる場合には、必要がある都度、任意後見監督人に対して任意後見人の事務処理の状況について報告を求めること、あるいは調査を命じることができます。

しかし、任意後見人については裁判所の職権による解任は認められていないため、裁判所が直接、任意後見人を解任することはありません。

任意後見人を解任すべきと判断された場合には、任意後見監督人が裁判所へ解任の請求をし、裁判所が解任する流れになります。

(2) 裁判所への定期報告

任意後見監督人は、任意後見人に任意後見事務報告書などを提出させ、後見人の事務処理状況を精査し、その結果を裁判所へ報告します。

問題がなければ、次の年まで裁判所への報告はありません。

4.後見事務の終了時に必要な報告

委任者本人が死亡した場合には、それ以降、後見事務を遂行する必要性がなくなるため、任意後見は終了します。

任意後見人は最後の仕事として、それまでの後見事務の遂行経過を報告し、預かっている財産などを返還します。

(1) 遺族への報告と財産の返還

任意後見人は、それまで管理していた本人の財産についての収支計算を行い、財産目録を作成後、それを遺族へ報告して財産を引き渡します。この時、財産引継ぎに関する報告書に引き渡した人の署名捺印を貰います。

(2) 任意後見事務報告書(終了報告)を提出

遺族への報告後、本人が亡くなった日から2ヶ月以内に、任意後見事務報告書(終了報告)を裁判所へ提出し、任意後見の終了を報告します。

【出典】「任意後見人のしおり【令和元年10月版】」|裁判所

任意後見事務報告書(終了報告)には、次の書類も添付します。

  • 死亡診断書のコピーまたは本人死亡が記載された戸籍(除籍)謄本
  • 財産目録
  • 本人の預金通帳のコピー
  • 財産引継ぎに関する報告書 など

【出典】「任意後見人のしおり【令和元年10月版】」|裁判所

任意後見事務報告書、財産目録、収支予定表、変更届出書などの書式は、次のサイトより確認できます。

【参考サイト】任意後見人に選任された方へ | 裁判所

5.まとめ

任意後見人にはその立場上、数多くの報告が義務付けられており、任意後見監督人と裁判所から監督されているため、不正は起きにくい制度ではあります。

御自身の判断能力が低下した時に備える保険として、任意後見制度は是非ご検討いただきたい制度です。

また、任意後見人には弁護士がなることも可能であるため、その方がより安心できると思います。是非一度、泉総合法律事務所へご相談ください。

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