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後見・死後委任

死後事務委任契約の契約書を作成する際の留意点

多様な生き方となっている現代において、ご自分の死後の葬儀や家の後片付け、年金手続きなどの処理を第三者へ委任できる死後事務委任契約は、一人暮らし方にとって非常に有効な手段です。

今回は、死後事務委任契約書を作成するうえでのポイントを解説していきます。

1. 死後事務委任契約の契約書について

委任契約は諾成契約であり(民法第643条)、当事者の合意の意思表示のみで成立する契約です。

そのため、契約書は死後事務委任契約の成立要件ではなく、必ずしも契約書を作成しなければならないというわけではありません。

しかし、人の死後に行わなければならない処理は数多くあります。何をしてもらいたいのか、何はしなくてよいのか、口約束だけでは忘れてしまうのが当然でしょう。

特に死後事務委任契約は、自身の死後に委任事務が実行される契約であるため、実際に委任事務が遂行されているときに自身が口を出すことは当然できません。

そこで、契約書を作成しておけば、死後にしてもらいたいことを明確化して残すことができます。

2.死後事務委任契約の契約書作成時の留意点

次に、死後事務委任契約書を作成するときに知っておくべきポイントです。

(1) 委任契約が本人の死亡で終了しない特約を作る

民法には、委任の終了事由として「委任者又は受任者の死亡」と規定されています。(民法第653条第1項第1号)

しかし死後事務委任契約は死亡後に効力を発揮させる契約であるため、委任者の死亡で委任が終了してしまっては元も子もありません。

そこで特約により、死亡後も契約が終了しない旨を明確に契約書に記載しておく必要があります。

(2) 親族がいる場合には同意を得ておく

配偶者や子がいなくても、兄弟姉妹などの親族がいる場合は多いものです。
どんなに疎遠であったとしても、死後事務委任契約を行うことについて予め親族に同意を得ておきましょう。

「血のつながった親族がいるのに、他人に頼むなんて!」という親族の心情から、委任者への不信感が湧くこともあります。

さらに委任者から受任者への隠れた生前贈与があったのではないか、などの疑いも生じかねず、結果、相続手続きがスムーズに進まなくなる可能性もあります。

かかる不信感や疑念解消のためには、死後事務委任契約書の作成の段階で、できれば親族の方に同席してもらい、委任者の気持ちを理解してもらうと良いでしょう。

(3) 報酬などの金額と支払い時期を明確に記載

友人知人などの第三者に受任者になってもらう場合には、報酬が発生することが多いでしょうし、専門家に依頼するのであれば確実に発生します。

しかし、委任者の死亡後には預金口座は凍結され、その権利は相続人に引き継がれるため、死後には事務処理に必要な費用の受け渡しを自由に行うことができなくなります。

そこで、報酬や、死後に発生する葬儀費用などは、預託金として生前に支払っておくことが一般的です。

預託金を支払うということは、使い込みや、貰っていないなどと主張されるリスクがありますが、契約書に署名捺印をすると同時に支払いを行い、預託金の金額と既に支払い受け取った旨を契約書に記載することでリスクを避けられます。

後日に支払う場合には、受任者から預り証を受け取ることで支払い済を証明することができます。

また、「受任者が預託金を使い込んだ場合には、その全額を返金し、契約を解除する。」といった条項を契約書に設けておくのも一案です。

(4) 委任事項は詳細に決めておく

死後事務がスタートした後に委任者は口を出すことができないため、ご自分の死後に行ってほしいことは詳細に決めて契約書に記載しておきましょう。

例えば、死亡後に連絡してほしい人がいる場合には、それぞれの住所氏名、電話番号、関係性などまで、その人が特定できる情報を記載します。また、葬式を行ってもらいたい葬儀社がある場合や、すでに葬儀契約をしている場合には、社名や所在地、電話番号、担当者名などを記載しましょう。

中途半端な記載をしてしまうと受任者も迷って困るうえに、希望通りに進めてもらえない可能性がありますので、明確な記載を心がけましょう。

(5) 事務範囲を明確に定めておく

ひと言に事務処理といっても、死亡届の提出、健康保険証や介護保険証の返納、年金手続き、電気ガス水道など生活インフラの契約、電話契約、クレジットカード、スマートフォンのアカウント契約などその種類は多岐にわたります。

何をしてほしいのか、明確に記載しておきましょう。

(6) 契約書は公正証書化が望ましい

死後事務委任契約は、友人・知人や、弁護士などの専門家に依頼することを想定しています。

例えば死亡した人の家族や親族であれば、役所で死亡関係の手続きをすることは当然であるため、家族関係を証明できれば手続きに応じてもらえますが、第三者となると違います。

そこで、死後事務委任契約書が、「なぜ受任者が事務処理を行っているのか」を証明する手段になります。

公正証書は、一般的に信頼性が高く、手続きをスムーズに進めることができます。
また、どんなに信頼できる友人知人であったとしても、契約書の偽造・変造の可能性は0とは限りません。公正証書化しておくと、そのようなリスクはなくなります。

3.死後事務委任契約書の書式(雛形)

前述した通り、死後事務委任契約は要式性を要求されていないため、決まった書式はありません。
どのような形式で作成しても大丈夫ですが、記載漏れをなくすためには、ある程度の雛形は利用した方が良いでしょう

最後に、死後事務委任契約書の簡単な雛形を紹介します。状況に応じて、これに肉付けされていくと良いでしょう(かかる肉付けについては、適宜補足をつけてあります。)。

※1)甲の死後、甲の債権は相続人に帰属するので、受任者の債権受領は、少なくとも、受領したお金を相続人に渡す前提で行う必要があります。
※2)甲の死後、甲の自宅財産は相続人に帰属するので、これらの条項の定めがあるからといって、受任者が全ての家財を処分できる訳ではありません。ただ、明らかに遺産に含まれないと思われる生活雑貨や、生ものなど早急なる処分が必要な物の処分等については、認められるかもしれません。
契約書が長くなるかもしれませんが、死後は不要と目されるとして、処分を希望する家財道具を委任者が具体的に指定する形で、契約書に肉付けするのも一つの方法です。
※3)解除条項を定める際、後記の契約終了原因と同様に、当事者の合意で、その解除原因の範囲を広げることも可能です。また本契約では、報酬の前払いをしているので(第6条)、解除の際、その返還方法を具体的に定めておくこともできると思います。
ただ、委任者が返還を強く望まず、あえて定めない、というのであれば、それも委任者の意思と考えられます。
※4)乙が経済的な信用を失ったり、受任者としての行動能力を失ったりして、死後委任契約を遂行できなくなる典型例です。
ただ、受任者をコントロールすべき委任者が死亡していることが前提の委任契約ですから、当事者の合意により、もう少し終了の条件を厳しくしても良いかもしれません。

4.まとめ

ご自分の死後事務が心配な方は、死後事務委任契約をご検討されてはいかがでしょうか。
受任者を専門家にすれば、契約の設計から遂行まで確実にこなしてもらうことができます。

死後事務委任契約を思い立ったら、泉総合法律事務所に是非ご相談ください。安心な死後事務をサポートさせていただきます。

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