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後見・死後委任

ホームロイヤー契約とは?

超高齢化社会の到来を迎えて、成年後見制度の利用促進や高齢者の財産管理制度のさらなる充実が求められています。

一人暮らしおよび夫婦のみの世帯が増加し、高齢者の健康状態の変化に対応して支援していくためには、後見制度利用開始前から行う高齢者の見守り契約や財産管理委任契約、死亡した後に行う事務を委任する死後事務委任契約などの活用が考えられます。

このような高齢者の日常生活を総合的に支援する場面で有効になるのが「ホームロイヤー契約」です。ホームロイヤー契約を締結しておくことによって、高齢者にまつわるさまざまな問題についてトータルにサポートしてもらうことが可能になります。

今回は、このようなホームロイヤー契約について解説します。

1.ホームロイヤー契約とは?

ホームロイヤー契約とは、見守り契約、財産管理契約、任意後見契約などを通じて、法律の専門家である弁護士が、後見開始前から継続的かつ総合的に高齢者の日常生活を支援する契約の総称をいいます。

かかりつけの医師が「ホームドクター」と呼ばれているように、「ホームロイヤー」という言葉には、個人の相談や問題にきめ細やかに対応することができる個人のかかりつけの弁護士という意味が込められています。

従来、高齢者が弁護士と関わる場面というと、遺言書の作成、後見申立て、消費者被害の対応など何か問題が生じた場合の部分的な対応が中心でした。しかし、問題が起こってからの対応では被害が大きくなってしまうこともありますので、できる限りトラブルが生じる前に対応することが重要となります。

たとえば、任意後見契約を締結した弁護士との間でホームロイヤー契約も結んでおけば、任意後見契約が発効するまでの間に、任意後見人となる弁護士に相続、財産管理、日常生活の不安などさまざまな相談をすることが可能になります。

継続的に弁護士が支援することができれば、将来任意後見契約が発効した場合でも、本人の意思や希望を把握した弁護士による適切な後見業務が期待できるといえます。

このようにホームロイヤー契約は、高齢者の元気なうちに締結しておくことによって、高齢者が不安なく充実した老後の生活を送ることができる制度といえます。

2.ホームロイヤー契約でのサポート内容

ホームロイヤー契約では、高齢者の状況に応じてさまざまな内容を盛り込むことによって、総合的に高齢者の日常生活を支援することが可能になります。

一般的には、以下のような契約内容を高齢者の状況や希望に応じて選択していくことになります。

(1) 見守り契約

見守り契約の目的は、判断能力に衰えのない時期から、将来に判断能力が衰えた場合の備えを始めていくことにあります。
見守り契約を締結することによって、以下のようなサービスを受けることが可能になります。

①定期的な依頼者の安否確認

安否確認の方法や頻度については、高齢者の状況に応じて決めていくことになりますが、一般的には1か月から2か月に1度、電話、メール、FAXなどの方法によって安否状況の確認が行われます。

また、少なくとも1年に1回程度は、依頼者と弁護士が直接面談を行うことになりますので、依頼者の生活状況や健康状態の変化を把握することが可能になります。

その際には、依頼者の状況に応じて契約に関して見直しを行うこともできますので、きめ細やかなサービスの提供が可能になります。

②財産管理や相続問題、介護サービスの利用方法などの各種法律相談

見守り契約の内容として、1か月または2か月に1度、1時間程度の法律相談を行うことによって、依頼者が日常生活で抱いている不安を解消するとともに、トラブルの発生をあらかじめ防止することができます。

③依頼者の入院等の緊急時に備えて金銭を預かること

見守り契約では、基本的には依頼者の財産管理は行いませんが、依頼者が希望する場合には、入院時の緊急時に対応するために、弁護士が金銭を預かり、緊急時の支払いに対応することも可能です。

ただし、後述する財産管理契約とは別物ですので、高額な金銭を預かることは予定しておらず、15万円程度を上限とした預かりが一般的です。

(2) 財産管理契約

財産管理契約を締結する場合には、上記の見守り契約とセットで締結するのが一般的です。また、依頼者の判断能力が低下した場合に、財産管理契約に基づく財産管理から後見業務に移行するために、後述する任意後見契約とセットで締結されることが多いです。

財産管理契約では、依頼者から預貯金通帳や印鑑などを預かり、弁護士が依頼者に代わって財産を管理し、必要な支払いについても弁護士が代行することになります。

依頼者が所有する財産のうち、どの財産を管理財産とするかは、依頼者の意向や状態などを踏まえて検討することになります。

最初からすべての財産を管理財産とはせず、たとえば、一部の預貯金のみを管理財産とし、必要に応じてその都度、管理財産を増やしていくということも可能です。

(3) 任意後見契約

任意後見契約とは、本人の判断能力に問題がない段階において、将来、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況になった場合における財産管理などに関する事務の全部または一部について代理権を付与する契約のことをいいます。

任意後見契約は、契約時ではなく、実際に本人の判断能力が不十分になり、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されたときに契約の効力が発効します。

上記の財産管理契約は、任意後見契約と組み合わせて、本人の判断能力に問題がない段階で財産管理契約と任意後見契約を締結しておき、本人の判断能力に問題がない段階では財産管理契約に基づき財産管理を行い、本人の判断能力が低下した後は任意後見契約を発効させて任意後見に移行するという利用が一般的です。

[参考記事] 任意後見制度とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

(4) 死後事務委任契約

死後事務委任契約とは、委任者が受任者に対し、自己の死後の事務(葬儀、埋葬、施設利用料の支払い、その他の事務処理など)について、生前に委任する契約のことをいいます。

通常、自己の死後の諸手続きについては、相続人が相続手続きの中で行うことになります。しかし、たとえば葬儀方法やペットの処遇に関しては、必ずしも生前の被相続人の意思が反映されるとは限りません。

そもそも相続人その他の親族がおらず、又はいたとしても疎遠である場合には、自己の死後の事務処理を自身が望む形で確実に実現することは困難です。

そこで、自己の死後に関する事務を生前に第三者に対して委任してこれを実現するために死後事務委任契約を締結することになります。

[参考記事] 死後事務委任契約とは|活用方法や遺言との違いなどを解説

3.ホームロイヤー契約の弁護士費用

ホームロイヤー契約を締結後は、契約内容に応じて弁護士費用を負担する必要があります。

具体的な弁護士費用については法律事務所ごとに異なりますので、詳しくは相談をした弁護士に確認をするとよいですが、一般的な相場としては、以下のような金額になります。

(1) 見守り契約

見守り契約の内容が、1か月に1回程度の安否確認や法律相談であれば、月額1万円程度が一般的です。

2か月に1回程度でよければ月額5,000円程度になりますので、ご自身の状況に合わせて設定するとよいでしょう。

(2) 財産管理契約

財産管理契約では、管理する財産の内容や金額によって変動しますが、月額2万円から10万円程度の費用がかかります。

(3) 任意後見契約

任意後見契約は、本人の判断能力が低下し、任意後見監督人が選任された場合に効力を生じますので、それまでの間は弁護士費用が発生することはありません

任意後見人への報酬については、財産管理と同様に管理する財産の内容や金額によって変動しますが、財産管理契約と同程度と考えてよいでしょう。

(4) 死後事務委任契約

死後事務委任契約については、どのような事務処理をするかによって金額は異なってきますが、30万円程度の費用が生じることになります。

これは、上記のような月額の費用ではなく、事務処理を完了した報酬としてトータルで支払う費用になります。

4.まとめ

ホームロイヤー契約は、高齢者が安心して生活するための対策として非常に有効な手段となります。

どのような契約内容にするかは、高齢者の資産状況や現状を踏まえて決めることができますので、個々人の状況に応じた契約にすることが可能です。

ホームロイヤー契約を検討している方は、どのような内容が相応しいかを判断してもらうためにも一度弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。

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