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遺産分割

非嫡出子の相続|嫡出子との相続分の違い

非嫡出子が共同相続人にいる場合、嫡出子のみのケースとは異なる注意点が存在します。

特に、認知と相続分については、民法のルールを正しく理解したうえで、生前から何らかの対策を実施しておくことをお勧めいたします。

この記事では、非嫡出子と嫡出子の相続における取り扱いの違いについて、認知や相続分などの法律上の論点を中心に解説します。

1.非嫡出子とは?

「非嫡出子」とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子を意味します。

日本においては伝統的に、婚姻関係にある男女間に生まれた嫡出子の数が圧倒的に多く、非嫡出子は少数派となっています。
ただし、近年では婚姻を巡る価値観の多様化などを背景として、日本における非嫡出子の割合も増えつつあります。

日本の民法上、非嫡出子は嫡出子と区別して取り扱われており、相続における取り扱いにも違いが存在します。

その一方で、非嫡出子と嫡出子の間の区別(差別)については、法の下の平等(日本国憲法14条1項)に照らし違憲性がたびたび指摘されていました。
その結果、後述する最高裁判例を契機として、現在では非嫡出子と嫡出子の権利内容の違いは相対化されています。

また、非嫡出子として生まれた子であっても、「準正」という手続きを経ることによって、嫡出子の身分を取得できます(民法789条)。

準正の効果が発生するのは、以下の2つの場合です。

  • 父が非嫡出子を認知し、その後父母が婚姻した場合
  • 婚姻している父母が、非嫡出子を認知した場合

2.非嫡出子による相続では「認知」が重要

非嫡出子が父親の遺産を相続する場合、父親からの「認知」の有無が決定的に重要となります。

この点、母親を相続する場合とは取り扱いが異なるので注意しましょう。

(1) 母親が被相続人の場合|認知不要

母親が被相続人となる場合、非嫡出子は認知を要せず自動的に相続人となります。

一般的に、被相続人の子であれば、相続権を取得します(民法887条1項)。

生物学的に、母親が非嫡出子を産んだことについては、異論の余地がありません。
そのため、法律上の親子関係についても、出生をもって当然に発生するものとされています。

したがって、非嫡出子が母親の遺産を相続する際には、母親からの認知は不要です。

(2) 父親が被相続人の場合|認知が必要

これに対して、父親が被相続人となる場合には、父親からの認知がなければ、非嫡出子が遺産を相続することができません

母子間の親子関係が明らかであるのに対して、子の父親が誰であるかは、外見上一見して明らかであるとは言えません。

嫡出子が相続するケース

婚姻している父母の間に生まれた嫡出子は、父と子の間に(生物学上の)親子関係が存在する言えることがほとんどです。
また、家族で共同生活を営む関係上、父と子の親子関係を肯定する合理性もあるでしょう。

そのため、嫡出子については、父と子の間の法律上の親子関係も自動的に認められています。もちろん、嫡出子の相続に、父親の認知は必要ありません。

非嫡出子が相続するケース

一方、非嫡出子の場合には、上記の嫡出子のように、父子間の法律上の親子関係を当然に発生させる前提を欠いています。
よって、非嫡出子と父親との間に法律上の親子関係を発生させるためには、別途「認知」という手続きをとる必要があるとされています。

言い換えれば、認知を受けていない非嫡出子は、法律上は、父親の子ではないのです。

そのため、非嫡出子は認知を受けない限り、父親の相続に関して相続権を得ることができません。

【認知を受けるための方法】
非嫡出子が父親から認知を受け、父親の遺産を相続する権利を得るためには、以下の3つの方法が考えられます。
・被相続人(父親)の生前に認知を受ける
・遺言により認知を受ける
・認知の訴えを提起する

3.非嫡出子と嫡出子の相続分の違い

非嫡出子と嫡出子の相続分には、長期間にわたり差が設けられていました。

しかし、この差については、法の下の平等(日本国憲法14条1項)との関係で問題点が指摘されました。

最高裁は、平成25年9月4日、非嫡出子の相続分を「嫡出子の2分の1」と定めた旧民法900条4号但し書きについて、法の下の平等(日本国憲法14条1項)に反して違憲であるとの判断を下しました。

その結果、現行民法上、子の相続分について定める民法900条において、非嫡出子と嫡出子の相続分は区別されておらず、非嫡出子と嫡出子は同じ相続分となっています。

ただし、最高裁平成25年9月4日の決定では、同決定時点ですでに確定した遺産分割への影響に配慮して、その効力について以下のように述べています。

「既に関係者間において裁判、合意等により確定的なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが、関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を確定的なものとするのが相当である」

要するに、相続関係者の間での紛争を蒸し返すことはせず、これから生じる紛争に対象を絞って、嫡出子と非嫡出子の不合理な差別をなくすことを狙いとしているといえます。

4.「非嫡出子には相続させたくない」と考えたら

非嫡出子である隠し子が突然現れた場合などには、「相続させたくない」と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、非嫡出子に相続放棄をしてもらう、遺言などで相続人の廃除をしてもらうといった方法は、あまり現実的ではありません。そもそも、相続放棄をするくらいなら、親族の前に現れたりはしないでしょうし、非嫡出子だという理由だけで相続人の廃除ができるものではないからです。

その他に、非嫡出子の相続分を無償譲渡してもらう方法などが考えられますが、相続分の無償譲渡は、原則として「贈与」に該当するため(最高裁平成30年10月19日判決)、持ち戻しの対象となる可能性もあります。

【出典サイト】裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan

あらかじめ、遺言書で非嫡出子の相続分を減らしてもらう方法が一番無難かもしれません。ただし、余りに非嫡出子の相続分を減らしてしまうと、遺留分侵害額請求がなされる可能性があります。いずれにしても、一度弁護士に状況を相談することをお勧めします。

[参考記事] 特別受益の「持ち戻し」とは?計算方法や注意点、持ち戻し免除を解説

5.非嫡出子がいる場合の相続対策は弁護士に相談を

すでに解説したように、非嫡出子が父親を相続する場合、父親から認知を受ける必要があります。

また、相続人に非嫡出子と嫡出子の両者が存在すると、お互いが疎遠なことが多いため、遺産分割協議も紛糾しやすい傾向があります。

上記の懸念点を踏まえると、相続人に非嫡出子がいる場合には、生前に相続対策を行っておくことをお勧めいたします。

たとえば以下の相続対策を実施しておけば、相続発生時のトラブルリスクを最小限に抑えることができる可能性が高まります。

  • 生前に非嫡出子を認知しておく
  • 遺言書を作成して相続分をあらかじめ指定する

弁護士にご相談いただければ、非嫡出子の相続に関する法律上のルールを踏まえたうえで、必要な生前対策に関するアドバイスとサポートをご提供いたします。
遺産相続に向けた生前対策は、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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