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遺産分割

相続人が刑務所で服役中の遺産分割協議はどうする?

相続が開始した場合には、相続人全員が話し合って被相続人の遺産の分け方を決めていきます。

遺産分割協議にあたって相続人全員と連絡が付けば問題はありませんが、なかには、罪を犯してしまい刑務所に服役している相続人がいるという場合もあります。

刑務所から出所するまで何年もかかる場合には、その間遺産分割協議を進めることができないのでしょうか。

今回は、相続人が刑務所で服役中の遺産分割協議の進め方について解説します。

1.相続人が刑務所に服役中の遺産分割協議の問題点

相続人が刑務所に服役中の場合には、遺産分割に関して以下のような問題が生じます。

(1) 相続人全員の話し合いができない

遺産分割協議を有効に成立させるためには、相続人全員が遺産分割協議に参加することが必要になります。

相続人のうち一部を欠いた状態で遺産分割協議を成立させたとしても、当該遺産分割協議は無効ですので、再度、相続人全員で話し合いをしなければなりません。

相続人が刑務所に服役中の場合には、その相続人は刑務所の外に出ることができませんので、相続人全員で集まって話し合いをすることができません。

(2) 印鑑登録が難しい

遺産分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書に実印を押印することが必要です。

実印とは、市区町村役場に印鑑登録を行った印鑑のことをいいます。実印を持っていないという方は、印鑑を作成して、市区町村役場の窓口で印鑑登録を行うことによって簡単に登録をすることができます。

しかし、刑務所に服役している方は、直接市区町村役場の窓口に赴くことができません。

印鑑登録は代理による申請も可能ですが、市区町村役場から本人の住民登録地へ送付される照会書への記入が必要になるため、代理による申請も困難といえます。

(3) 印鑑証明書の取得が難しい

遺産分割協議が成立して、不動産の名義変更をしたり、預貯金の払い戻し手続きをしたりするためには、遺産分割協議書に相続全員の印鑑証明書を添付することが必要になります。

刑務所にいる相続人が印鑑登録をしていたとしても、刑務所にいる状態では本人が印鑑証明書を取得することはできません。

印鑑証明書の取得にあたっても代理人が申請することもできますが、その場合には印鑑登録証を持参することが必要です。

刑務所にいる相続人から印鑑登録証を受け取る手段がありませんので、印鑑証明書を取得することは困難です。

2.服役中の相続人との間で遺産分割協議を成立させる方法

刑務所に服役中の相続人との間に遺産分割協議を成立させるためには、上記のような問題点があります。

しかし、以下のような方法によって、刑務所に服役中の相続人との間で遺産分割協議を成立させることができる可能性があります。

(1) 手紙や面会で遺産分割の内容を知らせる

遺産分割協議の際には、相続人全員が集まって話し合いをしなければならないわけではありません。
一緒に集まって話し合いをした方が遺産分割方法を決めやすいというだけであって、遺産の分け方についてすべての相続人から合意を得られるのであれば、どのような方法でも問題ありません。

刑務所に服役中の相続人であっても、手紙を送ったり、面会をしたりするなどして遺産の分け方についての合意を得ることは可能です。

刑務所に服役中であっても、基本的には他の相続人と同様に法定相続分に応じて遺産を取得する権利がありますので、刑務所に服役中の相続人の希望を聞きながら合意の形成を目指すようにしましょう。

(2) 印鑑証明書に代わる書類を取得する

刑務所に服役中の相続人と遺産の分け方について合意ができた場合には、遺産分割協議書に署名押印をしてもらうことになります。
しかし、ここで問題になるのが、刑務所に服役中の相続人は、実印で押印することと印鑑証明書を取得することができないということです。

この場合には、遺産分割協議書に本人が拇印を押捺し、刑務所長作成の奥書証明を取得することによって対応することができます。
「奥書証明」とは、在監者の拇印が本人のものであるといことを刑務所長が証明した文書のことをいいます。

不動産の相続登記をする場合には、このような書類を取得することによって手続きを進めることが可能です。

他方、金融機関で預貯金の払戻手続きをする場合には、このような書類で対応してもらえるかどうかは金融機関ごとによって異なります。

上記の書類の他に刑務所に収監中であるという在監証明も要求されることもありますので、事前に確認をしてから遺産分割手続きを進めると良いでしょう。

3.相続人が勾留中の場合

では、相続人が刑務所に収監されているのではなく、勾留中であった場合にはどうすれば良いのでしょうか。

【勾留とは?】
勾留とは、被疑者または被告人も身柄を警察署の留置場などの刑事施設に拘束することをいいます。刑務所に収監されるのは刑事裁判によって有罪が確定した場合ですが、勾留は、起訴される前の被疑者や起訴されてもまだ刑事裁判が確定していない被告人の身柄を拘束する処分です。
起訴される前の勾留については、原則として10日間、勾留の延長が認められた場合には最大20日間の身柄が拘束されることになります。また、起訴後の勾留期間は、原則として2か月ですが、身柄拘束を必要とする事情があれば1か月ごとに更新されて身柄拘束が続くことになります。

勾留されている場合には、刑務所に収監されている場合と同様に遺産分割協議を進めるにあたって困難となる事情があります。
しかし、勾留は刑務所への収監とは異なり、一時的な身柄拘束ですので、相続人が勾留されている場合の対応としては、まずは身柄が解放されるのを待つというのが良いでしょう。

被疑者の勾留の場合には、最長で20日間身柄拘束された上で、事件を起訴するか不起訴にするかが判断されます。不起訴処分となった場合にはすぐに身柄が解放されますので、その後、遺産分割協議を進めれば良いでしょう。

他方、起訴されたとしても、保釈手続きをとることによって裁判手続き中であっても身柄が解放されます。事件の内容にもよりますが、初犯であれば執行猶予が付く可能性がありますので、仮に有罪判決となった場合でもすぐに刑務所に行くことなく、そのまま普通の生活を送ることができます。

このように勾留の場合には、短期間で身柄が解放される可能性がありますので、勾留されている相続人の身柄が解放されてから落ち着いて相続手続きを進めるのが良いといえます。

4.服役中の相続人が遺産分割に合意しない場合

遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。服役中の相続人が遺産分割協議に協力してくれない場合や遺産分割協議書の内容に納得してくれない場合には、遺産分割協議を進めることはできません。

そのような場合には、家庭裁判所に遺産分割審判を申し立てると良いでしょう。

遺産分割に関しては、調停前置主義がとられていますので、まずは遺産分割調停を経なければ遺産分割審判を申し立てることができないのが原則です。しかし、刑務所に相続人がいる場合には、遺産分割調停を申し立てたとしても家庭裁判所に出頭することはできませんので、調停を申し立てても無駄になってしまいます。

このように、調停を申し立てる意味がないような場合には、例外的に遺産分割調停を経ることなく遺産分割審判を申し立てることができます

遺産分割審判では、当事者からの主張や証拠などをもとにして、裁判官が相当であると考える遺産分割内容を決定してくれます。

遺産分割協議や遺産分割調停のように話し合いによる柔軟な解決はできませんが、刑務所に相続人がいることで手続きが進まない場合には有効な手段となります。

5.まとめ

刑務所に服役中の相続人がいたとしても相続手続きを進めることは可能です。

しかし、通常の相続手続きに比べて準備しなければならない書類も複雑になりますので、相続に強い泉総合法律事務所の弁護士に相談をしながら進めていくと良いでしょう。

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