相続に強い弁護士に無料相談|東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪
安心と信頼のリーガルネットワーク弁護士法人泉総合法律事務所遺産相続
0120-870-408
【電話受付】平日9:00〜21:00/土日祝9:00〜19:00
お問い合わせ
(365日24時間受付中)
遺言書

遺言執行者が死亡したら遺言の執行業務はどうなる?

遺言書の内容を確実に実現してもらうためには、遺言執行者を指定または選任することが有効な手段となります。

しかし、遺言執行者に指定または選任された人が病気や事故によって遺言執行の職務の途中で死亡してしまうということもあります。また、遺言者よりも先に亡くなってしまうということもあります。
このような場合には、どのような手続きで遺言内容を実現していけばよいのでしょうか。

今回は、遺言執行者が死亡した場合における遺言執行の流れについて解説します。

1.遺言執行者とは

遺言執行者とは、被相続人が亡くなった後に、被相続人が残した遺言書の内容を実現するための手続きを行う者のことをいいます。

具体的には、相続財産目録の作成、金融機関での預貯金の解約手続き、法務局での相続登記手続きなど、遺言内容を実現するために必要な手続きを行っていきます。

遺言執行者は、遺言者が遺言書によって指定することもできますし、指定がない場合には、相続人などが家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることもできます。

遺言執行者 [参考記事] 遺言執行者とは|役割と選任するメリット、誰を選べばいい?

2.遺言執行者が死亡した場合

早速本題ですが、遺言執行者に指定または選任された人が死亡してしまった場合、遺言執行者に委ねられた遺言執行業務はどのようになってしまうのでしょうか。

(1) 相続開始前に遺言執行者が死亡した場合

遺言書によって遺言執行者に指定されたとしても、遺言者が死亡して、遺言執行者に指定された人が遺言執行者に就任することについて承諾をしない限りは、遺言執行者としての権利義務は発生しません。

そのため、相続開始前に遺言執行者が死亡したとしても、遺言執行業務は開始していませんので、遺言者や推定相続人としては特に具体的な支障は生じないでしょう。

もっとも、そのままでは遺言執行者が不在の状態となってしまいますので、遺言者としては、遺言執行者の死亡を知った場合、遺言執行者不在解消の必要があれば、遺言書を書き換えて新たな遺言執行者を指定することができます。

また、新たな遺言執行者の指定をすることなく遺言者が死亡してしまった場合には、遺言執行者が不在になりますので、相続人などは、必要があれば、家庭裁判所に対して遺言執行者の選任の申立てをすることができます(民法1010条)。

申立の際には、申立人は、遺言執行者の候補者を指名することができますが、申立人自らを候補者と指名することもできます。

しかし、遺言執行にあたっては、相続人同士でのトラブルを防ぐ必要がある上、相続に関する専門的な知識が必要になりますので、候補者を指名するのであれば、相続人や相続人の関係者を指名するのではなく、弁護士などの専門家を指名することをお勧めします。

(2) 相続開始後に遺言執行者が死亡した場合

遺言執行者と相続人との間の法律関係については、委任に関する規定が準用されます(民法1012条2項、1020条)。

そのため、相続開始後に遺言執行者が死亡した場合には、遺言執行者の地位は、遺言執行者の相続人に承継されることなく喪失することになります。

その結果、相続開始後に遺言執行者が死亡した場合には、上記と同様に相続人などは家庭裁判所に対して遺言執行者の選任の申立てをすることができます(民法1010条)。

3.遺言執行者が死亡した後の処理

遺言執行者が死亡したことによって遺言執行者の地位は喪失することになりますが、遺言執行者の相続人は以下の処理を行う必要があります。

(1) 報酬請求

遺言執行者が生前に行った執行行為によって遺言執行者に権利義務が発生していた場合は、これらの権利義務は、遺言執行者の相続人に承継されることになります。

そのため、遺言執行者の相続人は、遺言執行者が遺言執行を終えた範囲での報酬請求権を相続することになりますので、遺言者の相続人に対して報酬請求をすることができます。

(2) 善処義務

遺言執行者の相続人は、いわゆる応急処分義務(または善処義務)を負うことになります(民法654条)。

すなわち、遺言執行者の相続人は遺言執行者の地位は承継しないものの、遺言執行者が死亡したからといって、既に着手している執行業務を投げ出すのではなく、遺言者の相続人に損害が及ぶことのないように相続人に引継ぎをするまでの間は、必要な処分をすべき義務(善処する義務)があります。

(3) 死亡通知

遺言執行者の相続人は、「遺言執行者が死亡したことによって、任務が終了した」旨を遺言者の相続人、受遺者その他の利害関係人に通知する必要があります。

その際には、遺言執行者の死亡を明らかにする戸籍謄本などを添付して行うとよいでしょう。

(4) 保管、管理物の引渡し

遺言執行者が生前の執行によって保管していた物件などがある場合には、遺言執行者の相続人は、その一切の物を新たな遺言執行者または相続人に引き継がなければなりません

(5) 遺言執行者死亡の場合の執行業務顛末報告

遺言執行者の地位は、遺言執行者の死亡によって喪失し、任務も終了することになります。そのため、遺言執行者の相続人は、遺言執行者が死亡するまでの執行業務の顛末を相続人などに報告する必要があります。

ただし実際には、遺言執行者の相続人が遺言執行者の行っていた遺言執行業務のすべてを把握していることはいえませんので、遺言執行者の相続人が調査した結果の限度で報告すれば足りることになります。

4.遺言執行者を指定する際のポイント

遺言内容を確実に実現してもらうために遺言執行者を指定したにもかかわらず、遺言執行者が死亡してしまった場合には、適切な遺言執行が困難になることがあります。

そこで、遺言執行者を指定する際には、以下のポイントを押さえた遺言書にするとよいでしょう。

(1) 複数の遺言執行者を指定する

遺言執行者を複数人指定することは可能です。

複数人の遺言執行者を指定しておくことによって、遺言執行者が不在になるリスクを軽減することができます。

(2) 予備的な遺言執行者を指定する

しかし、⑴のような複数人の遺言執行者では、遺言執行者同士の役割分担や連絡が煩雑になり、迅速な遺言執行を実現することができないこともあります。

そこで、遺言執行者を複数指定しておくのではなく、「遺言執行者として指定した○○が亡くなった場合は、○○を遺言執行者として指定する」というような予備的な遺言執行者を指定しておくことも有効な手段になります。

(3) 法人を遺言執行者に指定する

遺言執行者は自然人のみならず、法人も遺言執行者になることができます。法人であれば、自然人のような死亡ということは観念できませんので、法人を遺言執行者に指定しておくことによって遺言執行者が不在になるリスクを軽減することができます。

例えば弁護士法人を遺言執行者に指定しておけば、専門的な遺言執行業務を確実に進めてもらえるだけでなく、遺言者不在のリスクを軽減することができます。

[参考記事] 遺言執行者は誰がなれるの?弁護士・弁護士法人ではどちらがいい?

5.まとめ

遺言執行者を指定しておくことは、遺言者の死後に遺言内容を確実に実現する方法としては非常に有効な手段となります。
しかし、遺言執行者に指定された人が死亡することは十分に考えられますので、遺言執行者が死亡した場合のリスクも踏まえた指定方法としておくことが重要です。

また、既に遺言執行に着手した後に遺言執行者が死亡した場合には、相続人などが家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることになりますが、遺言執行業務は専門的な手続きになることが多いため、この選任申立ての際も、弁護士などの専門家を遺言執行者の候補者として申立てをすることをお勧めします。

関連するコラム
38 41
【電話受付】平日9:00〜21:00 / 土日祝9:00〜19:00