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遺言書

包括遺贈と特定遺贈の違いをわかりやすく解説

遺贈とは、遺言によって特定の人に遺産を譲る行為で、相続人はもとより第三者にも財産を遺すことができます。

遺贈には、大きく分けて「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類がありますが、法律上の取り扱いが大きく異なるため、財産を遺すのにどちらが適しているかを選択する必要があります。

両者は一体、何がどう違うのでしょうか。今回は包括遺贈と特定遺贈の基本と、その違いについて詳しく解説します。

1.包括遺贈について

(1) 包括遺贈とは

包括遺贈とは、特定の相続財産を遺贈するのではなく、相続財産の割合を指定して財産を遺すことをいいます。名称通り、包括的に遺贈します。

例えば、「遺産1億円のうちの半分を内縁の妻Aへ遺贈する」というのが包括遺贈です。

(2) 包括遺贈の特徴

包括遺贈の受遺者(遺贈を受けた人)は、相続財産の割合しか指定されていないため、相続人と同様に遺産分割協議に参加することになります。

また、相続財産にマイナス財産も含まれている場合には、それも指定された割合で承継しなければなりません。

(3) 包括受遺者と相続人の違い

このように、包括遺贈の受遺者は相続人と同じ権利義務を有しますが、全てにおいて同じというわけではありません。

受遺者が遺言者より先に死亡しても代襲相続のような制度はなく、遺贈を受ける権利は受遺者止まりになり、遺贈されるはずだった財産は相続人の遺産分割協議の対象となります。

また、他の相続人が相続放棄をした場合でも、受遺者の相続分は増えません。あくまでも受遺者の相続分は遺言により指定された割合のみです。

[参考記事] 包括受遺者とは?相続人との違い・登記・相続税等をわかりやすく解説

(3) 包括遺贈を受けたくない場合

包括遺贈の遺言があったとしても、受遺者にはこれを拒否する権利があります。

ただし、相続開始を知ったとき、及び包括遺贈の存在を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所で遺贈の放棄を申述しなければなりません。

何もしないまま3ヶ月を経過してしまうと、遺贈を受けると承認したものとみなされてしまいます。

(4) 包括遺贈のメリットとデメリット

包括遺贈のメリットとデメリットは、次のようにまとめることができます。

①メリット

  • 相続財産を指定されていないため、受遺者自らが遺産分割協議に参加して取得したい財産を希望できる
  • 遺言作成から死亡までに相続財産の内容に変化があっても、割合は変わらない

②デメリット

  • マイナス財産も承継しなければならない
  • 遺留分を侵害する財産を遺贈された場合には、遺留分侵害額請求の対象になる
  • 遺贈の放棄をしたい場合には家庭裁判所への申述が必要
  • 相続人が集まる遺産分割協議に参加しなければならない

(4) 包括遺贈を選択したほうがいいケース

包括遺贈は割合しか指定されていないため、遺産分割協議に参加するところから始まります。

多くの遺言者は、遺産分割で揉めてほしくないという思いから遺言書を作成するため、結局、遺産分割協議を行わなければならない包括遺贈では遺言の意味があまりないように思えます。

ただし、次のような場合には包括遺贈を選択した方が良いでしょう。

  • 遺言者自身がどれだけ財産を持っているのか把握していない場合
  • 財産の変動が激しく、相続時点で所有している財産の予測が付かない場合
  • 遺産分割協議によって取得する財産を決めてほしい場合 など

2.特定遺贈について

(1) 特定遺贈とは

特定遺贈とは、相続財産のうち特定の財産を指定して遺贈することをいいます。

例えば、「○○町の土地は孫Bへ遺贈する」というのが特定遺贈です。

(2) 特定遺贈の特徴

特定遺贈は包括遺贈とは違い、取得する財産が明確に指定されているため、遺産分割協議には参加できず、マイナス財産の承継もしません。

単純に、遺言で指定された財産のみを受け取って終わりです。

(3) 特定遺贈を受けたくない場合

特定遺贈も包括遺贈と同様に放棄をすることができます。

しかも、特定遺贈の放棄は相続発生後であればいつでも放棄することができ、家庭裁判所へ申述する必要もありません。他の相続人に放棄する旨を意思表示するだけで成立します。

しかし、他の相続人は相続後何年も後から放棄すると言われても困ってしまいます。

そこで、受遺者以外の相続人や利害関係者は、受遺者に対して相当の期間を定めて、その期間内に放棄の有無の旨を催告することができます。
受遺者は催告された期間内に意思表示しなかった場合には特定遺贈を承認したものとみなされてしまうため注意しましょう。

(4) 特定遺贈のメリットとデメリット

次に、特定遺贈のメリット・デメリットを挙げてみましょう。

①メリット

  • 遺贈する相続財産を特定できるため、遺産の取り合いに巻き込まれることなく、確実に遺贈できる
  • 遺贈の放棄をする際の制約が少ない
  • 特に指定がなければ、相続人として承継する以外のマイナス財産を承継する義務がない

②デメリット

  • 遺留分を侵害する財産を指定した場合には、遺留分侵害額請求の対象になる
  • 相続人以外が不動産の受遺者となった場合には、包括遺贈と違い不動産取得税がかかる
  • 遺産分割協議に参加できない
  • 遺言作成から死亡までに相続財産の内容に変化があった場合には、処分されている可能性がある

(5) 特定遺贈を選択したほうがいいケース

特定遺贈は次のようなケースで多く選択されています。

  • 誰にどの財産を渡したいかがはっきりしている場合
  • 受遺者としてマイナス財産を背負わせたくない場合
  • 受遺者が相続人以外の場合に、遺産分割協議に参加せずに済むようにしたい場合 など

3.遺贈する際の注意点

包括遺贈と特定遺贈はそれぞれ一長一短で、自身の状況に合わせた選択をしなければなりません。
最後に、検討される場合の注意点を解説します。

(1) 特定遺贈では相続税の債務控除ができない

相続税の債務控除の対象になるのは、その債務などを負担する相続人や包括受遺者です。

特定遺贈を受けた受遺者が相続人以外の場合には、例え債務も遺贈されたとしても債務控除の対象外になります。

ただし、住宅ローン付の自宅を遺贈されたような負担付遺贈の場合には、住宅ローンを債務控除することはできませんが、相続税の課税価格となるのは、自宅から住宅ローンを差し引いた残額であるため、結果的には債務控除と同じになります。

(2) 特定遺贈は不動産所得税の課税対象

不動産を相続や包括遺贈で取得した場合には、不動産取得税はかかりません。

しかし、特定遺贈の場合は例外で、受遺者が相続人の場合を除き不動産取得税がかかるため注意しましょう。

(3) 包括遺贈と特定遺贈の遺言書の書き方の違い

包括遺贈なのか、特定遺贈なのかが明確に分かるように遺言書に記載します。

包括遺贈の場合には、相続財産に対する割合を、特定遺贈の場合には対象となる財産が確実に特定できるように、預金の場合には口座番号まで、不動産の場合には登記簿謄本に記載されている通りに詳細に記載します。

包括遺贈の記載例
遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、次の者に包括して遺贈する。
本籍  東京都〇〇〇
住所  東京都△△△
受遺者 包括太郎
昭和〇年〇月〇日生

特定遺贈の記載例
遺言者は、遺言者の有する下記の預金を、孫特定花子(昭和〇年〇月〇日生)に遺贈する。
東京銀行   東京支店 普通 1234567
東京信用金庫 東京支店 普通 7654321

4.まとめ

包括遺贈と特定遺贈についてご理解いただけましたでしょうか。
同じ遺贈ではありますが、両者にメリットとデメリットがあり、相続人となる方の状況に合わせて選択しなければならないものです。

遺言者は受遺者のことを思って遺言を遺します。それがかえって受遺者の負担になるということは防がなければなりません。
遺贈については法律の専門家である弁護士に是非ご相談ください。

泉総合法律事務所では、遺贈に関するご相談も数多く受けてまいりました。「遺言書の書き方がよくわからない」「包括遺贈と特定遺贈どちらがいいかわからない」など、遺贈についてお悩みであれば、是非一度お気軽にご連絡ください。

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