相続に強い弁護士に無料相談|東京・神奈川・埼玉・千葉
安心と信頼のリーガルネットワーク弁護士法人泉総合法律事務所遺産相続
0120-870-408
【電話受付】平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:30
お問い合わせ
(365日24時間受付中)
相続の重要知識

ネット銀行の遺産相続|通帳が無い銀行の調査方法

インターネットの普及に伴い、ネット銀行を利用する方も増えてきています。

ネット銀行は、インターネット上で残高確認や取引などが行えたり、預金金利も比較的高めに設定されたりしていますので、非常に人気があります。

しかし、ネット銀行では、一般的な銀行とは異なり通帳が発行されないため、ネット銀行の存在を相続人が把握していなければ、相続手続きにおいて遺産から漏れてしまう可能性もあります。

ネット銀行が遺産に含まれる場合には、どのような相続手続きが必要になるのでしょうか。

1.ネット銀行の特徴

(1) ネット銀行とは

ネット銀行とは、店舗やATMを持たずに、インターネット上での取引を中心とする銀行のことをいいます。主なネット銀行としては、以下のものが挙げられます。

  • 楽天銀行
  • 住信SBIネット銀行
  • GMOあおぞらネット銀行
  • イオン銀行
  • SBJ銀行
  • ソニー銀行
  • セブン銀行
  • PayPay銀行
  • auじぶん銀行など

(2) ネット銀行の主な特徴

ネット銀行は、店舗やATMを設置するコストや人件費が不要となります。そのような運営コストの安さから、以下のようなメリットがあります。

①手数料が安い

一般の銀行と比べてATM手数料や振込手数料などが無料または低額に設定されているところが多いです。

②預金金利が高い

ネット銀行は運営コストを低く抑えることができるため、その分を預金金利などに上乗せして、一般の銀行よりも有利な金利となっていることが多いです。

③24時間365日利用可能

一般の銀行では、銀行の営業時間内に取引をしなければならず、月末になるとATMの前に長蛇の列ができていることも珍しくありません。

しかし、ネット銀行では、パソコンやスマートフォンなどで、いつでもどこでも取引を行うことができますので、自分の都合に合わせて好きなときに利用することができます。

(3) 相続におけるネット銀行の注意点

ネット銀行は非常に便利なものといえますが、相続の場面では注意すべき点もいくつか存在します。

ネット銀行は、インターネット上での取引が基本になりますので、一般の銀行とは異なり通帳が発行されることはありません

相続が発生したときには、相続人は、被相続人の通帳などから被相続人の預金の存在を知ることになります。しかし、通帳が存在しないネット銀行では、被相続人の預貯金の存在を容易に知る手段があまりないのです。

また、ネット銀行でも、被相続人の死亡が明らかになった場合には、対象となる口座は凍結されてしまいます。よって、遺産分割協議が成立するなど、すべての相続人の同意が得られるまでは、預金の払い戻しを請求することはできなくなります。

2.ネット銀行の有無を調べる方法

これまで述べた通り、相続が開始したとしても、被相続人が相続人に事前に伝えていない限り、ネット銀行口座はその存在を容易に知ることはできません。
そのため、被相続人がネット銀行に口座を保有していたかどうかについては、以下の方法で調べるようにしましょう。

(1) 郵便物や取引明細書、キャッシュカードを探す

ネット銀行から郵便物が届いていたり、入出金をした際の取引明細書などがあったりすれば、そこからネット銀行口座の存在を知ることができます。

また、ネット銀行では、通帳は発行されませんが、一般の銀行と同様にキャッシュカードが発行されます。
そのため、被相続人の財布や金庫などからキャッシュカードが見つかれば、銀行名や口座を特定することも可能です。

(2) 被相続人のパソコンをチェックする

ネット銀行を利用するにあたってはインターネットの利用が前提となりますので、インターネットアクセスの媒体である被相続人のパソコンやスマートフォンをチェックすることで、ネット銀行口座の存在が判明することもあります。

パソコンの場合、インターネットブラウザ内のお気に入りにネット銀行のサイトが登録されていることがあります。仮に登録が見当たらない場合でも、インターネットアクセスの履歴を確認すると、ネット銀行のサイトへのアクセス記録が見つかることもあります。

また、スマートフォンであればネット銀行の専用アプリをダウンロードして利用していることもありますので、まずはスマートフォンの画面を確認しましょう。
画面に当該アプリがない場合でも、PCの場合と同様に、お気に入りやアクセス履歴から利用状況が判明することもあります。

さらに、メールの受信フォルダをチェックすることによって、ネット銀行からのお知らせメールなどが届いていることもあります。受信箱にメールがない場合でも、いわゆる「ごみ箱」に入っている場合もありますので、忘れずに確認してみましょう。

(3) 他の銀行からのお金の流れなどをチェックする

一般の銀行から取引履歴を取得することによって、被相続人の生前における、他の銀行からのお金の流れを調べることができます。

被相続人名義の口座から、同じく被相続人名義の口座への振り込みがなされた形跡があるものの、該当する振込先預金口座が存在しないという場合には、ネット銀行の存在を疑ってみるとよいでしょう。

(4) 弁護士に調査を依頼する

ネット銀行の調査を弁護士に依頼するということも有効な方法です。上記のような方法でもネット銀行が存在する手掛かりが得られない場合には、一般の方では調査の方法がわからず、ネット銀行が存在していたとしてもそのまま放置してしまう可能性があります。

弁護士であれば、ネット銀行としてどのような銀行が存在しているのか、各ネット銀行に対する照会方法を熟知していますので、弁護士に依頼をすることによってネット銀行への口座保有の有無を知ることができます。

3.ネット銀行の相続方法

ネット銀行の相続方法については、各ネット銀行によって細かい手続きは異なってきますが、一般的には以下のような方法で行います。

(1) ネット銀行の窓口に相続が開始したことを伝える

ネット銀行は、一般の銀行のように店舗は存在しませんので、相続手続きを行うためには専用の電話窓口に連絡をして行うのが一般的です。

まずは電話窓口に連絡をして、被相続人の住所、氏名、生年月日、被相続人の死亡日などを伝えましょう。そうすると、オペレーターから具体的な手続きの流れや必要書類について案内してもらうことができます。

なお、ネット銀行に相続開始の連絡をすると、対象口座については凍結されてしまいます。

(2) 書類の受け取り、提出

ネット銀行に相続開始の連絡をすると、ネット銀行から相続手続きに必要となる書類などの案内が記載された書類が届きます。相続人は、ネット銀行から送付された書類に必要事項を記入するとともに、案内があった必要書類を収集しネット銀行に送付します。

相続手続きに必要となる書類としては、一般の銀行と同様で、以下のような書類が必要になります。

  1. 相続預金払戻手続き依頼書
  2. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
  3. 被相続人の住民票または戸籍の附票
  4. 相続人の戸籍謄本
  5. 相続人の印鑑登録証明書
  6. (必要に応じて)遺産分割協議書または遺言書

(3) 預金口座の払戻し

ネット銀行では、提出のあった必要書類の内容を確認して、問題がなければ相続人指定の口座に被相続人の預金の払い戻しを行います。

4.ネット銀行がある場合の生前の準備

ネット銀行がある場合の生前の相続対策としては、どのようなことができるのでしょうか。

(1) エンディングノートの作成

ネット銀行がある場合の相続では、相続人にネット銀行の存在を知ってもらうことが大切になります。そのために有効な方法としては、エンディングノートを作成するという方法があります。

エンディングノートとは、高齢者が人生の終末期を迎えるにあたって、自分の情報や家族への想いを書き留めておくことができるノートのことをいいます。

エンディングノートには自分の財産を記載する欄がありますので、一般の銀行と同様に、ネット銀行の口座等に関する情報についてもそこに記載しておくことで、残された相続人が容易にネット銀行の存在を知ることができます(なお、IDやパスワードなどの機密情報は、銀行口座の相続手続では必要ではないことが多いので、あえて記載する必要はないと考えられます)。

エンディングノートは、書店などで簡単に購入することができます。これから相続対策を考えている方は、まずはエンディングノートを利用してみるとよいでしょう。

ただし、遺言の要件を満たさない限り、エンディングノートの記載には、後述する遺言書のような法的拘束力は存在しません。自身が希望する遺産の配分を確実に行いたい場合には、改めて遺言書を作成すべきです。

(2) 遺言書の作成

ネット銀行の存在を相続人に知ってもらう方法には、遺言書を作成するという方法もあります。

遺言書はエンディングノートとは異なり、遺言書の記載のとおり遺産が移転する、という法的拘束力を有するものですので、遺言書に自分の希望する遺産分割方法を記載しておくことによって、その通りの遺産分割を実現することができます。

遺言書が存在しない場合には、相続人全員が話し合いをして遺産分割方法を決めることになりますが、相続人同士の争いが予想されるケースでは、あらかじめ遺言書を作成しておくことでそのような争いを回避することが可能になります。

遺言書の書き方 [参考記事] 正しい遺言書の書き方|作成のポイントと自筆証書遺言の要件

5.まとめ

ネット銀行は非常に便利なものですので、今後もネット銀行を利用する人が増えてくることが予想できます。そうすると、相続が発生した場合には、一般の銀行に対する相続手続きだけでなくネット銀行への相続手続きも行わなければならない場面が増えてくるでしょう。

ネット銀行の口座の有無やネット銀行の相続手続きがわからないという場合には、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。

関連するコラム
19 24
【電話受付】平日9:30〜21:00 / 土日祝9:30〜18:30