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家族信託

家族信託の受託者が死亡したらどうなる?

家族信託は、信頼できる受託者に財産の管理を任せられるため、認知症対策や相続対策の有力な方法として注目されています。

しかし、家族信託の受託者が早い段階で亡くなってしまうケースもあり得ます。
この場合、家族信託はどうなってしまうのでしょうか。

家族信託の受託者が死亡した場合、基本的には後継受託者への引継ぎを行うことになります。
ただし、引き継ぎが行われずに受託者不在のまま一定期間が経過した場合、家族信託が終了してしまうこともあるので注意が必要です。

この記事では、家族信託の受託者が亡くなった場合の処理につき、信託法の規定に沿って解説します。

1.家族信託の受託者が死亡した場合の処理手順

家族信託の受託者が死亡した場合、信託法の規定に従って後継受託者への引き継ぎが行われます。
その手順は以下のとおりです。

(1) 受託者の任務は終了する

家族信託の受託者が死亡した場合、受託者としての任務は終了します(信託法56条1項1号)。

死亡してしまっては受託者としての職務を行うことはできないので、任務終了もやむを得ないでしょう。

(2) 受益者への通知・信託財産の保管

受託者の死亡によって任務が終了した場合、受託者の相続人・成年後見人・保佐人は、その事実を知った段階で、知れている受益者に対してこれを通知しなければなりません(信託法60条1項本文)。

受託者の相続人・成年後見人・保佐人は、受託者のもっとも身近な存在といえます。
一方、受託者が死亡した場合には、受益者に一刻も早くその事実を知らせ、家族信託の存続を確保することが必要です。
そのため、受託者死亡の通知が、受託者の相続人・成年後見人・保佐人に義務付けられたのです。

なお、通知義務に違反した者には、「100万円以下の過料」が科される可能性があります(信託法270条1項1号)。

ただし、信託契約で定めることによって、これらの者の通知義務を免除したり、通知者を変更したりすることができます(信託法60条1項但し書き)。

また、受託者の相続人・成年後見人・保佐人は、後述する新受託者や信託財産管理者などが信託事務の処理をすることができるようになるまで、信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければなりません(同条2項)。

これらの者は、家族信託の受託者の立場を正式に引き継ぐわけではありませんが、信託財産を保全するために、暫定的に信託財産を保管する義務を負うのです。

(3) 信託財産管理者による信託財産の管理

受託者の相続人・成年後見人・保佐人によって、信託財産が適切に保管されていれば問題ありません。

しかし、場合によっては、これらの者が信託財産を保管することは難しいケースもあります。
たとえば、以下のようなケースなどには、信託財産の保管が適切に行われない可能性が高いでしょう。

  • 受託者に相続人・成年後見人・保佐人のいずれもいない場合
  • 受託者の相続人が全員幼少である場合
  • 受託者の相続人が全員多忙であり、信託財産を保管する労力を割けない場合
  • 受託者の相続人が海外居住であるなど、信託財産の遠方に住んでいる場合

このような場合には、利害関係人の申立てにより、裁判所が信託財産管理者による管理を命ずる処分を行うことが認められています(信託法63条1項)。

この場合、裁判所が信託財産管理者を選任し(信託法64条1項)、それ以降は受託者としての権限が信託財産管理者へと専属するようになります(信託法66条1項)。

信託財産管理者は、亡くなった受託者と新受託者の間の「中継ぎ」を担当する、暫定的な立場にあります。
そこで信託財産管理者には保存行為や一部の利用・改良行為をする権限が認められており(同条4項)、より実効的に信託財産を管理すべき立場であるといえるでしょう。

(4) 新受託者を選任|選任方法について

家族信託の受託者が死亡した場合、以下の手順に従って新受託者を選任します。

①信託契約の定めに従って選任する

新受託者を選任するに当たって、もっとも優先されるのは、信託契約上の規定です(信託法62条1項)。
信託契約では、受託者死亡の場合において、新受託者を選任するための手続きを定めることができます。

たとえば、「受託者が死亡した場合、後継受託者はAとする」などと、あらかじめ特定の人を後継受託者として指名しておくのもよいでしょう。

また、「受託者が死亡した場合、後継受託者はBとCが協議のうえで決定する」などと、後継受託者を選任する権限を有する人を指名することも考えられます。

なお、新受託者として指定された人は、信託の引受け(受託者への就任)を断ることも可能です。
もし断られたり、承諾の可否を確答するように催告しても返答がなかったりした場合には、別の方法によって新受託者を選任する必要があります。

そのため、万が一就任を断られた場合に備えて、「受託者が死亡した場合、後継受託者はDとする。もしDに就任を断られた場合、後継受託者はEとする。」などと、予備の新受託者候補を指定しておくことも有効でしょう。

②委託者と受益者の合意によって選任する

新受託者の選任方法について、信託契約上の定めがない場合や、信託契約に従って新受託者として指定された者が就任を承諾しなかった場合などには、委託者と受益者の合意により、新受託者を選任します(信託法62条1項)。

委託者は信託のいわば「仕掛け人」であり、受益者は信託にもっとも強い利害関係を持つため、両者の合意によって新受託者を選任するというのは合理的でしょう。

ただしこの場合にも、新受託者として指定された人は、受託者への就任を断ることもできます。
もし断られた場合には、別の候補者を選任する必要があります。

③委託者・受益者の協議が整わない場合は、裁判所に選任を申し立てる

新受託者の選任について、委託者・受益者間の協議が整わない場合など、必要があると認められるときは、利害関係人の申立てによって裁判所が新受託者を選任できます(信託法62条4項)。

もし委託者と受益者の言い分が食い違っている場合には、双方が主張する候補者の受託者としての適正(能力・時間的余裕・居住地域など)を総合的に比較して、より適任な方が選任されることになります。

④委託者がいない場合は受益者が選任する

委託者がすでに死亡しているなど、現に存しない場合には、受益者が単独で新受託者を選任することが認められています(信託法62条8項)。

【受託者がいないまま1年が経過した場合、家族信託は終了する】
受託者が死亡によって欠けた場合、前述の手続きに従い、後継受託者の選任が試みられます。しかし、「委託者や受益者が受託者の死亡に気づいていない」「適切な候補者が見つからない」など、何らかの理由によって、受託者が長期間欠けたままの状態になってしまうケースも稀に見受けられます。
もし受託者が欠けた後、新受託者が就任しない状態が1年間継続すると、その時点で家族信託は終了してしまいます(信託法163条3号)。
受託者が欠けた状態では、「受託者が受益者のために財産を管理・処分する」という信託の本質的な機能が損なわれており、信託を存続させる意味がないと考えられるためです。
もし家族信託を終了させたくないのであれば、早めに委託者・受益者間で協議をまとめるか、裁判所に対して新受託者の選任を申し立てましょう。

2.家族信託の受託者としての立場は相続されない

家族信託の受託者が死亡しても、受託者としての権利・義務を相続人が相続することはありません。

信託の受託者は、委託者(および受益者)からの属人的な信頼に基づいて選任されており、一種の一身専属的な立場として、相続の対象とすることになじまないからです。

そのため前述のとおり、受託者の任務は、受託者の死亡によって終了することが信託法の明文で定められています(信託法56条1項1号)。

受託者の相続人は新受託者や信託財産管理者への引継ぎなどを担当する義務を負いますが、これはあくまでも暫定的な立場であり、受託者としての権利・義務そのものを承継したわけではないことに留意しましょう。

3.まとめ

家族信託の受託者が死亡した場合、家族信託の本来の機能を復活させるため、速やかに後任受託者を選任することが大切です。

後任受託者の選任が遅れた場合、信託財産の価値が毀損されてしまうおそれがあるほか、家族信託が終了してしまうケースもあるので注意しましょう。

受託者死亡後の後任受託者の選任や、新受託者への引継ぎなどについて不明な点があれば、弁護士までご相談ください。
ご状況に応じてとるべき対処法についてアドバイスをし、円滑な引継ぎをサポートいたします。

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