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事業承継対策としての家族信託

家族信託

50代|男性|会社経営者

事業承継対策としての家族信託

遺産の種類・概要

自社株式

委託者

A(父)

受託者

B(長男)

受益者・指図権者

A

信託終了事由

Aの死亡

権利帰属者

B

事案

Aさんは会社を経営していますが、高齢になってきたためそろそろ引退することを考えています。Aさんの後継者としては、3年前に勤めていたIT系企業を辞めて家業を継ぐために専務として入社した長男Bさんがいます。

 

ただ、Bさんは畑違いの業種から転職してきたこともあり、後継者としてはまだ育成中であり、現時点で経営のすべてをBさんに任せることには不安があります。そのため、Aさんとしては、Bさんが後継者として独り立ちできるまでは、一定の範囲で自身が経営を行えるようにしたいと考えています。

家族信託による解決例

Aさんを委託者兼受益者、Bさんを受託者、Aさんを指図権者として、Aさんの有する自社株式を信託財産とする信託契約を締結することが考えられます。

 

信託契約で指図権を設定した場合、指図権者が受益者のために信託財産の管理や処分について受託者に指示することができます。

 

本ケースでは、家族信託により、Aさんが有する自社株式の名義が、受託者であるBさんの名義になっても、委託者兼受益者であるAさんが元気なうちは、指図権者として、自社株の管理・運用・議決権行使などの具体的な内容・方法をBさんに指図することができます。これにより、当初はAさんの指示に従いBさんが会社の経営を行うことで、Bさんを後継者として育成し、Bさんに経営を任せられる段階になったところでBさんの単独の判断で経営を行うことが可能となります。

 

また、このようにしておけば、仮にAさんの判断能力が低下・喪失して指図権が行使できなくなったとしても、Bさんが議決権を行使できますので、会社の経営が滞ることがありませんので、Aさんの認知症対策にもなります。

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