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相続の重要知識

連れ子の相続権と相続させる・させない方法

離婚をする夫婦が増えている一方、再婚をする夫婦も増えてきています。そして、再婚をする場合には、再婚相手に子どもがいることも珍しいことではありません。

再婚して連れ子がいるとき気になることの一つに、連れ子が相続する権利があるかどうかということがあるでしょう。

この記事では、再婚相手の連れ子の相続権・相続分と、相続させる場合の方法、逆に相続させたくない場合の方法についても解説します。

1.再婚と相続の基本事項

再婚をすることによって相続関係が複雑になることがありますので、まずは、再婚と相続に関する基本事項について説明します。

(1) 相続の基礎知識

人の死亡によって相続が開始します(民法882条)。そして、相続が開始した場合には、配偶者は、常に相続人となることができますが、配偶者以外の人については以下の順位により相続人となります。

①被相続人の子(第1順位)
②被相続人の直系尊属(第2順位)
③被相続人の兄弟姉妹(第3順位)

たとえば、被相続人に、子ども、直系尊属、兄弟姉妹がいる場合には、子どもだけが相続人になることができ、直系尊属と兄弟姉妹は、当該相続では相続人になることはできません。

子どもがいない場合に直系尊属が相続人になることができ、子どもと直系尊属がいない場合に兄弟姉妹が相続人になることができるのです。

(2) 連れ子は相続人?

結論から言えば、連れ子はそのままでは相続人ではありません

法定相続人である「子」というのは、被相続人の実子または養子のことをいいますので、被相続人が再婚をしただけでは、再婚相手の子どもには相続権は発生しないということです。

2.連れ子に相続させるための方法

再婚相手に子どもがいた場合に、その連れ子に対して遺産を渡したいと考えることがあります。連れ子に遺産を相続させる方法としてはどのような方法があるのでしょうか。

(1) 養子縁組をする方法

方法の1つは養子縁組です。

被相続人が死亡した場合には、上記のとおり、被相続人の子どもが第1順位の相続人として、被相続人の遺産を相続する権利があります。

そして、連れ子を法定相続人である「子」にするためには、養子縁組をする必要があります。

①養子縁組とは

養子縁組とは、血縁関係がない者同士の間において、法律上の親子関係を生じさせる手続きです。

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組という2種類の方法がありますが、再婚によって利用されるのは、主に普通養子縁組という方法です。

②養子縁組による連れ子の相続分

再婚相手の連れ子との間で養子縁組をすることによって、被相続人と連れ子との間には法律上の親子関係が生じますので、被相続人の実子と同様に相続権を取得します。

実子と養子との間には優劣関係はありませんので、養子は、実子と同じ相続割合を有することになります。

たとえば、被相続人が死亡し、相続人として、再婚相手の配偶者、再婚相手の連れ子(養子)、被相続人の前妻との間の子ども、再婚相手との間に生まれた子どもがいる場合の相続割合は以下のとおりです。

  • 再婚相手の配偶者:2分の1
  • 再婚相手の連れ子(養子):6分の1
  • 前妻との間の子ども:6分の1
  • 再婚相手との間の子ども:6分の1

なお、普通養子縁組は、特別養子縁組のように実親との間の親子関係を解消させるものではありませんので、養子は実親と養親のいずれの相続でも相続権があります。

③養子縁組による節税効果

相続税には基礎控除がありますので、基礎控除の金額の範囲内であれば相続税が課税されることはありません。

3000万円+600万円×法定相続人の人数

相続税の基礎控除は、上記のとおり法定相続人の人数によって変動しますので、養子縁組によって養子を増やすことによって、基礎控除の金額を増やすことが可能になります。

しかし、相続税法上、基礎控除の対象となる法定相続人に含まれる養子の人数には、以下のような制限があります。これは、相続税回避目的による養子縁組制度の乱用を防止するという意味があります。

ただし、これはあくまでも相続税法上の制限ですので、この人数を超過したからといって養子縁組の効力が無効となるわけではありません。

  • 相続人に被相続人の実子がいるとき:1人
  • 相続人に被相続人の実子がいないとき:2人

なお、被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子になった者については、相続税の課税上は実子とみなすことができ、養子の人数制限には含まれないという扱いがなされています(相続税法15条3項)。そのため、再婚相手の連れ子と養子縁組をする場合には、人数制限なく基礎控除の恩恵を受けることが可能です。

(2) 遺言書を作成する方法

上記のような養子縁組の手続きをとらなくても被相続人が生前に遺言書を作成することによって、相続人以外の人に対しても遺産を渡すことができます。このような方法を「遺贈」といいます(民法964条)。

遺贈は、簡単に言えば遺言によって贈与することです。

遺贈をすることで連れ子にも遺産を渡すことができますが、被相続人に前の配偶者との間の子どもがいるような場合には、その子どもの遺留分にも配慮した内容の遺言書を作成することが重要です。

遺留分は、相続人に認められている最低限度の相続分であり、遺言書によっても遺留分を奪うことはできません。遺留分を侵害する内容の遺言書であっても有効ですが、遺留分を侵害された相続人から遺贈を受けた連れ子に対して、遺留分侵害額請求がなされる可能性があります。

このようなトラブルを回避するためにも、遺言書を作成する際には専門家である弁護士のアドバイスをもらいながら進めていくとよいでしょう。

3.連れ子に相続させないための方法

では、再婚相手の子どもに遺産を相続させたくない場合にはどのような方法があるのでしょうか。

(1) 養子縁組前に相続させたくない場合

被相続人が再婚相手と再婚をしただけでは、再婚相手の連れ子が相続権を取得することはありません。連れ子が被相続人の遺産を取得するためには、上記のように養子縁組や遺贈という特別の手続きを行わなければなりません。

したがって、連れ子に遺産を相続させたくないと考える場合には、養子縁組や遺贈といった特別の手続きを何も取らなければ大丈夫です。

(2) 養子縁組後に相続させたくない場合

①離縁をする

再婚相手の連れ子との間で既に養子縁組をしてしまったという場合には、連れ子と離縁することによって法律上の親子関係は解消され、連れ子の相続権はなくなります。

しかし、離縁はどちらか一方の意思だけでは行うことはできず、養親と養子が離縁に同意しているか、同意が得られないときには裁判上の離縁の手続きをとる必要があり、しかも他の一方から悪意で遺棄されたとき、②他の一方の生死が三年以上明らかでないとき、③その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき(民法814条1項)という法律で定められた離縁原因がなければなりません。

裁判上の離縁の手続きには、離婚と同様に、調停離縁、審判離縁、裁判離縁の3種類がありますが、離縁についても調停前置主義が採用されていますので、いきなり裁判離縁をすることはできず、まずは調停離縁からスタートします。

なお、養子が15歳未満の場合には、離縁後に養子の法定代理人となる人と協議をして同意を得る必要があります。

②相続人の廃除をする

廃除とは、推定相続人に以下のような廃除原因がある場合に、被相続人が推定相続人の相続権を失わせることをいいます(民法892条)。

  • 被相続人に対する虐待をしたこと
  • 被相続人に対し重大な侮辱を加えたこと
  • その他著しい非行があったこと

離縁に応じてもらえないときには、上記の要件を満たす場合には廃除の手続きをとることで養子に相続させないことが可能です。

廃除には、被相続人が生前に家庭裁判所の申立てをして行う「生前廃除」と被相続人が遺言書で推定相続人を廃除する旨の内容を残す「遺言廃除」の2つの方法があります。

また、廃除は推定相続人の相続権を奪うという重大な処分ですので、単に相続させたくないとか不仲だからというような理由では認められません。

③遺言書を作成する

離縁も相続廃除もできない場合には、再婚相手の連れ子以外の相続人に遺産を相続させる内容の遺言書を作成しておくとよいでしょう。

しかし、離縁をしていない状態では、再婚相手の連れ子には遺留分が認められていますので、連れ子から遺留分侵害額請求がなされる可能性が高い場合には、そうしたトラブルを避けるためにも連れ子の遺留分にも配慮した内容の遺言を作成するべきでしょう。

④遺留分を放棄してもらう

遺言書を作成するにあたり、養子となった連れ子に遺留分を放棄してもらうことも考えられます。

生前に遺留分を放棄してもらう場合、家庭裁判所の許可が必要ですが、もし遺留分の放棄が認められれば、遺言書で連れ子の相続分をゼロにしても、法的には問題が生じません。

ただし、遺留分の放棄が認められるためには、すでに生前贈与で遺留分相当額の経済的価値のある代償が必要であり、生前贈与もなしに単に遺留分だけを放棄してもらうということでは裁判所の許可が得られないのが通常です。

4.まとめ

再婚をしただけで連れ子にも相続権が認められると誤解している方もいます。

しかし、連れ子に遺産を渡すためには、養子縁組や遺贈といった方法をとる必要がありますので、再婚をした場合には、忘れずに手続きをするようにしましょう。

また、養子縁組と遺言書を組み合わせることによって、将来の相続争いを回避することも可能になります。子連れの再婚は、相続関係が複雑になりますので、将来の相続争いを回避したいと考える方は、早めに弁護士に相談しておくとよいでしょう。

連れ子への相続や遺贈をご検討されている方は、ぜひ泉総合法律事務所までご相談ください。

遺留分との関係も含め、お一人お一人の状況にあわせて弁護士がご相談を承ります。

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