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遺留分

遺留分侵害額請求訴訟とは|手続きや流れを解説

被相続人が生前に遺言書を残していた場合には、原則として、当該遺言書の内容に従って遺産を分けることになります。

しかし、被相続人の遺言書が「すべての遺産を長男に相続させる」という内容の遺言書であった場合にはどうすればよいのでしょうか。

このような遺言書があったとしても、お母さんや次男や長女など他の相続人がまったく遺産をもらうことができないというわけではありません。

被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、民法で「遺留分」という最低限度の遺産の取得分が認められていますので、遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求権」を行使することで、侵害された遺留分相当の遺産を取り戻すことができます。

今回は、裁判によって遺留分を取り戻す方法である「遺留分侵害額請求訴訟」について、その手続きと流れを解説します。

1.遺留分侵害額請求訴訟とは

遺留分侵害額請求訴訟とはどのような裁判なのでしょうか。以下では、遺留分侵害額請求訴訟の概要と訴訟提起までの流れについて説明します。

(1) 遺留分侵害額請求訴訟の概要

遺留分侵害額請求とは、遺留分権利者以外の人に被相続人が遺産を贈与または遺贈することによって自己の遺留分を侵害された相続人が、遺留分相当額の金銭を取り戻すための請求をいいます。
そして、遺留分侵害額請求訴訟とは、訴訟によって侵害された遺留分に相当する金銭を請求する手続きです。

遺留分侵害額請求訴訟事件は、被相続人の遺産をめぐる争いであること、遺留分侵害額請求調停申立事件は家庭裁判所の管轄であることから、こちらの訴訟事件も家事事件として家庭裁判所が管轄するようにも思います。

しかし、遺留分侵害額請求訴訟事件自体は一般の民事訴訟(給付訴訟)として、地方裁判所または簡易裁判所が事件を管轄することになります。

(2) 訴訟提起までの流れ

遺言書によって遺留分が侵害されていることが判明したとしても、すぐに訴訟提起をすることはできません。
遺留分侵害額請求訴訟を提起するまでには、以下のような段階があります。

①遺留分侵害額請求の意思表示

被相続人の遺言書が相続人の遺留分を侵害する内容であることがわかった場合には、贈与または遺贈を受けた人に対して、遺留分侵害額請求の意思表示をすることによって権利を行使します。

遺留分 請求 [参考記事] 遺留分侵害額請求はどうやるの?手続きや必要書類を徹底解説

遺留分侵害額請求権は、相続開始のときから10年、または、遺留分侵害の事実を知ったときから1年という時効がありますので、内容証明郵便を利用するなどして、時効期間内に権利行使をしたことを証拠に残すようにしましょう。

遺留分侵害額請求権の時効 [参考記事] 遺留分侵害額請求には時効がある!期限と時効の防ぎ方を解説

②遺留分侵害額請求調停

当事者同士の話し合いによって遺留分に関する争いが解決しない場合には、家庭裁判所に対して遺留分侵害額請求調停を申し立てます。

遺留分に関する争いは、家族間の争いであることが多いため、できる限り話し合いによって解決することが望ましいとされています。そのため、まずは家庭裁判所の調停を申し立てなければならず、調停を経ることなく訴訟を提起しても調停手続きに戻されてしまいます。これを「調停前置主義」といいます。

[参考記事] 遺留分侵害額請求調停とは|調停の流れや申立て方法などを解説

遺留分侵害額請求調停を行っても解決することができず、調停が不成立になった場合に、遺留分侵害額請求訴訟を提起することができます。

2.遺留分侵害額請求の流れ

(1) 訴訟の提起から第1回口頭弁論期日まで

遺留分侵害額請求訴訟の提起から第1回口頭弁論期日までの流れとしては、以下のとおりです。

①裁判所への訴状の提出

遺留侵害額請求訴訟は、原告が裁判所に訴状を提出することにより始まります。

訴状には、誰に対して、どのような請求をするのかを記載します。訴状に記載した自らの主張を裏付ける証拠がある場合には、訴状と一緒に証拠も裁判所に提出します。

なお、遺留分侵害額請求調停の場合には相手方の住所地の裁判所に申立てをしなければなりませんが、訴訟の場合には被告の住所地の裁判所だけでなく原告の住所地の裁判所にも管轄が認められます。

②第1回口頭弁論期日の指定と訴状の送達

訴状を裁判所に提出すると、裁判所では訴状に不備がないかどうかを審査して、不備がなければ訴状を受理します。

訴状が受理された場合には、原告の都合を確認しながら第1回口頭弁論期日を指定した上で、訴状などを被告に送達します。第1回口頭弁論期日は、訴訟提起から1か月後くらいの日程で指定されることが多いです。

③被告による答弁書の提出

訴状の送達を受けた被告としては、訴状の内容を確認した上で、今後の対応を検討することになります。

具体的には、原告の請求に対する答弁や、原告の主張する事実に対する認否を「答弁書」という書面に記載して、第1回口頭弁論期日までに裁判所に提出します。答弁書に記載した反論を裏付ける証拠がある場合には、答弁書と一緒に証拠も裁判所に提出します。

④第1回口頭弁論期日

第1回口頭弁論期日は公開の法廷で開かれ、原告が訴状を陳述し、被告が答弁書を陳述します。

第1回口頭弁論期日の日程は原告の都合のみによって決められていますので、被告の都合が合わず、被告は第1回口頭弁論期日に出頭することができないこともあります。

その場合には、あらかじめ答弁書を提出していれば、被告が欠席していたとしても、答弁書の内容を陳述したものと扱ってもらうことができます。これを「陳述擬制」といいます。

第1回口頭弁論期日は、2回目以降の期日の日程を決めて終了となります。

(2) 第2回口頭弁論以降

第2回目以降の遺留分侵害額請求訴訟の進め方としては、以下のような流れになります。

①第2回目以降の期日(続行期日)

遺留分侵害額請求訴訟は、調停手続きを経ても解決しなかった事案ですので、当事者間に何らかの争いがある事案です。そのため、第1回口頭弁論期日によって解決することはほとんどなく、第2回目以降の続行期日が指定されるのが通常です。

続行期日としては、引き続き公開の法廷で行われる口頭弁論期日か非公開の弁論準備室で行われる弁論準備期日のどちらかが指定されます。どちらの種類の期日であったとしても、概ねやることは変わりません。

続行期日は、おおむね1か月ごとに期日が指定されて、原告および被告が交互に主張と反論を繰り返してきます。

このような主張と反論を繰り返すことによって、当事者間に争いがある事実は何か、証拠によって認定することが必要な事実は何かなどを明らかにしていくことになります。

②証拠調べ期日

原告と被告の主張反論による争点整理が終了した段階で、当事者本人および証人の尋問が行われます。
当事者尋問および証人尋問を行う期日のことを証拠調べ期日といいます。

当事者尋問および証人尋問は、尋問を申請した当事者からの主尋問、相手方当事者からの反対尋問、裁判所からの補充尋問という順番で行われます。

(3) 遺留侵害額請求訴訟の終了

遺留分侵害額請求訴訟が終了する場合としては、訴訟上の和解等による終了と判決による終了があります。

①訴訟上の和解等

訴訟がある程度進行して、裁判所の心証も形成されてきた段階で、裁判所から和解の提案がなされることがあります。タイミングとしては、ある程度争点整理が完了した尋問期日の前後で行われることが多いです。

原告と被告の双方が裁判所から提示された和解案に合意できた場合には、その時点で訴訟は終了します。和解は、紛争を早期に解決することができることや、合意による解決であるため相手からの任意の支払いが期待できるというメリットがあります。

和解には確定判決と同一の効力がありますので、和解内容を履行しなかった場合には強制執行をすることも可能です。

なお訴訟上の和解以外のでは、請求の認諾(被告が原告の請求を認めること)もしくは請求の放棄(原告が請求を放棄すること)、又は訴えの取り下げ(原告が訴えを取り下げること)によって事件が終了することがあります。

②判決

証拠調べ期日を終えて尋問結果を踏まえた最終準備書面を提出した後は、判決言渡期日が指定され、判決が言い渡されることになります。

判決内容に不服がある場合には控訴によって争うことも可能です。控訴は判決の送達を受けた日から2週間以内に行う必要がありますので、判決を受け取った日をきちんと確認する等して、期限を徒過しないように注意しましょう。

3.遺留分侵害額請求訴訟は弁護士に相談・依頼がおすすめ

遺留分侵害額請求は交渉や調停でも行うことができます。交渉や調停は、基本的には話し合いの手続きですので、弁護士に依頼をしなくても当事者だけで進めていくことも不可能ではありません。

しかし、遺留分侵害額請求の問題は難しい問題が多く、専門家である弁護士のサポートが必要な事案であります。

さらに、遺留分侵害額請求訴訟は、交渉や調停のような話し合いの手続きではなく、本格的な裁判手続きになります。

自分の言い分がある場合には、法廷で直接発言するのではなく「準備書面」という文書にまとめて裁判所に提出しなければなりません。また、自己の主張を裏付ける証拠があるのであればそれも併せて提出する必要があります。

仮に、適切な主張や立証ができなければ、本来勝てるはずの裁判であっても負けてしまう可能性があります。

裁判手続きに不慣れな方だと適切に裁判手続きを進めていくことは困難ですので、弁護士に依頼して行うことが安心です。

4.まとめ

遺留分の算定にあたっては、どのように遺産を評価するかによって最終的に取り戻すことができる遺留分額が大きく異なってきます。

遺留分は、相続人に保障されている大切な権利ですので、遺留分を侵害された場合には、専門家である弁護士のサポートを受けながら適切に権利を行使していくようにしましょう。

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